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4/28 内閣委員会(一般質疑)

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質問要旨

1.危機管理・安全保障について(官房、公安)
(1) 岸田総理襲撃事件
(2) 官邸の危機管理体制
(3) 周辺有事に対する危機管理

2.いわゆる「天下り」問題について(官房、公務員)
(1) 国家公務員の再就職規制の趣旨等
(2) 元国交事務次官の人事介入問題の調査
(3) 事務次官等経験者の再就職状況調査
(4) 日銀、財務省から日本証券金融への「天下り」
(5) 国家公務員OBに対する規制
(6) 一定期間の再就職禁止等の行為規制
(7) 独立行政法人等への現役出向の規制

○要求大臣  官房長官、公務員制度担当大臣、国家公安委員長
○政府参考人 財務省、日本銀行
○配付資料  あり
○パネル   なし

議事録

○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
 千葉八区、柏市、我孫子市選出です。よろしくお願いいたします。
 今日は、危機管理、安全保障、そして天下り問題についてお伺いをしたいと思います。
 まず、危機管理、安全保障について御質問していきたいと思います。
 最初に、岸田総理の襲撃事件についてお伺いをしたいと思いますが、谷国家公安委員長、四万十のウナギはおいしかったですか。私の地元の我孫子もウナギが大変有名でして、今度是非ゆっくりと御賞味いただきたいと思います。
 報道はこのウナギの話が随分盛んですが、私は、もちろんこれは本質的な問題だとは思いません。問題は、総理が襲撃されるという、そういう事件が起きたときに、そのまま四万十での視察を続行した。東京に戻るという選択肢も私はあり得たと思いますが、そういう判断をせずに視察を続行した、その判断の理由、どういったことでそういう視察の継続という御判断をされたのか、御説明をお願いします。

○谷国務大臣 お答えいたします。
 私は、国家公安委員長ではありますけれども、併せて防災担当大臣、国土強靱化担当大臣などもさせていただいております。
 当日、防災担当大臣として高知に出張をしておりました。昼食時に、昼食の前でございましたけれども、電話で和歌山の事案の報告を受けたところであります。
 いろいろやり取りはございましたけれども、事案の概要として、総理は危害は加えられなかった、現場から安全に退避した、また、その時点で、一般の聴衆の方で大きなけがをなされた方は確認できない、また、被疑者はその場で確保された、身柄を拘束した、そういう状況を踏まえまして、そして必要な指示を出しました。
 つまり、事件の動機、背景などは全く分かりませんので、できる限り早くそれを解明して、そして引き続き警備に万全を期してほしいという指示をした上で、防災大臣としての仕事、公務を継続しても大丈夫だと判断したわけであります。
 高知も、御承知のとおり、南海トラフで最大津波高は三十四メートルも予想されている、大変な状況でありますし、また、南海トラフによる被害も、今までの、最近の東日本大震災などをはるかに上回る被害が想定されている折で、しっかりと現地を見て、そしてお話を聞く必要があると判断したところであります。
 もちろん、再開した後も、警察庁から逐次電話で報告を受け、場合によっては指示もし、特段の支障はなかったのではないかと考えております。

○本庄委員 ちょっと今の御答弁、驚いたんですが、特段の支障がなかったのは結果論じゃないんですか。
 今御答弁ありましたけれども、事件の背景が全く分からないとおっしゃいました。つまりは、この犯行者の動機、一人なのか複数なのか、組織的な犯行なのか、何も分からない、こういう状況の中で、なぜ、滞在する、とどまるという判断をされたのかということを伺っているんです。
 防災大臣としての仕事が重要であるということはもちろん論をまちません。ただ、事の緊急性や重大性を考えれば、警察を所管する大臣として、私は、東京に戻るという選択肢はあってしかるべきだったと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

○谷国務大臣 事件の動機、背景等は現時点でも不明であります。まだ判明しているわけではありません。
 本庄委員御指摘のように、そういう緊急の連絡を受けて東京に戻るという選択も確かにあり得たかと思います。しかし、私の判断として、その状況を様々お聞きして、それらを判断して、必要ならば、また、現に電話連絡や追加の連絡もあったことでありますし、午後には、その後、警備局長ともいろいろ連絡を取り合ったことでもありますし、それで、結果論かも分かりませんが、特段の支障はなかったということは事実であろうかと思います。

○本庄委員 危機管理の担当大臣として、結果論かも分からぬという御答弁は私はいかがなものかと思います。
 現場で今の御判断をされるに当たって、官房長官とは御相談をされましたか。

○谷国務大臣 お答えさせていただきます。
 直接、官房長官とは当日お話をしたわけではございませんが、本庄委員御承知のとおり、こういう場合はそれぞれの秘書官を通じて連絡を取り合うというのが通常でございます。ですから、私の秘書官を通じての連絡ではございましたけれども、最終的に私の防災担当大臣としての公務を継続することとしたということでございます。

○本庄委員 随分のんきなことだと思いますが、恐らく大臣、第一報を知ったのはNHKの速報か何かだったんじゃないですか、秘書官からの連絡ではなくて。
 これだけの、総理が襲撃されるというこんな重大時に、もちろん通常業務であれば秘書官を通してというのは分かりますが、官邸の官房長官と一言もやり取りせずに滞在するのかどうするのかの判断などをされたというのは、私は非常に驚きです。
 指摘をさせていただきたいと思いますが、安倍総理の銃撃事件からまだ一年もたっていないんですよね。一年もの間に総理経験者と現職総理が襲撃をされるというのは、これはかなり私は危機的な状況じゃないかと思います。
 安倍総理の事件の後、警察庁が主導して改善策を取りまとめていますけれども、今回の和歌山の事案だけ見ても、警護の計画策定に警察庁が関与してもこの状況です。結局、前回の見直しというのは功を奏していないんじゃないかと言わざるを得ません。
 爆発物を持った人物が容易に集会に、演説会に入ってきている。しかも、その人物が爆発物を所有し、投擲も許している。そして、爆発に当たって、映像を見る限り、総理を逃がすことと、そしてこの人物を、容疑者を取り押さえることにいろいろな人の手や目が行っていて、恐らく、集まっていた聴衆や爆発する前の物に対しての対応というのはほぼ放置の状態だったと思います。
 結果、爆発の規模も小さくて破片も人には当たらずで、死傷者も出ていませんが、これが大きな爆発物だったりあるいはサリンのような薬物だったり、そういうことであれば大きな惨事になったと思うんですが、私、谷委員長からそういった危機感が全く見えてこないんですが、いかがですか。

○谷国務大臣 危機感が全く見えてこないというお話でございましたけれども、そういうふうに受け止められるのは大変残念であります。
 私も、安倍総理が襲撃されたときは一国会議員でありましたけれども、これは大変な事態だということで、大臣に就任する前から、国家公安委員会で何度も激しい議論を重ねながら、新しい警護要則というのを決めた。それが今回、一年以内にまた起きたんじゃないかという批判は、それは謙虚に受け止めなければならないと思います。
 したがって、統一地方選挙の後半が終わった二十四日から、和歌山県警では、今御指摘の様々な件、例えば、何も総理、警護対象要人だけではなくて、その場におられた聴衆の方の避難誘導は適切であったかどうか、そういうことも含めて幅広く、今、もう一度検証し直しているところでありまして、そして、それらをしっかり受け止めて、警察全体として不断の見直しをしっかりと行ってまいりたいと思います。
 ましてや、五月の十九日からG7のサミットがあるところでございますので、しっかり行ってまいりたいと思います。
 なお、今更私が言うまでもございませんが、今回、選挙のさなかであります。選挙は、通常の大会とか、それと違って、屋内でやるのではなくて屋外で、政治家の立場としては一人でも多くの方に訴えたい、そして、握手あるいはグータッチをしたい、触れ合いたい、そういう民主主義の根本に関わるものでありまして、そのことと警備をどうバランスを取っていくのかというのも、大変難しい課題でありますけれども、それも含めて、また、今回の事件を踏まえて、警察としての対処をまとめなければならないと思っております。

○本庄委員 これは和歌山県警だけの責任ではなくて、警察庁もこれだけコミットして起きた問題ですから、警察庁そして国家公安委員長である谷大臣、全ての責任と、そして当時の対応について問われるべきだと思いますので、そういう観点から、そして、二度目だという重大な危機感を持って、不断の検証とか、そういう当たり前の言葉ではなくて、もっと危機感を示して取り組んでいただきたいというふうに思います。でないと、必ず三回目が私は起きると思いますので、是非その点はよろしくお願いをいたしたいと思います。
 谷委員長はここまでで結構でございます。ありがとうございました。
 関連して、官房長官にお伺いします。
 この襲撃事件の発生時に、松野官房長官は官邸にはいらっしゃらなかったということで、官邸にその後駆けつけたということですが、十一時二十五分頃、事件が発生したということですけれども、その後の時系列について事実関係を教えてください。いつ、どこで、誰から、どういう方法で報告を受けて、そして官邸に入ったのは何時ですか。

○松野国務大臣 本庄先生にお答えをさせていただきます。
 当日は、土曜日であり、都内におりました。秘書官から事件発生直後に連絡を受けました。その後も、秘書官から随時電話報告を受け、総理及びその周辺に負傷者がいないことなどは承知をしたものの、更なる状況の把握と連絡調整の効率化のために、官邸に出邸をすることといたしました。
 正確な時間を記録しているわけではございませんが、正午を超えていたと記憶しております。官邸に出邸し、警察庁等から報告を受け、また指示を行い、その後、十四時過ぎに官邸内で記者会見を行ったところであります。

○本庄委員 揚げ足を取るつもりはありませんが、事件発生が十一時二十五分、そして、危機管理を担当する官房長官の官邸到着が正午を超えている。三十分以上、下手したら四十分あるいはそれ以上かかって到着しているというのは、幾ら土曜日だからといっても、それは私は言い訳にはならないんじゃないかというふうに思います。
 これに関連して、今回の事件に限らないんですが、指摘をさせていただきたいことがございます。
 安倍政権以降、総理と官房長官が同時に官邸や二十三区を離れないという、それまでの危機管理の官邸内のルールが守られていない、正確に言えば違うルールで運用しているということなんですが、例えば、一昨年の衆議院選挙、二〇二一年、期間中に十日間総理と官房長官が東京を離れた、そして去年の参議院選挙でも四日間そういう状況がありました。今回の総理が襲撃される、あるいは総理経験者が襲撃されるというような事案を見ても、やはり私は、このいずれかが官邸なり二十三区にいるというルールをきちっともう一回取り戻していくべきではないかと思います。
 政府の説明は、副長官がいるからいいんだとか、電話でやり取りできるからいいんだということです。それは一面そうですが、しかし、それはベストな状態とは私は言えないと思うんですね。
 やはり危機管理、国民の安全に最も責任を負う立場として、この総理と官房長官が同時に二十三区から離れないというルールについて、改めて見直して適用すべきだと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

○松野国務大臣 お答えをいたします。
 まず申し上げますと、政府では、二十四時間三百六十日体制で運用されている官邸危機管理センターで情報収集に当たるとともに、事務方として危機管理部門全体を統括する内閣危機管理監を中心に関係省庁が迅速に連携できる体制を常に整えています。
 その上で申し上げますと、総理が外遊する場合には私が在京することとしているほか、総理が国内におられる場合でも、都内を離れるときには、私の離京については慎重に検討した上で対応しています。
 さらに、総理と私が同時に在京しない場合であっても、私が指名した政務の副長官が在京して職務を代行するとともに、総理も私も、いかなるときにも連絡、報告を受け、緊急時には自衛隊機等を活用して直ちに東京に戻れるよう、必要な体制を取っており、政府としての危機管理に支障がないように万全を期しております。

○本庄委員 万全かどうか分かりません。ただ、私はベストだと思いません。総理や官房長官がいないと決められない問題も多々ある、特に緊急時や危機状況においてはですね。事務方がいろいろな仕事や情報収集はできると思いますが。
 その意味でも、私は、きちっとそのルール、しかも、選挙が理由ですからね、選挙が理由で総理と長官が同時にいないということは幾らでも避けることができる対応だと思いますので、私は是非ここを改めていただきたいと思います。
 それから、松野長官にもう一つ申し上げたいんですが、松野長官は内閣法九条に基づく総理大臣の臨時代理第一位ですね。第一位です。ということは、総理に何かがあったときは総理の代わりとして仕事をしなきゃいけないんですね。私は、そういう人が同時に外に出てしまっている、出張している、選挙の演説をしている、こういう状況はやはり望ましくないと思うんですね。
 いかがでしょうか、官房長官。

○松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、まず、危機管理体制につきましては万全を期しているところでございます。そして、総理若しくは私の方で常に判断ができる状況に置いてあるということも申し上げさせていただきたいと思います。
 あとは、その上で、どういった形の危機管理体制になるかは、その官邸を離れている事案の重要度等々も鑑みまして、その都度適切に判断をしているということでございます。

○本庄委員 万全でもなければベストでもないというふうに思います。繰り返し指摘をしておきます。
 このテーマはここまでとさせていただきたいと思います。
 続きまして、天下りの問題について、いわゆる天下りというふうに言わせていただきますが、まず、河野大臣にお伺いしたいんですけれども、国家公務員法第百六条の二、あっせん規制、他の職員や職員OBの情報提供や再就職依頼の規制、この法条文の趣旨、目的は何でしょうか。

○河野国務大臣 国家公務員法第百六条の二、再就職等規制の趣旨は、予算や権限を背景とした現役職員による再就職のあっせん等の不適切な行為を禁止することで、公務の公正性や、それに対する国民の信頼を確保することであります。
 一方、こうした不適切な行為をしっかりと規制した上で、法令に違反することなく再就職し、個人の能力や経験を活用して社会に貢献することは意味があると考えております。
 この不適切な行為の規制と社会における人材の有効活用の両立を図るため、特定の団体などへの再就職を一律に禁止するのではなく、国家公務員法において、各省庁による再就職あっせんの禁止などの厳格な規制を設け、第三者機関である再就職等監視委員会がこれらの規制の遵守状況を監視するとともに、管理職職員であった者に離職後二年間の再就職情報を届け出させ、これを公表し、透明性を確保することとしております。
 今後とも、再就職等監視委員会による監視の下、再就職等規制の遵守徹底を図ってまいります。

○本庄委員 今御答弁ありました、公務の公正性、国民の信頼の確保、これが一つの目的だということ、そして、そのための様々な措置が取られていて、再就職等監視委員会による監視や二年間の再就職の届出、こういった措置がなされているということであります。
 さて、そういう中で、元国土交通事務次官本田勝さん、私も存じているので大変驚きましたが、人事介入ということでニュースになりました。そして、この間、国会でも様々議論がなされ、国土交通省においても聞き取り調査が行われております。
 ただ、この聞き取りは省内の内部調査にとどまること、そして、OBについては、本田元次官、そして空港施設株式会社の山口副社長の二人からの聞き取りにとどまっていて、有力OBだと言われたほかの次官その他についての聞き取りは行われていない、あるいは裏取りも行われていない、要は、言い分をそのまま調査結果としてうのみにしているというものだと私は承知をしておりますが、ここはやはり、調査の信頼性を高めるためにも外部の第三者による検証といったものが必要ではないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 空港施設株式会社の件につきましては、一般論として、法規制の対象に当たらないOBの行動について、国土交通省としては調査する立場になく、またその権限も有していないところでありますが、国土交通省が関与しているという誤解を招きかねないものであることから、国土交通大臣の指示の下、本田元国土交通事務次官及び山口元東京航空局長の両名に対し具体的かつ詳細な聞き取りが行われ、その結果、現役の職員の関与が疑われる事実は確認できなかったものと承知をしています。
 さらに、関係する部門の幹部職員に対して確認を行った結果、現職職員による空港施設株式会社への再就職のあっせん、OBから国土交通省に対する働きかけのいずれについても確認できなかったと聞いています。
 また、国家公務員法の規定による再就職等規制については、今後とも、第三者機関である再就職等監視委員会による厳格な監視の下、遵守徹底を図っていくところであります。
 いずれにしましても、本件につきましては、このような枠組みの下で、引き続き、国土交通省において適切に対応していくことが重要であると考えています。

○本庄委員 河野大臣にお伺いしたいんですが、河野大臣、今、資料をお配りしておりますが、配付資料1ですね、かつて予算委員会で国家公務員の再就職について質問をされていて、いろいろなことをお述べになっているんですが、これは、松野官房長官が文科大臣のとき、文科省の天下り問題が発生をいたしまして、それについて、河野大臣が当時予算委員として松野文科大臣やあるいは山本幸三国家公務員制度担当大臣に質疑をされたというものなんです。
 その中で、その文科省の調査に対して、霞が関の問題を霞が関が調査しただけでは世の中の信頼は得られない、外部の目がきちんと調査をしなかったら国民の信頼を得ることはできない、役所と相談してもよくならない、大臣のリーダーシップでやっていただきたい、こういうことをお話しになっています。
 私は全く共感をする御発言ではあるんですが、今回の国土交通省の調査について、大臣はどのようにお考えになっていますでしょうか。

○河野国務大臣 今御指摘いただいた予算委員会は、文科省の天下り、ぐるみ事件だったんだと思います。直接現役がやると法令違反だから、OBがハブの役割をして、文部科学省とつるんでやっていたということで、これはかなり悪質と言わざるを得ない。だから、そこはやはり外部の目を入れてきちんとやらなければいけないんだろうと思います。
 今回の国土交通省の事件については、そういう案件かどうかということをまず国交省が調査をして、どうもそうではないという報告が上がってきております。
 ただ、国家公務員制度を担当する大臣としては非常に強い関心を持っております。現時点では、国交省が調査をされたわけでございますから、それを最初から頭から否定するつもりもございませんが、何か新しい要素が出てきたときには、これは新たな対応をしなければならぬというふうに思っております。

○本庄委員 ちょっと残念な御答弁ですね。
 河野大臣、このとき、泥棒に泥棒の見張りをさせても意味がない、そこまでおっしゃったんですね。私は国交省が泥棒だと思いませんが、しかし、もし何か法令違反を犯していたとすれば、その当事者である国交省の中で調べても、事実関係が容易に出てくるとは思えません。
 それから、OBとの関係についても、本田さんと山口さんにしか聞いていないし、その二人が言っていることを事実だと認定をして公表をされています。私は、調査として極めて不十分だというふうに認識をしております。御答弁は求めません。
 今回の事件、事案のやはり一つの大きな問題は、OBによるあっせんをどのように考えるかという問題だと思います。
 現行の法律において違法ではない、これは私も理解しているつもりでございますが、しかし、退職したOBが事実上、人事ブローカーのような役割を果たして現役の再就職先をあっせんしているとすれば、やはり、元々の国家公務員法百六条の二の趣旨である公務の公正性や国民の信頼確保という観点から、脱法行為というふうに言われても仕方がないし、法律の趣旨に反しているというふうに思います。
 そこで、河野大臣、所管大臣にお伺いしたいんですが、国家公務員OBに対するあっせんの規制ですが、結局、役人OBによるあっせんが抜け道になっていて、現職の役人のあっせんは禁止されているものの、OBのあっせんは禁止をされていないということだと思いますけれども、この際、役人OBのあっせんも禁止をする、規制をする、そういった措置が私は必要じゃないか、あるいは検討すべきじゃないかと思いますが、河野大臣、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 職員のOBの再就職に関する規制については、もうOBは既に公務を離れた、予算や権限を有していない民間人であり、その活動に関して規制をすることは極めて慎重であるというのが今の政府の立場でございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、何か新たな要素があれば、そこは新たな対応を考えなければならぬと思います。

○本庄委員 これもまたちょっと驚きの答弁なんですが。
 配付資料1を御覧いただきたいんですが、その二、国家公務員OBに対する再就職規制という項目で書いています。これは、河野大臣、河野議員御本人の御発言を私は質問したんですね。つまり、役人OBによるあっせんが抜け道になっております、役人OBのあっせんも禁止する、そういった措置を取る必要があるのではないかと大臣はおっしゃっているんです。同じことを私は聞いたんですが、今、全く違う御答弁ですね。立場が変わったから御答弁も変わったということでしょうか。
 あわせて、今、予算や権限を有しないというふうに言われました。ただ、この法律の元々の説明は、これは松野大臣、文科大臣のときもおっしゃっていますが、予算や権限を背景としたなんですね。背景。直接持っていなくても、それをちらつかせたり、それをにおわせたり、あるいは、それを念頭に相手の対応に影響が出る、こういったことはいかぬよ、そういう精神で成り立っている法律、規制ではないんでしょうか。有しているかどうかという問題ではそもそもないと思うんですが、二点お伺いします。

○河野国務大臣 この当時は、明らかにこれは文部科学省とOBがつるんでやったわけですから、あの時点では相当なことをやらなければならないという問題意識でございました。しかし、それに懲りて霞が関も襟を正してまいりましたから、現時点ではこういうことで今政府は対応しております。
 ただ、今回の国交省の案件、あるいはこのほかで、そうではないということが明らかになれば、それはまた別な対応を当然考えなければならぬと思います。

○本庄委員 二点目の、権限、予算を有しているというのは狭過ぎるんじゃないか、背景ということではないのかという私の問いについてはいかがですか。

○河野国務大臣 特に何か政府で考え方が変わったということはございません。

○本庄委員 であれば、今の御答弁はおかしいですよね。民間人になったとはいえ、元々いた役所の予算、権限を背景にしていれば、私は、全くのらち外だというふうには言えなくなってくると思うんですね。有すると言ってしまうと、それは確かに有していません。私は、それは悪意のある歪曲だというふうに思います。本当に意図がないのであれば、きちっとその言葉の使い方について、大臣、是非精査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 民間人でございますから、予算も権限もないわけでございまして、そこは変わりはないんだろうと思います。

○本庄委員 私、今、そう言いました。予算あるいは権限はないが、しかし、背景にしている可能性はありますよね、そういうことなんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 民間人ですから、予算や権限に何のあれもないというのは皆さん分かっていることだろうと思います。そこで、もしそうではないということであるならば、そこは新たな対応をしなければならぬということを申し上げております。

○本庄委員 有していると背景というのは全く違うし、背景にしているOBというのは私は幾らでもあり得るというふうに思います。今回の調査は、さっきも言いましたけれども、当事者の言い値ベースの調査なんですね。だから、何も出てきていないからいいんだという話には私はならないというふうに思います。そのことを繰り返しておきたいと思います。
 関連して、河野大臣、このとき、いろいろないいことをおっしゃっていたんですが、一定期間の再就職禁止ということも考えるべきではないかと。これは配付資料1の三ですね。役所と関係しているところに再就職を何年してはいけないという行為規制のようなものを入れなければ抜け道を防げない、再就職に関して何らかの規制をする、行為規制そのものをやらなければ抜け道は防げない。この心は、結局、再就職監視委員会があるものの、それが一々通報がないと分からないということでは機能しないんじゃないか、こういう文脈の中から出てきている話なんですが、この点について、今、担当大臣としてどのようにお考えですか。

○河野国務大臣 この当時と比べて、相当霞が関も襟を正してよくなったというのは先ほど申し上げたとおりでございます。また、再就職等監視委員会も様々やっております。再就職等監視委員会が不十分であるというならば、そこはまた何か考えなければならぬと思います。

○本庄委員 それでは、ちょっと時間がありませんので、日証金の問題、一つの事例として御紹介をしたいと思います。日本証券金融株式会社ですね。
 配付資料2、大きいサイズの紙を配っておりますが、これは、日証金の会社発足時以降、今日に至るまでの天下り状況、再就職状況です。
 それで、まず日銀がずっと社長を務めているということなんですが、私もこれを知って驚きましたけれども、一九五〇年から今日に至るまで七十年間ずっと日銀のOBが社長なんですね、切れ目なく。十人です。日銀は、国家公務員法の適用にはなっておりません。日銀の内規で、日銀に口座を持っている金融機関や企業に対して天下りをしてはいけない、こういう内規がありますが、そういう中においても、これだけ露骨な、まさに相続とも言えるような社長就任が続いております。
 財務省はどうかということですが、一九六〇年から今年の三月まで、十人連続、切れ目なく、天下り、再就職しております。これも法令違反はありませんよということなんですが、しかし、これは子供が見てもおかしいと思うし、ここにおられる皆さんも、これを天下りと言わずして何を天下りと言うんだというふうにお感じになるんじゃないかというふうに思います。
 そこで、官房長官にお伺いをしたいんですけれども、今、立憲民主党から、次官級経験者、退職後十年間の再就職先について、予備的調査ということで、国会から調査を依頼しております。五月下旬までにということで要請をしているかと思いますが、これは政府自身が本来調べるべきだと思いましたけれども、それをしないということなので、党として、国会として要求をしております。
 これについて、きちっと調査をして、報告をしていただけますでしょうか。御答弁をお願いします。

○松野国務大臣 国会の先生方からのお話でございますので、制度にのっとりまして適切に対応してまいります。
○本庄委員 民間に天下ったというか再就職してしまったから関係ない、そして二年間しか報告義務がないというのは、かなり今、法の抜け穴、抜け道になっているというふうに私は思います。公正な行政、そして国民の信頼を確保していくというために、私は、今回の国交省の案件を一つの機に、制度の見直しについても検討すべきだと思いますが、河野大臣、この制度の見直し、例えば、OBもあっせん規制の対象にするとか、一定の期間再就職を禁止するとか、こういった制度の見直し、法律の見直しについてどのようにお考えになりますか。

○河野国務大臣 今委員に御提示をいただきました資料を見ると、これはやはりちょっとなんだなという気がいたしますので、まずはちょっと、こういうケースがどれぐらいあるのか、事実関係を調べてみたいと思います。

○本庄委員 まさにこういうことなんですね。なので、私たちは十年に遡って再就職先を調べてくださいというふうにお願いをしております。
 最後に官房長官に一つお伺いして終わりたいと思いますが、政府自身はこの再就職調査をしないということでありました。ただ、私の知る限り、各省官房には有力な退職者のその後の履歴についてしかるべき文書の形で残してある、記録があるというふうに私は理解しております。私も見たことがあります。政府として、そういった退職者の再就職先の履歴、記録、文書として作成、保存されていないんでしょうか。

○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 職員OBの再就職先に関しまして、国家公務員法に基づき再就職の届出の対象となっているものや、大臣が任命等を行うもの以外の各省庁における取扱いについては承知をしておりません。

○本庄委員 まあ個人メモだということなんでしょうか。じゃ、今後そういったものが公にならないことを期待したいと思います。
 ありがとうございました。