国会質問アーカイブ

4/3 内閣委員会(重要経済安保情報保護・活用法案)②

本庄さとしYouTube
委員会提出資料PDF

質問要旨

1 罰則のアンバランスについて

2 政府部内の検証・監視体制について

3 公文書管理法上の「極秘文書」「秘文書」と重要経済安保情報との関係について

4 トップシークレット/シークレット級の重要経済安保情報と特定秘密との関係について

5 適性評価に関する個人情報の目的外利用の禁止について

6 重要経済安保情報の公知性について

※その他、4月2日の連合審査会、当日の委員会質疑の内容に関連し、必要に応じて質問する場合がある。

〇要求大臣等  高市大臣、政府参考人(準備室、内調、経産省)
〇配付資料   あり
〇パネル    なし

議事録

○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。今日もよろしくお願いいたします。
 早速質問に入っていきたいと思いますが、まず、罰則のアンバランスについて、今日も前回に続いて少し取り上げたいと思います。
 お手元にも配付資料を配らせていただいておりますが、一ページを御覧になりながら、お答えをいただきたいと思います。
 防衛、外交、スパイ防止そしてテロ防止などのコンフィデンシャル級情報、ここで言うところの左下の箱ですね、ここの情報漏えいが一年以下の懲役ということに対して、同じコンフィデンシャル級の重要経済安保情報の漏えいが五年以下の拘禁刑ということで、罰則が重くなっています。その理由について改めてお答えください。政府参考人、お願いします。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
 本法案では、厳しい安全保障環境に直面しており、また、国家安全保障の裾野が経済、技術等の分野にまでますます拡大する中、重要な情報を政府部内で秘匿するのみならず、情報保全に関し信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用することが重要であるという観点から、経済安全保障分野における重要情報、この法案では重要経済安保情報と申しておりますけれども、その管理の強化を図るものでございます。
 このため、漏えい時に安全保障に支障を与えるおそれのある情報、この重要経済安保情報の漏えいに対しては重い罰則を設けることが適当であると考え、他の法令とのバランスも含めて考えながら、五年以下の罰則を措置したということでございます。
 一方、御指摘の防衛、外交、特定有害活動あるいはテロ分野を始めとする各行政機関が保有するコンフィデンシャル級の情報であってこの法案の対象とならないものについては、先ほどお示しいただいた領域でございますけれども、これまでも、それらの情報を持つ各行政機関において、関係する諸法令や諸規定に従いまして厳格な管理が適切になされていると承知しております。
 このため、現時点において、罰則も含めて特段の立法措置を講じる必要を認識していないということで今回は対応していないということでございますが、この点については、今後慎重に検討されるべき課題の一つと認識しております。
○本庄委員 重要経済安保情報については、民間人の方々も関わりがあって、活用そして共有もしていくということで罪を重くしている、こういうことだと思うんですが、それでは、トップシークレットそしてシークレット級、このマトリックスで言うところの上段についてお伺いしたいんですけれども、同じトップシークレットやシークレット級でも、重要経済安保情報に該当すれば、これは概念上は存在するということですが、その漏えいは五年以下の拘禁刑ということで、同じ機微度でも、特定秘密であれば十年ということですね。
 この上段のトップシークレットとシークレットについては、防衛、外交、スパイ、テロの方が重くなっている。下のコンフィデンシャル情報については、経済重要安保情報の方が重くなっている。このそごについて御説明をいただきたいと思います。いかがですか。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
 まず、この法案に定める重要経済基盤保護情報に当たる情報であって漏えいすれば我が国の安全保障に著しい支障を与え得る、いわゆるトップシークレット又はシークレット級の情報につきまして、これが特定秘密保護法の別表に該当する場合は特定秘密として保護されますので、罰則も十年ということでございます。
 さらに、この関係行政機関の所掌事務に係る特定秘密保護法別表に掲げる事項に関する情報に該当しない場合というのが今の御指摘ということでございますが、ここで重要経済基盤保護情報に該当する情報は、概念的あるいは理論的には存在することを否定するものではございません。しかし、政府において検討した結果、漏えいした場合に我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある重要経済基盤情報であって特定秘密保護法における別表に該当しないものが実際にある又は今後直ちに想定されるということはないとの判断に至った次第でございまして、したがって、本法案においては、トップシークレット又はシークレット級の情報を保護し、又は漏えいを抑止するために特定秘密保護法と同じレベルの罰則や取扱いに関するルールを設けることとはしておりません。
○本庄委員 今の後段のお話については後ほどもう少し詰めていきたいと思いますが、なぜ想定されないのかということについてですね。
 ただ、私の今申し上げたトップシークレット級、シークレット級の扱いと、コンフィデンシャル級の扱いが逆転していることについての御説明は、今十分なかったと思います。
 もう一つお伺いします。
 この重要経済安保情報についてですが、機微度の高いトップシークレット、シークレット級でも罰則は五年以下の拘禁刑、そして、機微度の低いコンフィデンシャル級であっても同じ量刑の五年以下ということで、機微度によって刑罰に差がついていないわけですね。同じ五年以下という扱いになっています。この理由について教えてください。
○飯田政府参考人 お答えをいたします。
 御指摘のございました重要経済基盤保護情報につきましては、漏えいすれば我が国の安全保障に著しい支障を与え得る情報であって特定秘密保護法の別表に該当する場合には特定秘密として保護することになりますので、ここは罰則については十年以下ということでございます。
 一方で、先ほど申し上げたことの繰り返しでございますが、特定秘密保護法の別表に該当しない場合には、概念的にはそうしたものがあるというのは承知しておりますけれども、現に今あるあるいはまた今後直ちに想定されるということはないとの判断の下でこのような法案とさせていただいた次第でございます。
○本庄委員 今は取りあえず想定されない、存在しないからといって、量刑を同じにしていいという理由には私はならないと思いますよ。概念上対象としている以上は、やはりそれぞれ分けて考えるべきじゃないですか。いかがですか。
○飯田政府参考人 お答えをいたします。
 これについては、刑事的な罰則に関する適用でございますので、具体的にない、あるいは想定されないという状況の中で御指摘のような対応をすることは適当ではないというふうに考えまして、今回のような法案の罰則とさせていただいた次第でございます。
○本庄委員 この点、後でもう一回詰めますが、なぜ想定されないのかということについて、私は想定され得ると思いますのでね。
 大臣、ちょっと今やり取りを聞いていただいて、これはやはり、前回も申し上げましたけれども、シームレスと言いながら凸凹、そして継ぎはぎになっているというふうに私は思います。特に罰則については、上下左右どこを見ても私は整合的じゃないというふうに思います。
 大臣は先週、私との質疑の中で、改めて今後検討する余地はある、こういう御答弁をされました。その認識でよろしいか、再度確認をさせてください。
○高市国務大臣 罰則ということを定める場合には、やはりそのような情報が実際にあるとか今後直ちに想定されるということはないという判断、内閣官房で検討した結果でございますので、委員のおっしゃるようなケースが理論上存在することは否定するものではないのですけれども、今回のようなたてつけになりました。
 今後慎重に検討するという答弁が政府参考人からもございましたけれども、国家公務員法の問題でもございますので、現在でしたら、国家公務員が秘密に当たる情報であって特定秘密ではないものを漏らした場合であったりしても一年以下の懲役ということで、凸凹があるという、罰則に関する凸凹のお話でございました。国家公務員法に係ることでございますので現在は所管外でございますけれども、今後しっかりと注視をしていきたいと思っております。
○本庄委員 所管外なのは理解していますが、今回の法案が今までの法令と照らして整合的かどうかという観点からの問題意識ですので、是非受け止めていただきたいというふうに思います。
 続きまして、政府部内の検証、監視体制についてお話を伺っていきたいと思います。
 これまでも、国会との関係については様々議論があったと思うんですが、私は、政府の中の検証、監視体制については必ずしも十分議論されていないというふうに思っております。
 配付しました資料の二ページを御覧いただきながら質疑をさせていただきたいと思いますが、これは政府の、内閣官房の資料ですけれども、現在の特定秘密保護法の適正な運用を確保するための仕組みということで図示されています。
 ここには、国会との関係では情報監視審査会ということですが、政府の中、行政ということでは、内閣に内閣保全監視委員会が置かれ、そして内閣府には独立公文書管理監、その下の情報保全監察室、さらには、その隣にあります情報保全諮問会議、有識者会議ですね、こういうたてつけになっているわけです。
 これらの政府部内の検証、監視体制について、設置の根拠や所掌事務あるいは権限等について、端的に政府参考人から御説明いただきたいと思います。
○岡政府参考人 まず、独立公文書管理監につきましては、特定秘密保護法附則九条を受けて内閣府本府組織令に基づき置かれた機関でございまして、運用基準において、いずれの行政機関にも偏ることなく判断することの重要性を十分に認識して、特定秘密の指定等が同法等に従って行われているかどうかを検証、監察するものとされ、是正を求める権限もございます。
 次に、情報保全諮問会議につきましては、法十八条を受けまして内閣総理大臣決裁に基づき設置された有識者会議で、同条二項に基づく運用基準の策定や変更、同条三項に基づく国会への年次報告の内容に関する意見等を内閣総理大臣に述べるものとされております。
 最後に、内閣保全監視委員会につきましては、運用基準に基づき内閣に設置された担当大臣や次官級職員等から成る会議体でありまして、特定秘密の指定等及び適性評価の実施の適正を確保するための事務の公正かつ能率的な遂行を図るもので、法に定められた総理の権限を補佐するために、各省庁に秘密資料の提出を求めたり、是正を求めたりする権限がございます。
○本庄委員 特定秘密保護法の様々な規定に基づいて、あるいは運用基準に基づいて設置をされてきたということですが、大臣に伺いたいと思いますが、これらの政府部内の検証あるいは監視体制が特定秘密保護法施行十年間で果たしてきた役割あるいは課題や問題点、こういったことについてどのように評価をされているか、政府としてのお考えをお伺いしたいと思います。
○高市国務大臣 法の施行からこれまでの間、御指摘いただいた三つの機関によりまして、特定秘密の指定などの適正な運用状況について重層的なチェックを受けてきたと考えます。
 例えば、内閣保全監視委員会におきましては、委員長である特定秘密制度担当大臣から各行政機関に対して指導を行うなど、法第十八条第四項に基づく内閣総理大臣の行政各部への指揮監督を実効あるものとしてまいりました。
 また、独立公文書管理監におきましては、例えば秘密表示の適正な在り方や秘密の特定の方法など、多岐にわたる是正の求めをいただいてきております。これを受けて、各行政機関において直ちに是正するということによって、特定秘密の指定などの運用の適正を確保してきたと認識しております。
 さらに、情報保全諮問会議におきましては、安全保障に関する情報の保護や公文書管理などに関する有識者の方々に委員に御就任をいただき、運用基準の見直しや毎年の国会報告の内容について御意見を頂戴し、それらの内容に反映をしてきたところです。
 他方で、課題や問題点といたしましては、例えば、これは有識者からも御指摘があったのですが、今後、特定秘密文書が仮に増加していくということになりますと、検証や監察の業務について体制の充実を図るということはできないのか、また、人手に頼るのみではなくITツールを活用するなど、一定のデジタル化を検証することはできないのかといったことは挙げられております。それでも、政府部内の検証、監視体制によって、特別秘密保護法の適正な運用に重要な役割が果たされてきたということは認識をしております。
○本庄委員 様々な議論があってスタートしたこの制度、そして国会審議の過程を経て設置されたチェック体制ですが、国会の情報監視審査会との両輪で十年間運用してきた。それは一定の役割を果たしてきた。今の大臣のお言葉で言えば、重要な役割を果たしたということですが。
 私は、この様々な仕組みは今回の重要経済安保情報についても適用していくべきだというふうに思うんですが、この点について、法律上の担保がありません。大臣は、今特定秘密保護法が対象としているような機関において重要経済安保情報も見ていくということについてどのようにお考えですか。
○高市国務大臣 特定秘密保護法の附則第九条に当たるところの御指摘だと思います。法案審議の際に同様の御指摘があって、議員修正の結果置かれたという経緯は承知をいたしております。
 政府としましては、現在、独立公文書管理監でしたら、内閣府本府組織令に基づいて特定秘密の検証、監察を行っております。ですから、法律の規定を置かずとも、内閣府本府組織令を改正することによって重要経済安保情報の検証、監察を実施することは可能でございます。
○本庄委員 組織令を変えればできるということはそのとおりですが、法律上の担保がなければそれは拘束力はないわけで、私は、その意味では、今回の法案についても特定秘密保護法の附則第九条と同じような規定が必要ではないかというふうに考えます。
 確認ですが、そうしますと、大臣、これは二十二日の委員会でも政府参考人が答弁していますが、特定秘密の検証、監察を行っている独立公文書管理監が、本法案の重要経済安保情報についても、その指定や解除が適切になされるかを独立した立場で検証、監察することを想定しているということですが、内閣府組織令を改正して今回の重要経済安保情報を対象にする、そういう方針だという理解でよろしいですか。
○高市国務大臣 そのとおりでございます。
○本庄委員 そうしますと、あと二つ、情報保全諮問会議そして内閣保全監視委員会、こちらの対象には、なされる方針はありますか。教えてください。
○高市国務大臣 この法案の十八条二項は、特定秘密保護法の十八条二項と同様に、内閣総理大臣が統一的な運用基準を定め、又は変更する案を作成するに当たり、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関の保有する情報の公開、公文書等の管理に関し優れた識見を有する者の意見を聞かなければならないと規定しております。この意見を述べる主体として、御指摘の情報保全諮問会議のような有識者の会議体を設けるということを想定しております。
 また、内閣保全監視委員会でございますが、内閣総理大臣が特定秘密の指定、解除等についてチェックする機関としての役割を果たすことに資する組織として設けられた事務次官級の会議でございます。
 本法案におきましても、十八条三項において、内閣総理大臣が各行政機関の長が行う情報指定、解除等についてチェック機能を果たすべく、勧告権を規定しております。
 ですから、内閣保全監視委員会と同様の組織になるのかは未定ですけれども、この機能を支える組織は必要になると考えております。
○本庄委員 おっしゃるとおり、内閣府という役所が所管をする法令ということで、たてつけの違いはあると思いますが、やはり同様の機能を今回の重要経済安保情報についても持たせる、そういうことで政府としては対応していただきたいと思いますし、必要な法改正が国会側で必要であれば、それは我々もきちんと提案をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 では、続きまして、公文書管理法上の、極秘、秘そして重要経済安保情報との関係ということでお伺いをしたいと思います。
 配付資料の六ページをまず見ていただきたいんですが、これは、公文書管理法に基づく行政文書の管理に関するガイドラインということで、総理大臣決定です。今回の法案審議でも、トップシークレットだとかシークレットだとかコンフィデンシャルだとか、いろいろな言葉を使っておりますが、これは我が国の文書管理規程上根拠のある言葉ではなくて、一般に使われている用語だと思います。
 今回、我が国の文書管理としては、特定秘密、極秘文書、秘文書、これが秘密文書ということなんですが、特定秘密は今回除かれるわけです。極秘文書と秘文書の中に重要経済安保情報に相当するものがあるのかどうかということがこれから運用基準に基づいて精査されていくと思うんですが、極秘とか秘というカテゴリーと、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルというふうに今政府が御説明されているカテゴリーとの関係がどういうふうになっているのか、あるいはなっていくのかについて、政府参考人から説明をお願いします。
○飯田政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま御指摘がございましたとおり、行政文書の管理に関するガイドラインにおいては極秘文書と秘文書というものが定められているわけでございますけれども、このガイドラインの中では、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルといった区分との関係については整理を行っておりません。
 一方、我が国は、情報保護協定を九か国・機関との間で締結をしておりまして、その締約国・機関間で対応する秘密指定のレベルについて整理をしているところでございます。その中では、一般的に、今申し上げました極秘と相手国・機関のトップシークレット級及びシークレット級、秘と相手国・機関のコンフィデンシャル級が対応するものと整理をされていると承知をしております。
○本庄委員 それは対外的な仕分ということですね。国内的にはこれからで、トップシークレット、シークレットに該当すれば特定秘密になり得るし、そうじゃなければ特定秘密にはならなくて重要経済安保情報になるわけですから、ここの区分というのはこれからかなり重要な区分になっていくというふうに思います。
 そこで、その仕分はこれからということでしょうが、経済産業省にお伺いしたいんですが、今回の経済安保情報に深く関わる役所だということで、経産省と内閣府が名指しで挙がり、そこが、経済安全保障に関わる秘密文書があるのかないのかという議論がありました。
 そこで伺いますが、経産省が指定している特定秘密、極秘文書、秘文書はそれぞれ何件ありますか。そして、そのうち本法案における重要経済安保情報あるいは重要経済基盤保護情報に該当し得るものは何件ありますか。お答えください。
○猪狩政府参考人 お答えいたします。
 令和四年度末におきまして経済産業省が指定している特定秘密は四件となっております。また、行政文書ファイルとして保有している極秘文書はゼロ件、秘文書は六十四件となっております。
 このうちどのくらいの件数が本法案における重要経済安保情報あるいは重要経済基盤保護情報に該当するかにつきましては、今後の国会審議や本法案成立後に策定されます運用基準などを含めた具体的な制度設計を踏まえまして明らかになっていくものと承知しております。
○本庄委員 同じような問いを内閣府にもしましたが、内閣府は、秘密文書は五十九件あると。そして、経済安保に関わる情報については、今経産省が答弁したように、今後の国会審議や運用基準によるので現時点では分からないということなんですね。
 私は、これは正しい答えだと思うんですよ。現時点では、各省が持っている秘密文書の中で、特定秘密はもう確定していますね、でも、それ以外のものについて、これから特定秘密の方に入るのか、あるいは重要経済安保情報に入るのか、これはこれからの精査に基づく判断だと思うんですね。
 そうなんですが、大臣、大臣は、あるいは今、今日も飯田参考人からもありましたが、トップシークレットあるいはシークレット級で特定秘密に該当しない重要経済基盤保護情報は想定されないと明言されているんですね。経産省も内閣府もこれからだと言っていますよ。なぜ想定されないと断言できるんですか。
○高市国務大臣 三月二十七日の内閣委員会で、私が御指摘のような答弁をしたということでございます。
 漏えいした場合に我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある重要経済基盤保護情報であって特定秘密保護法における別表に該当しないものが実際にある又は今後直ちに想定されるということはない、政府としてそういう判断に至ったということを説明したものでございます。
 これは、経済官庁が経済安全保障上重要と考えている情報の保有の現状に照らして内閣官房において検討した結果、そのような情報が実際にある又は今後直ちに想定されるということはないという判断に至ったということでございます。
○本庄委員 もう一回経済産業省に聞きますが、今大臣が答弁しましたけれども、想定されない、経済産業省もそういう理解でいいですか。お答えください。
○猪狩政府参考人 お答えいたします。
 経済産業省におきましては、先ほど申し上げましたとおり、本法案における重要経済安保情報あるいは重要経済基盤保護情報に該当するかにつきましては、今後の国会審議や本法案成立後に策定されます運用基準などを含めた具体的な制度設計を踏まえ明らかとなっていくものと承知しております。
○本庄委員 これは答弁が違うんじゃないですか、大臣。
 大臣は、政府として精査した結果、該当するものはないとおっしゃっている。経産省はこれからだと言っていますよ。いかがですか。
○高市国務大臣 私が職員に確認をしましたところ、主に本法案の対象となりそうな内閣府及び経済産業省で確認したところ、該当するものはないということで説明を受けております。
○本庄委員 普通に発言を理解すれば、二人の言っていることは違うと思いますよ。精査したけれども該当するものはない。これから精査する、今は分からない。どっちなんですか。
 経産省、もう一回答えてください。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
 この議論につきましては、有識者会議で検討をする前後から、政府部内で、特に経済安全保障分野に関わりのある経済官庁と議論を進めてまいりました。その上で、まだ当時は、どのような区分にするのか、あるいはどのような保護をするのかといった議論をする前に、関係省庁が現在、経済安保分野の機微な情報としてどのようなものが想定されるか、あるいは持っているかということについて詳しくお話を聞いたわけでございます。
 その中での経済官庁からの御回答などを私どもの方で今回法案を作成するに当たって更に精査をした結果として、もちろん重要経済基盤保護情報であって特定秘密に該当することになるものはあるかもしれませんけれども、それ以外の、特定秘密の別表に該当しないものについては現時点ではない、あるいは当面想定されないという結論を得て、今回のような法案を提出した次第でございます。
○本庄委員 全く答弁になっていないですね。
 もう一回、じゃ、図表を見てください、配付資料一ページ。
 まず、右上の、トップシークレット級、シークレット級に相当する重要経済安保情報、これが、今もないし、近い将来もないし、想定されない、これが大臣の答弁ですね。だけれども、特定秘密に入るものであればあり得るかもしれない、その精査はこれから運用基準の見直しによって行われると。この縦の破線の部分ですね。他方で、上下の、トップシークレット級、シークレット級なのか、コンフィデンシャル級なのか、これもこれから経産省が所有している秘密文書を精査して仕分をしていくわけでしょう。
 ということは、これは上下も左右も、今の段階では確定できないんじゃないですか。これから、トップシークレットに相当する、だけれども特定秘密じゃない重要経済安保情報というものが出てくる可能性はあるし、今の段階で想定されないという結論には論理的になり得ないと私は思うんですけれども、いかがですか、飯田さん。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
 私どもの答弁と、それから経済産業省の答弁が違うのではないかという御指摘でございますけれども、私どもの理解といたしましては、経済産業省においても、現時点でそのようなものとして想定しているものが具体的にあるわけではないというふうに認識をしております。
○本庄委員 これは明らかに内閣府と経産省の説明が違いますので、明確に政府としての見解を出してください。
 委員長、よろしくお願いします。
○星野委員長 理事会で協議いたします。
○本庄委員 それでは、残り三分ほどですが、次のテーマに入りたいと思います。
 トップシークレット、シークレット級の重要経済安保情報と特定秘密との関係ということですが、資料の三ページを見ながらということで、ここに様々対比を載せさせていただいているんですけれども。
 高市大臣の御答弁で、今回、秘密保護法の改正は行わないので、特定秘密の範囲が広がることはない、この別表の話ですね、と明言をされた上で、特定秘密に該当するかどうかを各行政機関が的確に判断できるように、現行の運用基準について、別表に定める範囲で、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないかを検討していくと。あくまでも範囲内なんだけれども、明確にする、あるいは補足が必要なら、こういうお話です。
 私は、政府の言っていることが真実、つまり範囲は広がらないという前提に立って確認をしたいと思うんですが、大臣の御答弁は、この経済安全保障分野における特定秘密の線引きをよりクリアにすることで、本来特定秘密に該当し得る情報で今されていないものについて、各行政機関がより判断をしやすくするために、この運用基準について見直しが必要だ、こういうお考えだという理解でよろしいんでしょうか。でないと、範囲が広がってしまうと思うんですね。お答えください。
○高市国務大臣 今回は特定秘密保護法の改正は行いませんので、四分野二十三項目の内容が変わったり項目が追加されたりすることは一切ございません。つまり、特定秘密の範囲が拡大するものではないです。
 今委員がおっしゃっていただいたとおり、運用基準の見直しというのは、経済安全保障に関わる重要情報が特定秘密に該当するかどうかを各行政機関の長がより明確に判断できるようにするために、明確にすべき箇所や補足すべき箇所があれば、法の授権の範囲内で、運用基準の五十七の事項の細目のそれぞれの書きぶりを修正加筆したり、場合によっては新たな項目を追加したりすることを想定しております。
○本庄委員 論理的にそうなると思います。
 その上で、最後に確認しますが、これは非常に重要なことなので明確に答えてほしいんですけれども。
 そういうお考え方であれば、このトップシークレットやシークレット級の重要経済基盤保護情報、さっきの図表で言う右上ですね、ここにおける情報であっても、特定秘密保護法や別表の範囲を超えるものが、今想定されないとおっしゃっているけれども、現実にあった場合、あった場合は運用基準の見直しでは対応できない。したがって、今の法令でいけば重要経済安保情報に指定をされるということになると思うんですね。それでもどうしても特定秘密で指定をしたければ法改正が必要になる、こういう結論になると思うんですが、ここについては明確にお答えいただきたいと思います。
○高市国務大臣 我が国の安全保障に著しい支障を与えるようなトップシークレット、シークレット級の重要経済基盤保護情報について、特定秘密保護法の別表四分野のいずれにも該当しない情報であれば、そもそも特定秘密としての要件を満たしませんので、運用基準の見直しを行ったとしても、特定秘密として指定できるようにはなりません。
 先ほど来、ちょっと説明が食い違っていると言われておりますが、このような情報が実際に存在することについては、現段階では、内閣官房において調べましたけれども、想定されていないという状況でございます。
○本庄委員 保護法にも運用基準にも当然限界があって、その限界を超える場合には、今は想定されないとおっしゃっているけれども、重要経済安保情報に指定されるんだというふうに私は理解をしました。
 以上です。