国会質問アーカイブ

4/1 内閣委員会(経済安全保障推進法案③)

本庄さとしYouTube

質問要旨

1.官民技術協力

 ○基本認識

 ○特定重要技術の対象範囲

 ○協議会について

 ○指定基金(経済安全保障重要技術育成プログラム)について

 ○既存の官民技術協力スキームとの関係

 ○人材の養成及び資質の向上

 ○官の肥大化リスク

2.その他

( 要求大臣等 小林担当大臣 )

議事録

○上野委員長 次に、本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
 水曜日に続きまして、今日もどうぞよろしくお願いをいたします。
 まず冒頭、委員会に幾つかの文書の提出をお願いをしておりましたが、昨日内閣官房の方が来られまして、議事録を見てくれ、こういうお話でありました。委員長も御了解されているということなんですが、議事録は国会において作成しているものであって、私は、政府としての考えをきちっと書面で出していただきたい、そういう趣旨でお願いを何度もさせていただいておりました。どうしても出せないということであれば、質問主意書の形で、閣議決定したものを求めたいというふうに思いますので、その際には是非よろしくお願いします。
 その上で、大臣、今日はちょっと官民技術協力の話を中心にと思っておりましたが……(発言する者あり)
○上野委員長 御静粛に願います。
○本庄委員 最後にやろうと思っていた、外部から行われる行為、ここについて少しお尋ねをしたいと思うんですけれども。
 今日の朝日新聞を拝見したんですね。そこで、大臣、インタビューをされていて、こうおっしゃっています。コロナ禍でマスク不足に陥ったように、グローバル化によるサプライチェーンの多様化で供給途絶のリスクが高まったと。これをこの法案の必要性の一つの事例として挙げていますが、コロナ禍のマスク不足、これは今回の法案で対応できるんでしょうか。これは前回の議論の続きになりますが。
○小林国務大臣 これは、この間、前回、委員とこの法案の読み方につきましては議論をさせていただきました。
 外部から行われる行為というものに感染症とかそういうものが含まれるのかということについては、直接ここでは読み込まない、ただし、それをきっかけとして、それを契機として、外部、例えば外国政府が日本への輸出を止める、そういうことによってサプライチェーンの供給途絶などが事前に想定、平時から想定される場合におきましては、しっかりとそこも含めて検討した上で、ルールにのっとって、必要であれば特定重要物資に指定をしていくということであります。
○本庄委員 理屈はそうだと思います。
 ただ、一般の国民の皆さんに法案の必要性を説明するに当たっては、必ずしも適切な事例ではないのかなというふうに思うんですね。つまり、感染症でマスクがなくなる、需給が逼迫する、プラス、さらに、どこかの国がその供給を遮断する、幾つかの仮定の上でようやく成立する話だと思うんですね。
 今回の事案も、一時起きたマスク不足も、外部の何らかの行為で起きたわけではもちろんない。半導体の不足もそうですね。私は、もうちょっと正確に国民向けには説明をされた方がいいんじゃないのかなというふうに思うんですね。これを読まれた方は、多分、感染症のマスク不足も今回の法案で対応できるんじゃないかというふうに思われてしまうと思うんですね。その辺り、いかがですか。
○小林国務大臣 なので、対応できないということを申し上げているわけではなくて、ちょっと詳しく申し上げますと、この法案のサプライチェーンの強靱化は、供給途絶などの事態が生じてから事後的に対応するのではなくて、今申し上げたとおり、平時から枠組みをつくって措置を講じるものです。
 具体的には、国内生産基盤の整備ですとか備蓄とか、あるいは代替物資の開発、こういう民間の取組を支援していくということなんですけれども、こういう取組を平時から支援していくことによって我が国のサプライチェーンは強靱化されまして、結果的に、例えば、感染症の拡大などの緊急事態によって、例えばマスクですよね、医療用ガウンとか、他国からの供給に支障が生じる緊急事態にも効果があると考えております。
○本庄委員 御説明は繰り返しになるので、私も何度も、もう耳にたこができそうになるんですが。四つの要件を並べて、その三つ目の要件に、外国からの行為、こういうふうに書かれている以上は、私は、かなり無理をしないと四要件は読み込めないというふうに思うんです。そうすると、結果的に政府がかなり拡大解釈、拡大適用してしまうということもあり得るので、私は、もう少しこの要件、きちっと見直した方がいいのではないのかなというふうに考えております。
 手を挙げられたので、どうぞ。
○小林国務大臣 別に拡大解釈でも何でもないと思っておりまして、例えば外国政府の意図というのはなかなかこっちからは分からないですよね。例えば、いわゆる同志国と呼ばれているところ、同盟国であったとしても、やはり自国民の命を守るということはそれは当然大切でしょうから、結果として、他国に対して輸出する余裕がないときというのは出ないわけですよね。
 そういうことはしっかりとこの法案の中で読み込めるようになっておりますので、別に、マスクが今回特定重要物資として指定されるかどうかは別として、そういう何か拡大解釈によってしか読めないというものではないというふうに捉えています。
○本庄委員 これぐらいにしますが、そう言い出すと、輸入依存率が高いものはほとんどすべからく該当しかねないと私は思うんですよね。ではスマホはどうなんだとかいろいろなことが出てくると思いますので、何度もこの話をさせていただいている次第です。
 では、本題の方に入っていきます。官民技術協力の話です。
 まず、政府の基本的な認識を再確認したいんですけれども、有識者メンバーのお一人でもある兼原信克元官房副長官補、日経新聞三月八日朝刊など、いろいろな場でこういうことをおっしゃっています。政府が検討する新規立法で最も重要なのは安全保障関連技術の育成のための官民協力である、最先端科学技術の取得は安全保障の一丁目一番地だ、日本も防衛面で異次元の努力が求められる時代になった、安全保障の成否は科学技術の力で決まる。
 こういうことをおっしゃっていて、これはほかの場所でもいろいろこういう趣旨のことをおっしゃっているんですけれども、この官民技術協力の主眼が安全保障だという、これは政府もそういうお立場、御認識なんでしょうか。
○小林国務大臣 お答えいたします。
 政府としては、今委員から言及があった兼原委員ですけれども、この法案に関する有識者会議の委員として参加いただきました。この法案というのは、有識者会議の提言に基づいて制度設計を行ってまいりました。
 その上で、この法案で取り組むこととしている官民の技術協力というのは、これまでも繰り返し申し上げておりますが、将来にわたって国としての優位性あるいは不可欠性を確保する観点から、民生利用や公的利用など幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を推進するためのものでございまして、防衛装備品の開発を目的とするものではありません。
○本庄委員 それはそのとおりです。そもそも実装する前の段階だということですね。
 私が申し上げているのは、その前段階の基礎的な研究あるいは技術だという前提で伺っているんですね。要は、安全保障あるいは防衛に使っていく、そこに主眼を置いて研究をする、そういうわけではないと私は理解しているんですが、それでよろしいですか。
○小林国務大臣 今申し上げたとおり、民生にも、また公的な利用にも、これはかなり先端技術は多義性を持っているということはこれまでも申し上げているとおりですけれども、そういう意味で、安全保障に何か特段の主眼を置いたものではないということは申し上げたいと思います。
○本庄委員 はい、分かりました。
 それでは、特定重要技術の定義と対象について少し確認をさせていただきたいと思います。
 法律の第六十一条、先端的な技術のうち、研究開発情報の外部からの不当な利用や、当該技術により外部から行われる妨害等により、国家及び国民の安全を損なう事態を生じるおそれがあるもの、こういう規定ですけれども、経済界からはかねて、例えば経団連からは、戦略的不可欠性を確保するために分野を選び集中投資をすることが必要だとか、我が国の技術の優位性、不可欠性を確保することにつながるかを検証することが必要だとか、こういった意見も出てきておりました。要は、対象を絞るべきだ、こういう趣旨の意見ですね。
 私、今回の定義、ちょっと広いんじゃないのかなというふうにこれも思っております。先端的な技術というのがどこまでの、どういう範囲なのかという判定にもよると思いますし、その上で、国家国民の安全を損なうという表記、これも相当広く取り得ると思うんですね。例えば著しくとかそういうことがついているわけでもなく、国家国民の安全を損なうという言い方だけだと、かなり広くも取りようがあって、結果的に対象範囲はかなり広がり得るんじゃないのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○小林国務大臣 特定重要技術というのは、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術と言い得るものだと考えています。
 有識者会議の提言では、これまでも申し上げたとおり、宇宙、海洋、バイオといった領域の技術ですとか、AI、量子といった要素技術、こうしたものを例示されておりまして、議論の過程では、衛星コンステの技術ですとか海洋分野のセンシング技術、こうしたものを例として挙げているところです。
 一方で、デジタル化などによって技術開発が加速化していっています。また、新たな重要技術が突如誕生する、不連続の技術革新の可能性を踏まえますと、委員の問題意識というのは私も共有、共有というか分かる気もするんですけれども、あらかじめ網羅的にその技術を特定することは困難であることは御理解いただきたいと思います。
 このため、社会経済情勢、研究開発動向を踏まえて、有識者の意見も聞いた上で閣議決定する基本指針、ここにおきまして一定の具体化を図っていきたいとは考えておりますし、これは、ほかのサプライチェーンのパートとかのように、そもそも何か特定をするというものではないんです、特定重要技術という名前はついていますけれども。したがって、当然、ほかの国もそうですけれども、公募による競争、こういうものも活用しながら、真に可能性のある技術を見定めていきたいと考えております。
○本庄委員 とはいえ、特定重要技術に指定をされれば、その先には、協議会だとか基金を活用した研究開発だとか、そういった道があるわけですね。だから、指定について、自由度を持って指定していいということではなくて、やはり絞り込みをしっかりとかけていくということは必要だと思うんです。
 ちょっと一つだけ確認したいんですが、バイオというのは想定の中に入っているんですか。量子とか宇宙とかAIとかいうのは政府の資料でも拝見しておりますけれども、バイオは何か入らなかったとも聞いたんですが、済みません、これは基本的な質問で申し訳ないんですが。
○小林国務大臣 これから具体的にどういうビジョンを定めてとかというのは、そういうプロセスというのはあるんですけれども、例えば有識者会議の提言におきましても、バイオということは領域として触れられておりますので、それも含めて考えていただければと思います。
 あくまで例示ということです。
○本庄委員 分かりました。
 その例示をみんなが注目して見ておりますので、今日の朝刊にもバイオが入っていましたけれども、いろいろな意見があるようですので、是非どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、指定基金についてちょっと確認させていただきたいんですが、これは大臣、答弁の中で、この法律の施行に必要な予算については、予算審議の際に当然国会に御審議いただくことになります、こういう答弁があるんですけれども、では、今回この指定基金となる経済安全保障重要育成プログラム、二千五百億円、この審議はいつなされるんでしょうか、いつなされたんでしょうか。確認です。
○小林国務大臣 経済安全保障重要技術育成プログラムということでよろしいですよね。これにつきましては、令和三年度補正予算として予算措置を求めさせていただきました。
○本庄委員 これはちょっと私よく分からないんですけれども、今、このプログラムを指定基金とするという前提でこの法律の審議をしておりますが、まだ成立をしておりません。審議中ですね。その想定している指定基金が、次の、今年の予算ならともかく、去年の、昨年度の補正予算で既に先行して措置をされているというのは、これはどういう関係にあるんでしょうか。
○小林国務大臣 これは、今委員御指摘のとおり、今どういう状況に置かれているかというと、近年、日本のみならず世界の主要国が、先端的な重要技術の研究開発、これにしのぎを削っていて、大型研究開発プロジェクトなどを次々と立ち上げている状況です。そうした中で、我が国としては、早急に研究開発を進めていく必要がございますので、令和三年度の補正でこの予算措置を求めました。
 私たち、Kプロ、Kプロと言っているんですけれども、このプログラムというのは、この法案が成立した際には法案の指定基金とすることを想定はしておりますが、このプログラム自体の重要性は法案の有無によって変わるものではございません。そのような認識の下で、国会において補正予算としてお認めいただいたものと認識をしています。
 時系列としては、補正予算が成立したのは昨年十二月だったと思うんですけれども、その後、今年の二月に、有識者会議におきましても、先端的な重要技術の研究開発の促進、そしてその成果の適切な活用を目的とするものとして指定を受けるよう法律に位置づけられるべきであるとの提言をいただきまして、そうした流れを踏まえまして、政府としては、現在、この法案が成立するということを前提とすれば、経済安全保障重要技術育成プログラムを指定基金として指定をするということを想定しているところでございます。
○本庄委員 これから成立する法律が、かなり重要な位置を占めるその基金が、去年の、昨年度の予算で既に措置をされているというのは、私はちょっと順番が違うんじゃないのかなと思うんですね。
 本来、法律ができて、制度ができて、そのための財源が手当てされる、少なくとも同時じゃないかと思うんですね。つまり四年度予算、それならまだ理解できます、先に成立したとしても。私はちょっと、昨年の補正で上げていたというのは、余りにも見切り発車が過ぎるんじゃないかというふうに思います。
 昨日、参考人質疑があって、同志社大学の村山教授が来られて、こうおっしゃっていましたね。順番が逆になってしまった、最初にプログラムが出てきて、それで、今回の法律によって、協議会を設立するということが出てきた、それにプラス、シンクタンクをつくる、これは完成するのは二年、三年後だと言った上で、実は最初に置かなければいけないのはシンクタンクで、その後でプログラムだ、こういう御指摘がありまして、このとおりだと思うんです。順番が逆じゃないかと思うんですね。
 法律ができる、制度ができる、財源が措置される。このことについてどうお考えですか。
○小林国務大臣 シンクタンクの話が、昨日村山先生も触れておられましたけれども、将来的にこのシンクタンクが、順番としては、調査分析を行って、その結果を生かして政府がこのプログラムの公募対象技術というのを選定をし、研究開発を支援するというプロセスを構築していくことが重要だと考えています。それが本来あるべき姿だと思っています。
 一方で、このシンクタンク、これは重要だと思っていますので、私どもとして令和五年度を目指して急ぎます。急ぎますけれども、このシンクタンクの育成というのは、最初から何か物すごいしっかりした、まあ、しっかりしたものをつくりたいんですけれども、大きな最終形が示されるわけではなくて、一朝一夕にできるものではないと考えています。令和二年一月から令和三年四月にかけてその在り方に関する検討を行った結果を踏まえて、令和三年度、昨年度からシンクタンク機能に関する試行事業を実施し、今申し上げた五年度の本格的なシンクタンク立ち上げを目指しています。
 他方で、先ほど申し上げたとおり、近年、主要国が先端技術の獲得に向けてしのぎを削っておりますので、これは早急に我が国としても研究開発を進める必要がある、その意味で、国会の審議の上、予算を措置したところでございます。
 まずは、関係省庁、有識者の知見、試行事業の調査分析の成果を生かしながら事業に着手していきたいと思っています。
 今後、令和五年度に立ち上げるシンクタンクと経済安保重要技術育成プログラムの両方の施策を推進していく中で、当然、委員御指摘のとおり、村山先生御指摘のとおり、これらを連動させて、調査分析から社会実装につなげるプロセスの構築を目指していきたいと考えています。
○本庄委員 私の申し上げたいことが伝わっていないのかもしれませんが、法律ができて、制度ができて、予算が措置されるというのが、私は当たり前だと思うんですね。これがそうなっていないとなると、この法律が、仮にですよ、成立しなくて制度がスタートしなくても、プログラムは独自に動くということになると思うんですね。じゃないとおかしいですよね、予算を通してあるわけだから。そうなると、では、この法律でつくる制度というのは何ですか、なくても動くのなら、なしで動かしていったらいいじゃないですかと私は思いますね。
 これは経済安全保障重要技術プログラムと銘打っていますけれども、経済安全保障に限られていますか、このプログラムのお金の使い道。
○小林国務大臣 これは経済安全保障重要技術育成プログラムですから、経済安全保障に関連する技術の育成にこれは関するものだと受け止めています。
 では、仮に法案が成立しなかったらどうなるのかという指摘がありましたけれども、それについては、今回は経済安全保障目的で基金をつくっていますから、法案が成立しなかったら、法案が成立しない前提でそれはしっかりと運用していくんだと思います。
 ただ、この法案を成立させることによって、協議会という仕組みですとか、あるいは今申し上げたシンクタンク、これが法的に位置づけられる。守秘義務の話もさせていただいていますけれども、その法案が成立することによって、今のプログラムを指定基金として指定すれば、更に使い勝手がよくなるというか、国民の皆様の命や暮らしを守っていくために更に効果的に活用できるという位置づけになろうかと考えます。
○本庄委員 今、経済安全保障プログラム、その枠の中で使うとおっしゃいましたけれども、何か根拠は、縛りはあるんですか。私が聞いている限り、それはないと聞いていますけれども。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 経済安全保障重要技術育成プログラムは、経済安全保障の確保、強化の観点から、AIや量子、宇宙、海洋等の技術分野に関して、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を進めるものでございまして、そうした趣旨に基づいて、昨年度の補正予算において予算要求事業として要求をさせていただいて、それで御予算をお認めいただいて、それに基づいて、今後、補助金要綱等について策定をしていく、こういうことでございます。
○本庄委員 この法律が成立して、制度ができて、ようやくそういうたがもはめていけるんだろうと思うんですね。私はちょっと、先行して、まず五千億ありき、それを折半して、経産省と文科省で半分ずつ、あっ、二千五百か、二千五百ありきで、それを半分ずつ、こういう予算の立て方は、私はおかしいなというふうに思っております。そのことだけ申し上げておきたいと思います。
 時間が限られてきましたので、人材養成、育成のことについてちょっと伺いたいと思います。
 法案の第六十一条にもこういった趣旨の規定があります。国は、特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用を図るため云々、基本方針に基づき、人材の養成、資質の向上その他の措置を講ずるように努めるということです。
 私の地元の柏にも東京大学のキャンパスがあります。そこには大学院等、研究者がたくさんいらっしゃるんですが、いわゆる任期つきの大学の先生あるいは研究者の置かれている状況、大変厳しい状況。これは科学技術担当大臣でもある小林大臣はよく御理解をいただいていると思うんですが、労働契約法が十年前に施行されて、その例外として、科学技術・イノベーション活性化法で、研究職は最長十年の有期雇用、十年を超えると、要は正規雇用、無期転換しなきゃいけないということになっていて、その期限がちょうど来年の春訪れる、こういう節目です。
 そういう中で、これを機に雇い止めが大量に発生してしまうんじゃないかという懸念があります。先日も、理化学研究所の方で、三百人、研究者が契約を更新されないというような報道もありましたが、これも、この法案の大前提となっている人材の確保とか技術の確保ということと全く相反することが起きかねないわけですね。人材が、仕事を失うこともそうだし、場合によっては海外に流出するおそれもある。
 私は、この研究者の皆さんの置かれている十年ルール、これを見直していかないと、あるいは任期つきという考え方そのものもしっかりと検討していかないと、日本の科学技術は立ち行かなくなるんじゃないか、そういう懸念をしておりますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○小林国務大臣 委員御指摘の点については、この国会でも何度か議論になっているものと承知しています。
 私からは、例えばAI、量子といった先端技術など、進歩が目まぐるしい、かつ、国家、社会的ニーズの極めて高い研究を推進していくためには、プロジェクト期間の都度、最適な人材を集めて知見を結集することが求められている場合もございます。人材の流動性を一定程度確保することが必要だとも考えます。こうした人材の流動性の確保も含めて、研究者の方々を雇用する個々の機関において適切な人事の運用を行うことが重要だと考えています。
 一方で、今委員、海外流出の話を触れられましたけれども、国際競争の激しい科学技術分野におきまして、優秀な研究者がそれにふさわしい処遇を得て、我が国で研究したいと思うような研究環境を整備することは当然重要だと考えていまして、政府としては、研究の魅力向上を図りつつ、いわゆる十兆円ファンドによる大学研究環境の強化、ガバナンスの強化も含めて、博士課程学生への経済的な支援、また、特に若手の研究者が挑戦的な研究に取り組めるように、創発的研究支援事業というものがあるんですけれども、こうしたものを通じて、研究者が良好な環境で研究に専念できる環境を構築していきたいと思います。
 労働契約関連の法制度の見直しにつきましては、無期雇用転換ルールにつきましては、ルール適用の実態などを踏まえて、関係省庁において今後検討がされることになると承知をしております。検討の結果を踏まえて、政府として適切に対処していくことが重要だと考えます。
○本庄委員 経済安全保障を担当する大臣として、そして科学技術政策を担当する大臣としても、是非、積極的にやはり働きかけをしていただきたいんですね、この研究者、教員の皆さんの置かれている不安定な状況。四十歳以下の研究者、七割が非正規です。非正規という言い方はよくないかもしれません。任期つきです。
 そういう中で、将来が見えないという研究者の皆さんはたくさんいらっしゃって、三割の、任期のない、本当にトップエリートの研究者はそれでもいいかもしれませんが、裾野はもっと広いと思います。
 昨日の公聴会でおっしゃっていた東京大学の佐橋先生、あえて、ちょっと最後、もう一度御紹介したいんです。過去十数年、若手研究者の研究環境がここまで悪くなったというのは強調してもし過ぎることはなくて、私自身、本当に血のにじむような苦労をして生きてきました、正直、研究者であることがこんなにもしんどいものだとは、大学院に入った段階で、みんな思っていないわけです、大学院に入った学生が夢を持てる、キャリア形成のビジョンが持てる、パートナーがつくれる、そういう状況に持っていってほしい。
 東大の准教授までやっている人ですらこういう状況なんですね。いわんや、ほかの大学研究者をやです。
 大臣、是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。もしあれば。
○上野委員長 小林大臣、もう時間が過ぎておりますので、極めて簡潔にお願いします。
○小林国務大臣 かしこまりました。
 任期つきをどうするかという話も、それは重要だと思います。それが、必ずしも任期つきが悪いということではなくて、やはり流動性を一定程度確保していく必要もあるし、ただ、昨日の佐橋先生の、博士課程の例えば若手の研究者に対する処遇、こういったものは今申し上げた十兆円ファンドを含めて支援をしっかり行っていきますし、また、ポスト、これをしっかりつくっていかなきゃいけないというふうにも思っておりますので、それは、科学技術政策担当大臣の立場で、研究環境の改善に向けて努力していきたいと考えます。
○本庄委員 終わります。ありがとうございました。