国会質問アーカイブ

2/22 予算委員会(集中審議)総理出席、NHK中継

本庄さとしYouTube
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質問要旨

1 健康保険証の廃止とマイナ保険証について

2 安全保障関連3文書(特に反撃能力)について

3 周辺有事における日米の事前協議制度について

【要求大臣】総理大臣
【パ ネ ル】あり
【配付資料】あり

議事録

○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。千葉八区、柏市、我孫子市選出です。
 二度目の議論となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 質問に入る前に、本日の午前中の我が党の泉代表の質疑の中で、同性婚について取り上げた際、総理の真後ろの、そちらの秘書官、首を横に振ったり、笑ったりしていた、質疑中に泉代表からのそういう指摘がありました。
 お昼の時間に通告をいたしまして、この当該秘書官に事実関係を確認の上、午後、総理から御説明をいただくようお伝えをしましたが、御答弁をお願いいたします。

○岸田内閣総理大臣 午前中の質疑において、私自身、総理大臣として、LGBT、同性婚の問題等について泉代表と真剣に議論させていただきました。
 その際に、私の後ろで御指摘のような点があったという御指摘を受けたわけでありますが、そうした事実について、昼休みの時間、確認をさせていただきましたが、そういった事実について、私自身は確認することができませんでした。
 いずれにしましても、秘書官たちも、私と同じ認識で職務に当たってもらわなければなりません。この予算委員会でのやり取りの中で、私自身も、先ほど申し上げました、真剣に議論に臨みましたが、秘書官においても同じ思いでこの予算委員会の審議に臨んでもらわなければならないと強く思っております。

○本庄委員 お昼に通告したのは、もちろん、総理、後ろに目はありませんので、当該秘書官御本人に確認をしてくださいということで、真後ろの、そして右から四人目の方、指定までして、通告をいたしておりますが、確認いただけていないんでしょうか。
 何なら今、いつも後ろを振り返ってお話しになっていますが、今御確認いただいても構わないんですけれども、いかがでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 確認はできておりません。
 いずれにせよ、御指摘のような点があることについては、そうした指摘を受けること自体、これはあってはならないわけであり、緊張感を持って対応しなければいけないと改めて強く思っております。

○本庄委員 なぜ、今確認できないんでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 昼休み時間、笑ったという指摘を受けたわけですが、その笑ったということについて確認ができていないということであります。

○本庄委員 確認をしていないだけじゃないんですか。中継で国民の皆さんも御覧になっているんですが、総理、今の御答弁でいいんでしょうか。
 知られたくない、笑っていた、首を横に振っていた、そういう事実が明らかになってしまうので、あえて確認ができない、そういうことではないんですか。
 これは、前の荒井秘書官がLGBTの皆さんに対する差別発言で辞めるということになった、その後のことだけに、私たちも重大な関心を持って、あえてこの貴重な時間を使ってお聞きをしております。誠実に御答弁ください。

○岸田内閣総理大臣 笑ったという事実は確認できておりません。
 しかし、こうした指摘を受けること自体、この予算委員会の審議に影響を与えるわけでありますから、これは問題である。是非、緊張感を持って、気を引き締めて対応しなければいけない、これを強く指示をしたいと思います。

○本庄委員 笑っていただけではなくて、同性婚の話のときに首を横に振っていた、このこともお伝えをしております。
 国民の皆さんに申し訳ないので、このことはこれ以上、お聞きをここではいたしませんが、事実関係を確認をして、理事会に御報告をいただきたいと思います。
 委員長、よろしくお願いいたします。

○根本委員長 理事会で協議します。

○本庄委員 それでは、本題の質問に入ってまいります。
 まず、二月十三日のこの委員会の質疑で、河野大臣、私の質問に、所管外だと言って、十二回答弁拒否がありました。極めて遺憾だと思いますね。事前にきちっと通告もして、そして河野大臣のかつて外務大臣在任中の問題や、安倍元総理と二人で話した内容について確認をいたしました。所管外と言って逃れられる質問ではなかったと思います。
 私は河野大臣のツイッターをブロックされておりまして直接確認できないんですが、閣僚は所管外のことに答弁できないというふうにお書きになっているそうなんですね。しかし、そんなルールはありません。もしそんなルールがあるんだったら、例えば閣僚の政治資金の問題なんかについて国会で質疑できなくなりますね。
 総理、これは国会審議、民主主義の基本に関わる問題だと思います。是非しっかりと説明責任を果たしていただきたい。このことを最初に申し上げた上で、最初の質問を申し上げたいと思います。
 健康保険証、そしてマイナンバーカードとの一体化の問題です。
 私は、マイナ保険証や医療のデジタル化に反対をしているわけではありません。問題は、一体化したくない人や一体化できない人をどうするか、こういう問題です。
 昨年の秋に、突然、大臣の発表で、それまで希望すれば交付するとされていた保険証を完全に廃止するということになりました。国民の多くの皆さんが戸惑い、そして不安を感じておられます。
 まず、総理に端的に御質問したいんですけれども、マイナ保険証にメリットがあるとしても、だからといって、なぜ今の健康保険証を廃止しなければいけないんでしょうか。明確にお答えください。

○岸田内閣総理大臣 健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化することによって、患者の方自身にとっても、健康、医療データに基づいた適切な医療を受けることができるなどメリットがあるわけですが、一方で、医療機関、薬局にとっても、正確な情報に基づく医療提供ができる、さらには、スタッフの確認事務が減少するなど様々なメリットがある。また、保険者にとっても、過誤請求による事務処理負担が減少する、保険証等に係る事務手続が減少するなど、それぞれメリットがあります。
 そして、こうしたメリットは、カードに保険証が一体化されて、それがベースとなって活用される、成果が出てくる、こういったものであると思います。そういった観点から、今回、健康保険証とマイナンバーカードの一体化、これを政府として目指していきたいと考えた次第であります。

○本庄委員 私、丁寧に質問をしたつもりなんですが、マイナ保険証のメリットは理解しています、患者側にとっても、医療機関側にとっても。しかし、希望していない人や今のままでいいと言っている人も含めて、今の保険証を廃止してしまう、その必要性についてお聞きをしています。
 当事者からしてみれば、お国の余計なお世話なんじゃないでしょうか、今のままでいいよという人は幾らでもいます。私も地元で、おじいちゃん、おばあちゃんから、ポイントもらえるからマイナンバーカードを取ろうかなと思っているけれども、紙の保険証しか近所のお医者さんは使えないし、どうしたものかな、こういう相談をよく受けますよ。そういう人たちをまさに追い込んでいくような今のやり方が、私はいかがなものかな、そういうふうに思っているんです。
 明確に答えてください。なぜ今の保険証を廃止する必要があるんですか。

○岸田内閣総理大臣 先ほど様々なメリットを申し上げましたが、医療機関、薬局、さらには保険者、この立場からした場合に、様々な事務処理負担の軽減等を考えた場合に、書類とマイナンバーカード、両立することによって、逆に事務処理の効率化が落ちる、負担が増える、こうしたことも考えられます。一本化してこそマイナンバーカードのメリットが生きるという認識の下に一本化を考えた、こういった次第であります。

○本庄委員 それは医療機関側から見たメリットですね。私が繰り返し伺っているのは、患者側から見た今の保険証を廃止する必要性です。
 恐らく答弁書はお手元にないんでしょう。事務方に幾ら聞いても、この答え、もらったことはありませんので。
 違う角度からお伺いしたいと思います。
 先般、デジタル庁が中間取りまとめというのを発表しました。そして、マイナンバーカードによってオンライン資格を受けることができない人、こういう方々に、資格確認書、基本は紙、丁寧に書いてあります、これを保険者に確認をするということで、保険証に代わるものとして資格確認書というものを新たに作って発行する、こういうことになっております。
 これは、今の健康保険証と何が違うんでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 これは、要は、カードによるオンライン資格確認、これが基本であります。そして、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方について、本人の申請に基づき発行される資格確認書により被保険者資格を確認する、こういったこととしております。
 あくまでも、マイナンバーカードを紛失した、あるいは更新中、こうしたケースにおいて資格確認書を発行する。こうした対応を、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会において、今月十七日に公表した中間取りまとめにおいて確認をした、こうした次第であります。

○本庄委員 それは今の紙の保険証でもできるんですよ。オンライン確認というのはできるんです。ですから、新しくできる資格確認書と一体何が違うのかと。
 今の保険証、マイナ保険証、そして資格証明書、さらに資格確認書。私もこれを覚えるだけでも大変なんですが、四番目の新しいものを、これはまたお金もかかるんじゃないですか。私は本当にこういう無駄なことはやめた方がいいというふうに思います。
 時間も限られておりますので、少し具体的な話をさせていただきたいと思います。
 パネルの二ですね、お手元にも配付資料があると思います。これは、大井町そして岡崎市のホームページから、健康保険証とマイナンバーカードの記載事項変更のサンプルということで用意したものなんです。
 上段、健康保険証ですが、性同一性障害の方が本名や性別を表面に記載したくないという場合に、裏面参照という形で、裏に記載ができます。保険証はこういう柔軟な対応をしています。表面の氏名を通称名にすることも容易にできます。
 ところが、マイナンバーカードはどうか。これは下段、下の方ですけれども、住民票と同じ、つまり戸籍上の本名と性別が必ず表面に記載をされる、こういうことになっているんですね。裏面には記載できません。これは施行令で決まっています。
 また、性別を変更したい場合、このときも、マイナンバーカードの場合は戸籍上の性別を変える必要がありまして、裁判所への届出が必要です。性別適合手術も必要になる。こういうことで、相当ハードルが高いということなんですね。
 さらには、この変更した履歴が御丁寧に表面に記載をされるというルールになっているんですね、氏名や性別を途中で変えてしまうと。
 ということで、性同一性障害の方々からすると、このマイナンバーカード、マイナ保険証を使うと、そのたびに戸籍上の本名、性別あるいは変更の履歴を他人に見せなきゃいけなくなるということで、これは精神的な苦痛も察するに余りあるわけです。
 そこで、総理にお伺いしたいんですが、仮に来年秋に健康保険証を廃止してしまうのであれば、それまでにマイナンバーカードの氏名、性別の記載方法や変更方法について、LGBTや性同一性障害の方々に配慮した形に変えるべきだと私は思うんですね、今の四角四面のやり方ではなくて。少なくとも今回できるとされている資格確認書は保険証並みの柔軟な対応が必要だと思います。是非、総理の御見解をお願いいたします。

○岸田内閣総理大臣 マイナンバーカードの券面に性別の記載があることについては、カード創設当初にLGBTの皆様から御心配の声をいただいていたため、カード交付開始以来、カード交付時に、性別欄をマスキングするカードケース、これを配付しております。
 マイナンバーカードの券面記載事項については、御指摘の件を含め、本人確認のためのカードの在り方として重要な事項であり、関係者の意見を伺いながら丁寧に検討を進めていくべき課題であると認識をしております。

○本庄委員 いつも検討で、大変残念なんですが、マスキングと言われても皆さんすぐ分からないかもしれませんが、要は、ビニールの袋に入っていて、少しそこに目隠しがついているというものです。総理も御覧になったことはあると思うんですね。カードそのものには直接関係のないものです。
 私は、カードの記載の方法、ルール、きちっと変えるべきだと思いますし、申し上げたように、保険証の代わりに発行されるという資格確認書は少なくとも今の保険証並みの柔軟な対応を是非するべきだと思いますが、総理、御答弁をもう一度お願いします。

○岸田内閣総理大臣 資格確認書における氏名、性別の表記を含む具体的な記載事項については、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会において、現行の健康保険証における取扱いを踏まえつつ今後検討する、このようにしております。
 LGBTの方々への配慮を行うことは重要であると考えており、氏名、性別の表記方法についてどのような工夫ができるかを含め、丁寧に検討をしてまいります。

○本庄委員 検討は結構ですが、少なくとも今の保険証が廃止をされてしまう来年の秋までに、きちっと新しいルールにのっとったカードが手元に届く、そういう日程感で検討をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次の安全保障の方に話を移したいと思います。
 先日のこの予算委員会で我が党の岡田幹事長、玄葉議員より、反撃能力行使の分かりやすい事例を示してほしい、こういう発言がありましたが、さっきも泉代表からも少し言及がありました。岸田総理はそのとき、基本的な考え方を分かりやすく図式等で説明することはあり得る、こう答弁されましたが、いまだに何も出てきておりません。一体、いつ示していただけるんでしょうか、反撃能力の事例ですね。

○岸田内閣総理大臣 国会での議論、また国民の皆様への説明を考えた際に、分かりやすい説明、これは重要であり、分かりやすい例を示す、御指摘のような図等を活用した形で説明を行うこと、これは重要だと申し上げました。
 今、具体的に、どのような説明が分かりやすいものか、この調整を進めているところであります。

○本庄委員 この委員会で質疑が出てから、もう二週間ですか、三週間ですか、随分時間がたって、間もなく予算の、衆議院も山場を越えてという段階になって、調整だとか検討だということはやめていただきたいと思います。
 これは、四十三兆円の防衛費の使い道とセットの議論なんですね。そして、政府が安全保障政策の大転換だとおっしゃっている、その肝のところですよ。憲法の海外派兵禁止の原則の例外として許容する、そういう中身なんですね。相当丁寧な議論をしなくちゃいけないと思います。
 そしてさらに、国会との関係でいえば、基本は事前承認です。ただし、このミサイルに関しては、スピード感からいうと事後になる可能性が高いと思うんですね。
 となれば、やはり国会審議の中で、いろいろな類型とか事例とか、いろいろなものを示して、あらかじめ議論しておかないと、何でもかんでも白紙委任で、後はよろしくといったって、これは国会として役割を果たせないと思うんですね。
 委員長、これは、安保法制のときに内閣官房が作成をして与党への説明をしました。さらに、これに基づいて国会でも総理始め閣僚が事例として答弁をしています。この程度のものはいつでも出せると思うんですね、今だって。是非、政府からきちっとした事例を出していただくよう、理事会でお取り計らいをお願いします。

○根本委員長 理事会で協議します。

○本庄委員 さて、パネルの五、存立危機事態、つまりは限定的な集団的自衛権との関係についてお伺いしたいと思います。
 日本自身が攻撃を受けていないけれども、それと同じぐらい日本が危ない、存亡の危機に関わるというときには、武力行使あるいはミサイル反撃ができる、こういう話です。
 昨年末に政府が閣議決定した国家安全保障戦略には、前段に反撃能力とは何かという説明があった上で、反撃能力の政府見解というものが示されています。憲法上可能だとした一九五六年の政府見解。これは、平和安全法制の武力行使の三要件の下で行われる自衛の措置にもそのまま当てはまる、このように書かれていますね。つまりは、限定的な集団的自衛権の状況、存立危機事態の状況において、日本自身が攻撃を受けていなくてもミサイル反撃が可能だ、こういう見解です。
 そこで伺いますが、先ほど私がお示しした四つ、政府全体でいえば事例は八個、安保法制のときに、集団的自衛権、存立危機事態の事例として示されました。この八つの事例には、この考え方は当てはまる、つまりは三要件を満たせばミサイル攻撃が可能となる、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 反撃能力の行使、すなわち我が国として武力を行使するわけでありますが、その際に三要件を満たすということ、これは必須のことであります。
 そして、反撃能力はミサイル攻撃を想定しております。現実問題、他に手段がない、必要最小限の手段であるということ、これもしっかり満たしたものでなければ、反撃能力、これは行使することができないものであります。
 こうした条件を全てクリアするということをしっかりと理論上確保することが重要であると考えます。

○本庄委員 明確には答弁されませんでしたが、可能性はあるんだ、こういう答弁だと理解しました。
 ミサイルだとおっしゃいましたが、例えば機雷掃海をしているときに、ペルシャ湾、ホルムズ海峡で。どこからかミサイルが発射をされる、攻撃を受けてしまうという可能性ももちろんあるわけですね。あるいは、ほかの幾つかの事例でいえば、日米共同でミサイル警戒監視行動をしているときにミサイル攻撃に遭うということも想定されるわけで、結局は存立危機事態においても日本はミサイルをもって反撃をすることができるんだ、こういう御答弁だと私は今理解しましたが、それでよろしいですか。

○岸田内閣総理大臣 存立危機事態において、すなわち我が国と密接な他国が攻撃を受けた場合、自動的に存立危機事態の発動につながるというものではありません。あわせて、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、これが存在しなければ、存立危機事態の要件を満たすことはないということであります。
 こうした要件と、先ほど申し上げました、他に適当な手段がない、あるいは必要最小限の実力行使にとどまるということ、こういった条件を満たすことが必要であると考えます。

○本庄委員 なぜ私がここにこだわっているか。そもそも存立危機事態というものの定義が非常に曖昧だということです。
 その端的な事例を申し上げます。パネル四のホルムズ海峡の事例ですが、このホルムズ海峡での武力行使、機雷掃海がなぜ許容されているかというと、本来は他国領域では日本は武力行使をしないというのが憲法上の大原則で、その例外です。
 なぜその例外が認められるか。存立危機事態だからなんですが、武力攻撃を受けていないにもかかわらずこれが認められている理由は、深刻なエネルギー危機、あるいは国民生活への死活的な影響、石油が途絶するとそういうことになってしまって日本は大変なことになる、だから、日本自身は攻撃を受けていないんだけれども武力の行使ができる、こういう論理なんですよ。こういう論理なんですね。
 したがって、エネルギー危機や生活の死活的な影響ということをもって反撃能力を認められる、法理上は。こういう話になるんですが、総理、それでよろしいですか。

○岸田内閣総理大臣 存立危機事態については、先ほど申し上げたとおりであります。他国が武力攻撃を受けたといって自動的に存立危機事態に該当するというものではない。何よりも我が国の存立、あるいは国民の命等に明白な危険がある、こういった事態であるということが存立危機事態の要件となっています。こうした要件をしっかり確認するということで、なおかつ、他に手段がない、必要最小限、こういった要件も満たすということにおいて存立危機事態は発動することができると考えています。

○本庄委員 総理、このペルシャ湾、中東での機雷掃海は、今総理がおっしゃった定義に該当すると政府は説明してきています。したがって、存立危機事態、そして、武力行使、機雷掃海ができる、こういう話ですね。そうですね。
 となると、ミサイルの反撃も、ここでは、こういう状況であればできますよ、こういうことになるわけですね。自動的かどうかはともかく、可能ではあるわけですね。

○岸田内閣総理大臣 どのような事態が発生するか、要は、それに対して、他に適当な手段がない、必要最小限である、こういった条件も満たした上であるならば、論理上それはあり得るんだと思います。

○本庄委員 これが満たしているというのが政府の見解です。したがって、今の総理の答弁を踏まえれば、こういう状況であってもミサイル攻撃が可能だ、こういうことになります。
 次、パネルの六に行きます。
 これは、安保法制の議論の際の当時の岸田外務大臣の答弁。日米同盟に基づく米軍の存在、活動は、我が国の平和と安定を維持する上で死活的に重要であり、米軍に対する武力攻撃は、新三原則、新三要件ですね、あるいは存立危機事態に該当する可能性が高い、こういう話なんですね。日米関係にひびが入る、傷がつく、だから存立危機事態だ、そう言っているのに等しいような御答弁だと私は理解をいたします。
 その事例として国会でも出てきたのが、日本上空を通過をしてグアムやハワイに飛んでいくミサイル、これを迎撃できるかどうか、これが議論されました。安倍総理は、できる、そうじゃないと日米大変なことになる、こういう答弁もありました。これはまだミサイルの迎撃なんですね。
 ただ、ミサイル反撃能力を有した段階になると、これは相手国の本土にまでその反撃が可能になるというのが今の政府の立場ですよね。相当に攻撃対象の範囲が広がってしまうというふうに私は思いますけれども、総理、御答弁をお願いいたします。

○岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、存立危機事態の要件、そしてさらに武力行使の三要件、これを全て満たす必要があります。
 範囲が広がるということでありますが、ミサイル攻撃以外の場面において、ほかに本当に対応する手段がないのか、こういった点を厳密に考えていくことは重要であると思います。決して無制限にその範囲が広がるものではないと認識をしています。

○本庄委員 否定できないと思います。なぜなら、存立危機事態に該当すると言い続けてきた事例を私は紹介をし、そこで反撃能力も使えるんですねということを確認しているわけです。要は、要件は整っちゃっているわけですね。
 最後に、時間が来ました、今の議論を続けたいんですけれども、一点だけ。日米安保条約における事前協議制度。
 これも非常に重要な問題なんですね。残念ながら、今回の国家安全保障戦略の中では一言も言及をされておりません。しかしながら、在日米軍基地から米軍が戦闘行動に出るということは、その後の日本に対する報復行為なども考えれば、日本自身が武力行使をするのに等しいぐらいの重要、重大な判断、そして、国会や国民に対する説明が私は求められると思うんですね。
 ところが、この日米間で取り決めた条約と交換公文以外の明文化されたルールは何もないんですね。誰が決めるのか。総理は最終責任者となっていますが、決定者とはなっていません。閣議も、やるのかやらないかもはっきりしていないんですね。国家安全保障会議も開いたり開かなかったり、国会への説明もするのかしないのか、国会答弁を聞いていても両方おっしゃっているんですね。結局、何も決まっていないんじゃないでしょうか。
 私は、事前協議のルールについて、あるいは仕組みについて、国内そして日米間のきちっとした明文の規定を設けるべきだと思います。最後に、このことを御質問して、御答弁をお願いいたします。

○岸田内閣総理大臣 事前協議に関する事項は、これは行政府の専権に属するものであり、事前協議の諾否の決定、これは政府の責任において行われます。
 かかる前提の下、事前協議を受けた場合に、原則として閣議に諮って決定することとしておりますが、緊急閣議も招集し得ないような場合には、内閣総理大臣と外務大臣、防衛大臣といった限られた者の協議によって対応することも排除されないというのが従来からの政府の立場です。
 その上で、行政権を担う内閣の長である内閣総理大臣が事前協議の諾否を決定する最終責任者であるとの政府の考え方、これは従来から変わっておりません。
 また、事前協議の諾否の決定につき、事態によっては国家安全保障会議に諮ることもある、こうしたことについて国会で政府として答弁をさせていただいております。

○本庄委員 今の御答弁を聞いただけでも、決まったものはなくて、そのときそのときに応じて対応する、そういう御答弁でした。少なくとも、政府の中の問題であっても、明文だけはきちっとしていただきたいと思います。
 終わります。