国会質問アーカイブ

3/15 内閣委員会(新型インフルエンザ等特措法・内閣法改正案)

本庄さとしYouTube
委員会提出資料PDF

質問要旨

1 新型コロナ対応の検証と評価について(後藤大臣)

2 内閣感染症危機管理統括庁について
(1) 基本認識(後藤大臣)
(2) 組織上の位置付け(後藤大臣)
(3) 内閣危機管理監との関係(後藤大臣、内閣官房)
(4) 厚生労働省感染症対策部との関係(後藤大臣、厚労省)
(5) 司令塔機能と危機管理体制のあり方(後藤大臣)
(6) 内閣官房・内閣府の肥大化防止(後藤大臣、内閣官房)

3 いわゆる「コロナ予算」について
(後藤大臣、内閣府、財務省、会計検査院)

○要求大臣   後藤大臣
○政府参考人等 内閣官房、内閣府、財務省、厚生労働省、会計検査院
○配付資料   あり
○パネル    なし

議事録

○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
 千葉八区、柏市、我孫子市選出です。どうぞよろしくお願いをいたします。
 今日は、新型インフルエンザ特措法、内閣法改正ということで、二番の統括庁の問題の方から先に入っていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、基本認識としてお伺いをいたしたいと思いますが、この三年間の新型コロナ対応において、司令塔機能そして危機管理体制という観点から、何が問題で、どこに問題があったのかというふうに大臣は御認識になっていらっしゃるのでしょうか。改めてお考えをお聞かせください。

○後藤国務大臣 司令塔機能ということについて言えば、適宜、状況の判断に応じ、状況に応じて、各省の様々な権限等をしっかりと調整する形で、時間を空けることなく対応をしていくということが必要でありまして、そういう意味で、例えば、初動の段階で関係者との間の意見の調整が十分につかないだとか、あるいは、初動における調整を強めるための、もう少し調整の機能があった方がよかったのではないかとか、そうしたことについては反省点が有識者の会議等でも述べられておりますし、そうした問題点に対応するための改正を今回考えているということでございます。

○本庄委員 今おっしゃったような観点から見たときに、今回の法改正そして統括庁の設置ということがその改善につながるのかどうかという点において、いろいろと疑問点がございますので、順次伺っていきたいというふうに思います。
 今大臣がおっしゃいました初動体制の対応ということなんですが、この委員会でも危機管理の要諦という話が何人かの委員から出ておりましたけれども、もちろん、縦で、シンプルな、指揮命令系統がしっかりしている等々の問題はあります。ただ、最も基本的なことは、やはり危機を危機として認識できるかというところから話は始まるんだというふうに私は思います。
 その観点からいうと、二〇二〇年一月、最初にコロナが発生したとき、このときの時の安倍内閣、安倍政権の初動体制に問題がなかったかどうかということです。当時の特措法を適用するという道も私はあり得たというふうに思います。ただ、時の内閣、安倍内閣は、解釈としてそれは無理だ、こういう判断をいたして、感染症法で対応しようとしました。その判断がどうだったのかということが一つ。
 そして、結局、特措法を改正してコロナを対象にしたということになりますが、この間の時間のラグが一月、二月生じてしまった。
 結局、特措法があっても、組織や体制があっても、危機を正しく認識できなければ、それはただの宝の持ち腐れになってしまうというふうに思うんですね。今回の法改正も、いろいろなことが盛り込まれておりますが、結局、危機認識、そういった能力がなければ対応できないということだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○後藤国務大臣 三年前の新型コロナの初動対応時においては、新型コロナについて特措法を適用することができないということでありまして、新型インフルエンザ、再興インフルエンザ、新感染症、そういう定義にそぐわないものだということで特措法を適用することができないと判断したわけでございますけれども、国内の複数地域で感染経路が明らかでない患者が発生するとともに、クラスターが確認されまして、更に感染が拡大するおそれがあったことから、令和二年三月十日に新型コロナを新型インフルエンザ等とみなす特措法の改正案を国会に急遽提出して対応したわけでございます。速やかに御審議をいただいた結果、十三日には成立しまして、翌十四日に施行されたことによりまして特措法が適用できることになった。これは非常に速やかな国会の対応をいただいたというふうに思っています。
 今回は、政府としては、まず、新型コロナ対策の終息に向けた取組を着実に進めているところでありますけれども、今回の法律案等に基づきまして、統括庁の設置を含めて、次の感染症危機への対応を具体化していくことが最優先であるということで、こうした法案の提出になっております。

○本庄委員 国会対応が速やかだったのは当然で、野党側がそもそも求めていた内容だったからであります。
 私は、当時の初動体制、判断ミスはあったんじゃないかと思いますが、今回の出てきた有識者の検証が、この初動の判断について私は対象にしていないと思うんですね。体制の問題はいろいろと議論されていますが、当時の政権の判断についての検証が私は必要だったというふうに思います。
 その上で、いろいろな問題があったという中で、やはり船頭が多過ぎたんじゃないかというふうに私は思います。総理、官房長官、厚労大臣、コロナ担当大臣、そして後半にはワクチンの担当大臣も出てきて、この委員会でもキングギドラという表現も出ておりましたが、まさに船頭多くして船山登るの様相だったというふうに思うんですね。
 今回の法案は事務体制の見直しということがむしろ中心になっていますが、政務レベルの問題について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

○後藤国務大臣 現在の体制というのは、内閣法に基づきまして、厚生労働大臣が感染症やあるいは医療等についての権限を持っているわけでありますし、それぞれの経済活動の規制等についても各大臣が権限を持っております。それを、内閣官房の総合調整権という形で、総理大臣がそれぞれの大臣の任命責任をもって統括しているだけじゃなくて、そういったことを官房長官と縦のラインで調整をしながら、その内閣総理大臣の権限を、担当大臣を任命する形で運営をしております。
 それぞれ、ワクチンの担当大臣は、ワクチンの配付ということについて、地方との調整が相当大変だったということもあって任命されたものでありまして、全体としては、内閣総理大臣の下、官房長官の縦のラインの全体としての内閣の調整の中でそれぞれの大臣が任務に従って議論し、それを調整しているという仕組みで、何とか進めるべく、これまでやってきたという認識でおります。

○本庄委員 それは今まではそうなんですが、今回、統括庁が設置をされる今回の法改正で、事務レベルではなくて、閣僚や政務のレベルにおいて、どういった司令塔機能あるいは危機管理体制の強化がなされるのかということをお伺いしております。

○後藤国務大臣 今回におきましては、統括庁をつくることによりまして、内閣総理大臣、官房長官をしっかりと補佐する、そして、そこに副長官、また医監等をしっかりと充て職ではめることによって、従来の専門家とそして内閣官房の縦のラインをしっかりとつなげるという形で、集中する司令塔機能をつくっているというふうに感じております。
 また、担当大臣等につきましては、こうした新しい制度ができたときに内閣総理大臣の総合調整をある程度任せるような担当大臣を置く必要があるのかどうかということについては、これは時の総理大臣の判断ということになると思います。

○本庄委員 結論としては変わらないということですね。三年間のコロナ対応においては、今申し上げたような五人の、総理、大臣が登場して、特に私、違和感ありましたのは、コロナの規制を担当する大臣が、経済を推進する経済再生担当大臣が兼務していたという、このちぐはぐさですね。そして、官房長官との関係もはっきりしないまま三年間が過ぎたということだと思います。
 大臣、しきりに縦のラインということを強調されますが、その言葉を当てはめていけば、コロナの担当大臣というのは今後は必要がなくて、官房長官がその下に統括庁を置いて各省を指揮していく、こういう結論に私はならざるを得ないと思うんですね。若しくは、官房長官が新型インフルの担当大臣を兼務する、そういう帰結になると思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○後藤国務大臣 現在も、内閣官房の事務に係ることは、これは内閣官房長官が事務を総括的に仕切る権限を持っているわけです。このことについては、統括庁ができた場合も変わるわけではありません。それは、内閣官房という、総理の最高の調整権をやはり集中的にしておく必要が内閣組織としてはあるということで、そういう法律の仕組みになっているわけであります。
 担当大臣というのは、そういう総合調整権をどういうふうに運用していくか、その機能に応じて、その時々任命されるものです。ですから、担当大臣の仕事というのは、例えば内閣法に基づく権限を厚生労働大臣が持っています。その厚生労働大臣の職務権限を代行して統括するということではなくて、それは、厚生労働大臣の職務、国土交通大臣の職務、文科大臣の職務、それぞれの職務を総合調整する形で運用しています。
 特に、運用の中心としては、経済規制というのは、例えば営業の休業要請をするとか時短要請をするとか、そういう経済活動について言えば、これは特措法に基づいて、特に感染症の対策として設けられた、そういう法律でありまして、その特措法については、重立った仕事を担当大臣である新型コロナ・健康危機管理担当大臣が中心となってやっているということであります。
 しかし、経済規制といえども、ほかの仕事について言えば、例えば観光の仕事であれば、これは国土交通大臣がやりますし、そういった形で、全体というものを調整しながら進めるというのが担当大臣の任務であるというふうに思います。

○本庄委員 総合調整機能は今の内閣官房にももちろんありますし、統括庁はそれを行使するということですが、結局、変わらないんじゃないんですか、統括庁ができても。内閣官房が持つ総合調整機能を使って、各省を一元的に管理していく、あるいは役割分担をしながらやっていく。私、この政務の問題をきちっと整理をしないと、結局また同じ問題が起きてくるというふうに思っています。
 その上で、ちょっとこの配付資料を見ていただきたいんですが、2番ですね、これは内閣官房の組織図なんです。
 三月十日のこの委員会でも、自民党の松本委員が質問されました。どこに統括庁が位置づけられるのかという問いだったんですが、これに対して政府は、内閣人事局と同じ位置づけの組織だ、こういうふうに答弁をされました。私、これはちょっと不正確、捏造とは言いませんが、不正確じゃないかというふうに思うんですね。
 これは、図でいうと、官房副長官、これが今度、感染症危機管理監になるわけですね。ここに、人事局であれば直結しておりますが、今度できる統括庁というのは、更にこの下に、官房副長官補が充て職となる感染症危機管理監補というのが入るわけですね。つまり、更に右側に移るわけですね、ラインが。その下に統括庁というのが置かれるわけなんですね。
 ということは、今、ずらずらずらっとたくさん並んでいる室がありますが、これと同じような位置づけに組織上はなってしまうんじゃないでしょうか。いかがでしょう、大臣。

○後藤国務大臣 先日の委員会での審議において、政府参考人から、今委員から御指摘のとおりで、内閣官房における指揮命令系統という観点で統括庁の位置づけを説明するに際しまして、内閣感染症危機管理監を内閣官房副長官の充て職とするとともに、内閣官房長官を助ける職として位置づけ、内閣官房の事務全般をつかさどる内閣官房副長官の指揮命令の範囲から統括庁の所掌事務を除外するという点に着目して、統括庁は、内閣人事局と同様、内閣総理大臣及び内閣官房長官を直接支える組織と位置づけられるという趣旨、そういう意味で述べたというふうに思っております。
 御指摘のとおり、統括庁は、官房副長官の充て職である内閣感染症危機管理監の下に、統括庁が官房長官に直属しているという点で、内閣人事局と同じ位置づけになるというふうに思っております。
 御指摘でありました、その下に内閣感染症危機管理監補等の職が置かれている、置かれていないということとは異なる意味で、要は、直接、官房長官に統括庁が直属している、その中にどういう職を置いているかという問題だというふうに思います。

○本庄委員 それではお伺いしますが、今回、官房副長官が感染症危機管理統括監、そして副長官補が危機管理統括監補になるわけですが、この肩書を持つことで何が変わるんでしょうか、権限や職務について。御答弁お願いします。

○後藤国務大臣 今御指摘のとおり、内閣官房副長官の三人は、現組織の中においては、命を受けて内閣官房の事務、これをつかさどる、内閣官房副長官補三人は、命を受けて内閣官房の事務を掌理することとされておりまして、それぞれの者が、担当業務に応じて、内閣総理大臣や内閣官房長官を助けるということとされているわけであります。
 今回、内閣感染症危機管理統括庁を設けるに当たりまして、副長官の中から危機管理監が、そして官房副長官補の中から危機管理監補が任命、充てられるわけであります。なおかつ、副長官及び副長官補のこうした全体としての職務の中から統括庁の所掌事務を除外するということで、任命された副長官そして副長官補が直接に管理監及び管理監補という形で総理及び官房長官を助けるという形のラインを明確にすることによりまして、より意思決定を統括庁のラインに一元化して、迅速かつ的確で、直接的に総理、官房長官を助けられる形になるというふうに考えています。

○本庄委員 お答えになっていないんですね。
 今だって、内閣官房は、総理大臣をトップにして、その下に官房長官がいて、その下に副長官がいて、その下に副長官補がいて、そして事務局、室があるという縦のラインに既になっておりますね。今回、統括庁ができることで、それで何が変わるのかということをお伺いしているんです。
 所掌事務ということでいえば、今回、内閣法に幾つか追加がなされますが、それを内閣官房の事務である、そして副長官や副長官補が処理するんだというふうにしてしまえば、全く同じじゃないですか。私は、これは看板のかけ替えどころか、単なるラベル貼りだと思うんですね。いかがでしょう、大臣。

○後藤国務大臣 法律の規定によってしっかりと、まずは、今言ったような、内閣の下に官房副長官や副長官補が複数いて、そこに分担させながら担務として担当させていって、通常の内閣官房の、そういう組織の中で仕事をするのと、その通常の組織対応から独立して、外した上で、所掌から外した上で、具体的な官房副長官と副長官補を法律で認められた職にきっちりと補職するわけでありますから、そういう意味では、責任性と、そして、より的確で、危機に対して直接的な対応ができる、その機能は高まるものと思って法律を準備いたしております。

○本庄委員 これもまたちょっとおかしな答弁なんですが。
 例えば、今の体制で、安全保障、危機管理は、官房長官、副長官、そして危機管理監がいて、そして担当の副長官補がいる、こういう縦のラインになっております。これは機能しているんじゃないんですか、役割分担をしていることで。
 別に法律で除外するとかそういうことをやらなくても、三人いる副長官補の中で担当をきちっと置いて、事務局を下に置けば、それで縦のラインはもう完成するんじゃないんでしょうか。私はそこをお伺いしているんです。

○後藤国務大臣 内閣危機管理監は危機管理について担当をするわけでありますけれども、今回、統括庁ができることによりまして、感染症の危機管理については統括庁が担当をするということになります。
 そういう意味で、もちろん、内閣危機管理監は感染症法上の危機管理について必要な協力をする等の、そういう連携の関係はありますけれども、感染症という専門的な分野であったり、国民に幅広い協力を求める必要が感染症対策というのはあるというようなことを踏まえて、内閣危機管理監とは別な感染症対策の危機管理ということを、権限としても分けた上で担当をさせているということだと思います。

○本庄委員 私の質問の仕方が悪いのかもしれませんが、今でも危機管理については、三人いる官房副長官の中で担当を決め、そして副長官補でも担当を決め、縦のラインをつくってあるんじゃないですか、どうして今回、統括庁だけがそれを切り分けることをしないと縦のラインができないのかというのが私の質問なんですね。
 今の事態対処なんかは、内閣官房の中で、特別のそんな、何とか庁と置かなくても対応できているじゃないですか。できていないんだったら問題があると思うんですけれども。なので、そことの違いを私はお伺いをしております。いかがですか。

○後藤国務大臣 やはり感染症というのは、今回、COVID―19の非常に大きな社会に対する影響、これは非常に幅広い経済活動、国民の一人一人に大きく関係するようなものでありまして、直接命や生活に関わるものだ、そういう条件を、いろいろ体験する中で、感染症法の特徴、ちょっと繰り返しになって恐縮でありますけれども、そうしたものに対応していくための、そうした専門の司令塔機能、感染危機のための対応を決めた方がいいと。
 特に、幅広く広がっていることに、各省に広がっていますから、総理大臣のいわゆる総合調整機能を特に強力に発揮できるようなそういう仕組みを、従来の総合調整機能でできなかったわけではないじゃないですかというお問いかけに対しては、もちろん、そういう、今の総理大臣が持っている総合調整機能で対応できないと私は申し上げているわけではありません。
 しかし、そこにそういうものをつくることによって、より司令塔機能を高めることができる、そういう機能を付与できるものだというふうに御説明をしています。

○本庄委員 それが変わらないと私は申し上げているんですね。つまり、今の内閣官房が持っている機能と何も変わらないんですよ。室が何とか庁、統括庁に変わるという程度の変化しか私はないと思いますよ。副長官と副長官補が新しい肩書を持つ。併任みたいなものですね。それ以外の、権限の強化も、あるいは指揮命令系統の整理もないと私は思います。むしろ、大臣が何人も乱立している状況がそのまま放置をされている、そちらの方がよほど問題じゃないかと思います。毒にも薬にもならない、そういう組織だと私は思います。
 その上で、今度はちょっと害の方なんですけれども、危機管理監の話が今出ました。私も質問通告しておりますので、その質問に入っていきたいと思いますが。
 危機管理監が置かれている趣旨というのは、やはり特殊な経験や知見が必要なわけですね、危機管理というのは。なので、その専門家を置いて、そして政府全体を見ている、それが危機管理監の置かれている立場だというふうに思うんです。防衛だけは除かれています、所掌事務から、今までですね。これは総理大臣と防衛大臣、そして自衛隊のラインで危機管理に対応する、こういう趣旨で整理をされていたと思います。
 今回、法律が変わることで、この危機管理監の所掌事務から、直接的には感染症が外れるということになっております。私、これは非常に問題が多いと思うんですね。例えば、災害とかテロとか原子力災害、こういった事故が起きたときに、危機管理監は当然、担当として対応するわけですね。何で感染症だけが外れてしまうんでしょうか。

○後藤国務大臣 これまで内閣危機管理監は、感染症に係るものも含めて、危機管理に関するものを統理してきたところでありまして、これはもう先生の御指摘のとおりです。
 感染症危機管理については、迅速な初動対応だけではなくて、中長期的な視点での対応が求められることや、医学や公衆衛生に係る専門的知見を踏まえた政策判断が重要であること、国民の行動によって影響の程度も変化するために、国民を巻き込んだ、そういう息の長い、また幅広い取組が求められることなどの点で、他の分野の危機管理対応と異なる特徴を持っているというふうに考えています。
 このために、今後、感染危機管理に係る総合調整事務は、平時、有事一貫して統括庁が一元的に所掌することとするために、内閣危機管理監の所掌から除外をすることにしたということであります。

○本庄委員 それもよく分からないんですね。
 内閣危機管理監は、官房長官そして副長官の下で危機管理を担当しているというのが今の所掌ですね。じゃ、今回、統括庁が置かれることで、この危機管理のプロとしての役割、特に初動における役割を果たすのは誰になるんでしょうか。そういう専門家がこの統括庁にはいるんですか。私はいないと思うんですね。
 官房長官、副長官は今もいます。ただ、それだけでは足らないから危機管理監が置かれているわけで、じゃ、今度新設される感染症危機管理対策官、この方が危機管理のプロかと言われれば、そうではありませんよね、厚労省の医務技監です。
 私は、ここであえて危機管理監を外してしまう必要性を全く感じないんですが、縦のラインですからね、この人も。いかがですか、これに代わる人はいるんですか。

○後藤国務大臣 いろいろな危機が発生したときに、その危機に対して一義的に対応するのは内閣危機管理監だと思います。
 ですから、例えば、余り具体的な例を言ってもあれですけれども、感染症に関わる危機管理として統括庁が対応をするというのは、これは、感染対策の対応、こうしたことが必要になるような危機管理に限られているわけでありまして、どういう危機管理が必要な状況なのかも含めて、何が起こったのか分からないというような事態においては、これは内閣危機管理監がまず対応する事態だと思います。それに加えて、感染症対策、そういう専門的な危機管理ということを統括庁が行っていく。
 しかし、その統括庁の初期段階、初動段階においても、危機管理というノウハウや、危機管理のいろいろな、様々な対応ということも、御指摘のように非常に重要な点だということであるので、内閣危機管理監が、内閣官房長官等から臨時に指示を受けて、感染症に係る初動対応についても、統括庁の事務に協力することを規定、想定しているというのが今回の考え方の整理だというふうに思います。

○本庄委員 今の御説明を聞いても、何であえて危機管理監を外す必要があるのかというのがいまだに見えてきません。
 事が動き出してからでも、いろいろな状況が想定されるわけですね。協力するという規定が置かれているのは事実です。ただ、私、非常に権限が弱いし、責任の所在や役割分担も曖昧だと思います、この危機管理監が協力するという規定は。
 私は、ここの条文の修正は削除をして、元のままの危機管理監の所掌事務ということに残しておいた方が、危機管理の観点から見て上策じゃないかというふうに思いますが、答弁はもう求めません、意見を申し上げて、次の質問に移っていきたいと思います。
 今回、新たに厚生労働省に感染症対策部というものが設置をされますが、それに関連してちょっとお伺いをしていきたいんですけれども、まず、統括庁の対象となる感染症の範囲、これについて改めて教えていただきたいんですが、厚生労働省の感染症対策部の対象とする感染症との違い、ここについて教えてください。

○後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁は、感染症の発生及び蔓延の防止に関する総合調整事務を所掌するものであり、感染症の発生及び蔓延の防止に関し政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合には、統括庁が総合調整を担うこととなります。
 具体的には、新型インフルエンザや今回の新型コロナウイルス感染症など特措法の対象となる感染症は、全国的かつ急速に蔓延するおそれがあり、国民の生命、健康を保護しつつ社会全体への影響を最小化する必要があるために、政府全体の立場からの総合的な対応が必要になることから、統括庁の対処の対象となる。だから、まず、特措法が対象になります。
 また、特措法の対象ではない感染症についても、政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合は、統括庁が蔓延の防止に関する総合調整を担うことは考えられます。
 統括庁が対応する感染症に該当するかどうかは、新たな専門家組織として設置される国立健康危機管理研究機構の科学的知見等を踏まえて、個別の感染症に係る具体的な病状等の状況に応じて、個別的に判断していくことになるというふうに考えています。

○本庄委員 今回、統括庁と厚労省の感染症対策部が一体となって対応していくということですが、厚労省にお伺いしますが、今回新設される感染症対策部、ここの事務の規定や、あるいは定員というのはどういうふうになるんでしょうか。

○鳥井政府参考人 お答え申し上げます。
 感染症対策部でございますが、感染症対応の実務面での強化を図るために厚生労働省に設置をする組織でございまして、感染症対策について、予防接種、検査、保健所の業務指導、検疫等の業務を一体的に実施をすることとなります。これは、厚生労働省組織令改正で業務を今後規定することになってまいります。
 これらの業務を行う、平時においては、現行の組織から二十五名増員をいたしまして、二百名弱、百九十七名定員の組織とする予定でございます。

○本庄委員 セットで対応していくということでありますから、今回立ち上がる予定の統括庁、そして厚労省の方の感染症対策部、さらには日本版CDCというのを、是非きちっと一体で組織を整備していただきたいというふうに思います。
 さて、内閣官房と内閣府の肥大化の観点から少しお尋ねをしたいんですが、今回、統括庁の定員が平時三十八名、そして有事百一名ということなんですが、これに伴ってコロナ推進室は廃止されるということになっていくんだと思いますが、内閣官房全体では定員はどういうふうになるんでしょうか。これは内閣官房、事務方から御答弁ください。

○黒田(秀)政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣官房の令和四年度末定員は千三百七十九人、令和五年度末定員は千三百三十二人を予定しておりまして、差引き四十七人の減員を予定しております。
 主な増減の要因ですが、先生御指摘ありました内閣感染症危機管理統括庁の設置に伴う増が三十三人、そして、こども家庭庁の設置に伴う振替減、九十人の減などが要因でございます。
 以上でございます。

○本庄委員 コロナのところだけ着目すれば、それは、有事も去って、平時に戻って、定員も少し減るということでしょうけれども、長い目で見たときに、やはり、内閣官房と内閣府は、組織は肥大化し、定員も増え、併任も増えている、こういう状況は否めないというふうに思うんですね。そういう中で、今回また統括庁なるものが新しくできるということで、行革の観点からもしっかりと検証していかないといけないと思うんですけれども。
 平成二十七年、二〇一五年の一月に閣議決定をしている、「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」という閣議決定があります。ここの中に、内閣官房及び内閣府への業務の追加は、その必要性を十分勘案した上で判断する、新たな業務を法律によって追加する場合には、原則として期限を設けることとする、こういうふうに明記をされております。この、必要性を十分勘案、あるいは期限を設ける、この閣議決定は、現在ほとんど空文化してしまっているんじゃないかと思うんですね。
 二〇一五年以降規定された内閣官房や内閣府の業務で、期限が切られて設置された組織はあるんでしょうか。これは事務方から答弁してください。

○七條政府参考人 お答えいたします。
 期限の設定状況について御質問をいただきました。
 内閣官房につきましては、平成二十七年の閣議決定以降に施行された法律により追加された事務は八件ございまして、そのうち、設置期限が定められているものが二件、また、施行後一定期間後に検討するとされているものが四件、定められていないものが二件あると承知をしてございます。

○本庄委員 閣議決定で、原則として期限を設けよというふうに政府自身が決めているわけですね。私、今御答弁ありましたけれども、八分の二というのはやはりちょっと少ないと思うんですね。やはり、内閣官房、内閣府の業務の肥大化防止の観点から、期限を切って新しい組織をつくっていくということは、改めて原点に立ち返っていただきたいというふうに思います。今回の統括庁が期限になじむ組織とは私も思いませんが、一般論としてこのことは申し上げておきたいというふうに思います。
 最後に、いわゆるコロナ予算についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。
 今回の改正案にも、新型インフルエンザ対策に係る経費として都道府県や市町村の負担を軽減する特別の交付金に関する規定、あるいは地方債の起債の規定ということが設けられております。
 私も、地方自治体に対する財政措置の必要性は理解をいたしますが、ただ、その前に、やはり、この三年間のコロナ関連予算の全体像の把握、あるいは使途のチェック、あるいは政策効果の検証といったことをしっかりとやらないといけないと思うんですね。
 今回、有識者が出してきた検証結果というのは、たった一か月で五回会議を開いただけ、そして、体制の見直しや感染症対策のありようが中心になっていまして、予算面とか政策効果というところでの検証はほぼノータッチ、こういう状況です。私は、今後の、この知見、三年間のいろいろな経験を生かしていくためにも、こういった検証は不可欠だというふうに思います。
 さて、この有識者会議の報告書の中にも、最後に、経済社会財政への影響、財源の在り方、施策の効果などについて多面的に検証が行われ、的確に政策が進められることを求めたいということで、多面的な検証ということを有識者会議でも求めています。
 これは後藤大臣も同意されていますか、検証をやる、そういう意欲をお持ちですか。

○後藤国務大臣 有識者会議におきまして、今委員から御指摘のあったような指摘がなされております。
 有識者会議は、御指摘のように、五月から六月にかけて五回にわたって検証を行ったわけでありまして、報告書が取りまとめられて、中長期的な課題を整理していただいたことを踏まえて、九月に政府対策本部において感染症危機に備えるための具体策を決定するとともに、十二月にはまず感染症法の改正を行い、今回は内閣感染症危機管理統括庁設置のための改正法案を御審議をいただいているところです。
 政府としては、まず、足下の、もちろん、新型コロナ対策の終息に向けた取組を着実に進めると同時に、これまでの新型コロナへの対応について不断の検証を行いながら、次の感染症危機管理対応の備えに反映させることが重要であるというふうに考えておりまして、先ほどの先生の御指摘について言えば、不断の検証が必要であるというふうに思っております。

○本庄委員 大臣、不断の検証という言葉がお好きなのか、よく繰り返されておりますが、不断の検証というのは、どういうふうに検証して、そして、どういうふうに国会あるいは国民に公表されるんでしょうか。何か、やっているのかやっていないかも分からないような検証じゃ困るんですね。きちっと取りまとめて、見える形にしていただかないと困るんですが、大臣のおっしゃっている不断の検証というのはどういうものですか。

○後藤国務大臣 まずは、今申し上げたように、コロナ対策の終息に向けて全力を挙げるとともに、それから、これまでの、今御指摘をいただいた有識者会議等の検証において、早急に中長期的課題、来るべき感染対策としてすぐにやるべきことということで指摘をされていること等について、法制度等の改正に全力を挙げているところでありますけれども、そうした中にあっても感染症危機管理対応は進んでいるわけでありまして、そうした感染症危機管理対応の中で、やはり問題になる点、そうしたことについては検証をしっかりしていくというのが不断の検証ということになります。
 そうしたことについては非常に重要だということでありますけれども、今、どういう形で、どういう検証を今後していくのかということについては、今申し上げたような、まずもっての対応に全力を挙げているところで、具体的にちょっとお答えできるような状況ではありません。

○本庄委員 不断の検証とふだんの検証は、日本語が違うと思うんですね。(後藤国務大臣「不断です」と呼ぶ)はい。
 それで、やらないと言っているに等しい答弁だったんですが、大臣、コロナ予算は百兆あるいはそれ以上、三年間で使ってきたと言われている。今、増税までして防衛費を増やそうとか、そんな議論をしているときに、この三年間の百兆円の使われ方が適切だったかどうかということは待ったなしの検証じゃないんですか。今からやります、それともやるかどうかも分からない、私はこんなことじゃ困ると思うんですね。
 例えば、じゃ、この三年間、コロナ関連の予算というのはどれぐらい使ったんでしょう。政府として把握されていますか。

○寺岡政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの、新型コロナ対策の関連予算の全体像でございますが、直接的な感染防止対策のみならず、新型コロナによって影響を受けた経済、雇用への対応、様々な事業が関連予算として含まれ得ることから、明確に切り分けてお答えするには困難な面がありますが、例えば、病床確保などの医療提供体制の確保、ワクチン接種体制の整備、飲食店への協力金等の給付、雇用調整助成金の特例措置や実質無利子無担保融資など、非常に様々な予算が措置されてきたと理解してございます。
 これらの予算の執行状況でございますが、例えば経済財政諮問会議などにおきましても、新型コロナ対策の主な事業について、その執行状況を取りまとめ、公表を行ってきている、このように理解してございます。
 委員御指摘のように、これまで措置してきた予算が何に使われ、どういった効果があるか、こういった点を検証していくということ、そしてそれを説明していくということは非常に重要な課題であると考えてございます。
 今後とも、政策の効果等につきまして、関係省庁と議論し、検討を行い、予算編成などにも適切に生かせるようにしてまいりたいと思ってございます。(本庄委員「金額を聞いているんだけれども」と呼ぶ)
 多様な事業が関連予算として含まれ得ることから、明確に切り分けてお答えすることは非常に難しいと考えてございます。

○本庄委員 財務省、それでいいんですか。財政の責任者が切り分けられませんと。こんないいかげんなことで増税までやろうとしているんですか。
 何か、さっき、予算委員会で議論しろというやじもありましたが、今回の法案の中に、地方向けの財政措置を更に緩めていこう、やりやすくしていこう、こういう規定が入っているんですね。だから、私は、過去の検証がまず先に必要じゃないですかというふうに伺っております。非常にいいかげんな答弁だと思いますね。
 財務省、数字をきちっと示してください。

○寺岡政府参考人 お答え申し上げます。
 直接的な感染防止対策のみならず、影響を受けた経済、雇用への対応など、多岐多様な事業が含まれていることから、この時点で明確に切り分けてお答えすることは難しいということを御理解いただきたいと思います。

○本庄委員 会計検査院、昨年の十一月でしたでしょうか、決算検査ということで、コロナ予算について金額を特定して、そして所見を述べておられますが、その金額と、そして所見の内容を教えてください。

○宮川会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 会計検査院は、令和三年度決算検査報告に、新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等についてを掲記したところでございます。
 検査の状況でございますが、令和元年度から三年度までの三年間のコロナ関連事業、計千五百二十九事業を特定し、これらの事業について見ましたところ、千三百六十七事業については予算の執行が区分して管理されており、これに係る三年間の予算総額は計九十四兆円余り、支出済額七十六兆円余り、繰越額十三兆円余り、不用額四兆円余りとなっている状況等が見受けられました。
 また、コロナ関連事業に係る予算執行等の情報提供の状況について検査しましたところ、繰越額及び不用額については、一事業以外にはコロナ関連事業と分かる形で公表されておりませんでした。
 このような検査の状況を踏まえまして、会計検査院といたしましては、各府省等は、多額に執行されているコロナ関連事業に係る予算の執行状況等に関して、予算の執行状況を示す基本的な情報である支出済額、繰越額、不用額などについて分かりやすく情報を提供することが望まれる、こういった所見を述べたところでございます。

○大西委員長 申合せの時間が経過しておりますので、よろしく。

○本庄委員 はい。
 財務省は切り分けできないと言いますが、会計検査院、切り分けているじゃないですか、ちゃんと、事業の数まで特定して。やればできるんじゃないですか。財務省、怠慢じゃないですか。
 時間が来たので終わりますが、大臣、最後に、検証、きちっとコロナ予算、お願いします。
 以上です。