11/7 予算委員会 高市総理出席、NHK中継
質問要旨
- アベノミクスの評価
- 「3本の矢」の失敗
- 成長と分配の好循環
- 「責任ある積極財政」
- 何に対する「責任」か
- 財政健全化目標
- デフレ対策か物価高対策か
- 積極財政の副作用
- 経済対策、消費税負担軽減
- ガソリン税暫定税率廃止とその財源
- 食料品消費税ゼロ法案
- 即効性のある支援策
- 給付付き税額控除の制度設計
- 病院・診療所、介護施設等への緊急支援
- 防衛費倍増の前倒し
- 3か月前倒しの合理性、事業内容、予算・財源等
- 現行整備計画の進捗状況、見直し等
- 「責任ある」防衛力強化を
要求大臣 総理大臣
配付資料 あり
パネル あり
議事録
○本庄さとし 立憲民主党の本庄知史です。政調会長となりました。改めまして、よろしくお願いいたします。
先ほど平さんからも御発言ありましたけれども、北朝鮮が弾道ミサイルと思われるものを発射したということであります。安全保障は党派、与野党ありませんので、我々立憲民主党も、可能であればしっかりと御協力申し上げます。御公務第一だろうと思いますので、重大な事案があれば私たちも協力させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速質疑に入りたいと思います。
まず、アベノミクスの評価というところからですが、高市総理は、4日の代表質問において、我が党の野田代表から、アベノミクスの評価について問われて、こういうふうにお答えになりました。デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながったと。
ちょっと、私、違和感がありまして、つまり、安倍政権が発足した2012年、そして直近2024年を比較しますと、例えば、食料品価格は33%上昇、食卓インフレの深刻化です。国債発行は370兆円、53%増加。実質賃金は6%低下。非正規雇用が310万人増加。一方で、企業の内部留保、273兆円から588兆円、倍増。所得1億円超の人数も、12000人から32000人に増加。これが、私が確認しているファクトです。株価の上昇など一定のプラス面もあったとは思いますけれども、円安、物価高、金利上昇、格差の拡大、財政の悪化といった負の側面も私は顕著だというふうに思います。
これらの不都合な真実を直視するところから私は日本経済の再生が始まるというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。
○高市総理 アベノミクスが、まずデフレでない状況をつくり出した、GDPを高めた、雇用を拡大した、企業収益の増加傾向にもつながった、これは事実だと思います。ただ、失業率を見ても、失業率そのものは低下をし、そして有効求人倍率は高くなりました。
こういった面もある一方で、私は負の側面も申し上げました。新型コロナウイルス感染症の影響でアベノミクスそのものが失速したということもあります。雇用状況も悪くなりました。それから、私は、冷静に見て、第三の矢、つまり民間投資を促す成長戦略、この成果は十分でなかったと思っております。
そういった両方を踏まえながら評価をしてきたつもりでございます。
○本庄さとし デフレではないということですが、コストプッシュ型のよくないインフレ状態だということは、総理も御承知のとおりだと思います。物価高、そして人件費の上昇、そして輸入価格の上昇など、負の影響というのは、私はこれは看過できないと思います。
それから、総理がおっしゃった第三の矢、つまり、アベノミクス第一の矢、金融政策、第二の矢、財政政策、そして肝腎要の民間投資を喚起する成長戦略ですが、結局、ここが鳴かず飛ばずで、その間、金融と財政を吹かし続けたそのしわ寄せ、副作用が、今、様々な形で経済社会を襲っている、こういうことだと思うんですね。
それで、高市総理がおっしゃる、成果が十分でなかったという御認識は私は正しいと思いますが、総理は、安倍政権や岸田政権において、2度にわたって自民党の政調会長を務めておられますよね。したがって、アベノミクスの立案、実行等々にも重要な役割を果たしてこられたと、当事者だというふうに私は思うんですね。
では、なぜ成果が十分でなかったのか。その原因は何なのか。そして、現内閣ではどのように改善を図ろうと考えておられるのか。端的に御説明いただきたいと思います。
○高市総理 まず、アベノミクス、これは、第二次安倍政権がスタートする前、私たちが野党であった頃に党内で詰めてきたものでもございました。3本の矢についてもそうでございます。
ただ、第三の矢について、私は、やはり民間投資を促す成長戦略の成果が十分でなかったと少しマイナス面の評価をしているのは、規制緩和に重きが置かれた。規制緩和そのものは悪くないんです。成長を促すための規制緩和であればいいんですけれども、むしろ、やはり積極的な投資が必要だったと思っております。
そこで、高市内閣では、責任ある積極財政の考え方の下で、日本の供給構造を強化しながら、物価高を更に加速させることのないように、戦略的に財政出動をする。所得を増やす、消費マインドを改善する、事業収益が上がる、好循環を実現するということで、今の暮らしや未来への不安を希望に変える強い経済をつくっていくということで、特にこの成長戦略の肝として危機管理投資を挙げているところでございます。
○本庄さとし ちょっと私、総括が不十分だと思うんですね。
アベノミクス第三の矢は、民間投資を喚起する成長戦略なんですね。今、総理がおっしゃったのは官民でという話で、相変わらず補助輪が必要だ、こういう話に私には聞こえます。場合によっては、これはほぼ官がやるんだというふうにも聞こえますね、今、半導体なんてそういう状態になっているわけですが。民間がきちっと投資をしていく、企業が成長していく、そういう状況をつくれる成長戦略が不十分だったというふうに私は思いますし、今回の高市政権でも、そこが最大の重要なポイントだと思います。
今回立ち上げられた17分野の戦略投資というのも、官がかなり主導で、どこまで目利きができているのか、あるいは審査、あるいは国民負担が生じないためのリスクのヘッジ、私はこれは非常に重要な論点だと思っております。
今日はここには立ち入りませんが、今の総理の答弁からは、やはり第三の矢が鳴かず飛ばずだったことの根本的な原因について御理解いただけていないというふうに思います。
アベノミクスからの転換というのがやはり必要で、マクロでいえば、やはり、金利の引上げ、あるいは財政の健全化、そして構造改革、こういったことなくして、新しい経済、これは難しい、このことは申し上げたいと思います。
もう1つお聞きしたいんですが、成長と分配の好循環です。
これは、安倍政権後半期は、トリクルダウン、利益が大きいところから小さいところに滴り落ちるという、それがうまくいかないこともあって、この成長と分配の好循環が掲げられました。看板政策がころころ変わってかなり迷走していたと思いますが、視点としては私は正しかったと思います。続く岸田政権、そして石破政権でも、この成長と分配の好循環というコンセプトは引き継がれてきました。
しかし、高市総理の所信表明演説には分配という言葉はありません。そして、先般、岸田総理、石破総理で立ち上がっていた新しい資本主義実現本部も衣替えをして、日本成長戦略本部、成長戦略会議に替わったわけです。
高市総理は、この分配ということについてどのように考えておられるのでしょうか。また、具体的にどのような政策でその分配を進めようと考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。
○高市総理 私が分配に配慮していないということはございません。
高市内閣では、日本経済の供給構造を強化するということによって、所得を増やして、消費マインドを改善させるということですから、これは成長と分配の好循環の考え方と軌を一にするものでございます。
私は、特に危機管理投資というものを成長戦略の肝に据えさせていただいております。今、世界の潮流というのは、官民共同で社会的課題に対して投資を行っていくという方向になっております。このリスクや社会的課題について、先手を打って供給力を抜本的に強化する。だから、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、健康医療安全保障、そして、国土の強靱化、サイバーセキュリティー対策、これは世界共通課題でございますよね。
日本には、これらに対応できる先端技術があります。ですから、早期の社会実装を目指す。そして、官民連携の戦略的な投資を促進して、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラ、こういったものを国内外に提供していく、これによって成長を実現していく。それによって、おっしゃる分配というものも可能になるということでございます。
○本庄さとし 申し訳ないんですが、今の御答弁を聞いているだけで、分配について御関心もなければ御理解もないと思いますね。今お話しになった95%は成長と供給力の話であって、分配ではありません。
そして、分配も私の理解では2つありまして、その成長の果実を、要は大企業が中小企業に仕事を下ろしていくような、そういう分配もあれば、所得の格差の是正あるいは移転、そういった分配もあるわけですね。全くどちらの観点からも、今、高市総理からは御指摘がなかったんですね。
恐らく聞いても意味がないと思うので、違う角度からお伺いしますが、今、世界でいわゆるポピュリズムと言われるものが席巻していますけれども、とりわけ財政ポピュリズムというものについて、これは済みません、通告していませんが、基本認識を聞きたいんですね。総理はどのように認識していますか。
○高市総理 財政ポピュリズムということでございますけれども、おっしゃる意味を正しく理解しているかどうか分かりませんが、とにかくお金を配る、お金を配る、お金を配るということで人気を得ようとする無責任なポピュリズムという意味でございましたら、私の、高市内閣の方針とは違います。
○本庄さとし 私の認識とも違いますが、なぜそういう財政ポピュリズム、つまり減税あるいは歳出についての要望が高まっているかということなんですね。ただ欲どうしいからとかいうことではなくて、例えば、現に生活が困っている、あるいは格差の拡大が大きくなっていっている、そういう中で政治や政策がきちんと対応できていない、そこに対する不満、不安が爆発寸前あるいは爆発している、そういう現象だと私は思います。
その認識があれば、私は、高市総理、もう少し、成長や供給だけではなくて、分配面から見た政策ということも自らの言葉で語っていただけると思うんですが、いかがですか。
○高市総理 先ほど私が申し上げましたような危機管理投資によって、これは日本経済が成長するわけでございます。そして、やはり、先行きが明るいということによって、企業も、人件費、つまり、従業員の所得を上げる、そしてまた設備投資もする。そして、従業員が給料が上がりましたら消費も増えますから、また企業がもうかる、そして従業員の給料を上げる、そしてまた。
そういう好循環が起こってくるということで、税率を上げずとも税収を増やしていける、そういった形で、私は、分配、多くの方々がメリットを得られる、そういう成長する社会をつくりたいと考えております。
○本庄さとし 願望はよく分かります。我々も同じです。ただ、現にそうなっていないということを、私、冒頭、数字も挙げて紹介したと思いますね。企業、とりわけ大企業の内部留保は倍に膨れ上がっていますよ。賃金は実質では下がっています。そして、ジニ係数、格差を示す指標も先進国最悪レベルですよ。これがこの10年以上続いてきた経済政策の結果だということを私は言っているんです。
過去のことをあれこれ言っても仕方がないので、高市総理には、単にアベノミクスを継承するということではなくて、やはり問題を認識していただいて方向転換をしていただきたいというふうに言っているんです。いかがですか。
○高市総理 だからこそ、私自身、アベノミクス、丸ごとこれが成功したということではない、1点ここは問題があったということを申し上げてまいりました。
危機管理投資を一生懸命進めていく中で、危機管理投資といっても、さっき申し上げたような分野だけではなくて、第一に挙げているのが生活の安全保障です。やはり今、物価高、これに手を打つ、これがもう一番急がなきゃいけないことでございます。
例えば、暫定税率の廃止、これはガソリンもですが、軽油引取税に関しても、自民党の総裁選挙で申し上げたのは私1人だったと思います。これも実現してまいります。また、電気・ガス代の支援。それから、官発注の請負契約の単価、これもしっかり引き上げる。医療機関、あと介護施設、今大変な状況でございます。ここにもしっかりと支援を行ってまいります。また、所得や年収の壁の見直し、これにもしっかりと対応をしてまいります。
そして、やはり重点支援交付金、これをお示しいたしておりますけれども、これはとても大事だと思うんですね。赤字で要は賃上げ促進税制が使えないような中小企業、小規模事業者に対しても、地方が交付金として、自治体から交付金として出せるようにしたり、農林水産業、本当に今きついというような地域に関してはそういったところに支援をしたり、こういったものをしっかりとお示しをして、年内に効果が出るもの、まず、しっかりここに取り組んでいきたいと考えております。
○本庄さとし 残念ながらお答えになっていませんので、これ以上質問はいたしません。
次の話に行きたいと思います。責任ある積極財政です。
高市総理、看板政策といいますか、キャッチフレーズとしてお使いなんですが、この責任あるというのが、具体的に、何に対するいかなる責任なのかということが判然としません。逆に、無責任な積極財政というのがあるとすれば、これは高市総理の掲げる責任ある積極財政と何が違うのか。これも私、よく分からないんですね。
深く聞きたいと思いましたが、ちょっと前半の答弁が長くて時間が押しているので、具体的な話から行きたいと思います。
財政健全化の問題ですね。恐らく、この責任ある積極財政というのは財政との両立という意味も含んでおられるんだろうと思いますので、お伺いしたいと思います。
配付資料、パネルの1。これはよくある図ですが、プライマリーバランスです。財政の健全化目標として代表的な指標で、年間の政策的な経費を税収でどれだけ賄えているかという、こういう指標です。
現在は、日本でいえば、国と地方合わせて3兆円ほどの赤字という状況で、そこは国債あるいは公債で穴を埋めている。その分、毎年毎年、累積赤字、債務が積み上がっていっている。したがって、これを黒字にしていくことで新たな借金を抑えていく、財政を立て直す、こういう考え方です。恐らく、小泉政権以来長く、政府が、自民党政権も民主党政権も、重要な指標としてきたと思います。
そこで伺いますが、総理の所信表明演説では、プライマリーバランス黒字化という文言がありませんでした。それはなぜかということです。
骨太方針2025に明記されている、2025年度から2026年度を通じて可能な限り早期の黒字化を目指す、つまり、今年度若しくは来年度にこの赤字の部分を解消する。この目標を変更されたのでしょうか、それとも、そもそもその目標
自体を下ろしたということでしょうか。御説明をお願いします。
○高市総理 まず、責任ある積極財政という考え方の下で、戦略的に財政出動を行い、強い経済を構築し、経済成長率を高めるというのが私の内閣の方針です。中期的に債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度についても再確認を行う、こういった答弁をさせていただきました。
つまり、単年度ごとのプライマリーバランス黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、私は、数年単位でバランスを確認する方向に見直すということを検討しております。
1980年代は、割と複数年度で見ておりました。小泉内閣、2002年からだったと思います。単年度のプライマリーバランスというものは、G7の中でも、これは特異な考え方だと思っております。
○本庄さとし 確認しますが、では、今年の骨太まで掲げていた、2025年度あるいは来年度、2026年度での黒字化目標というのは、一旦取下げということですか。
○高市総理 単年度ごとという考え方を変えていきたいと思っております。
○本庄さとし 取下げなんですね、明確にしてください。
○高市総理 就任したのが2週間と1日ぐらい前でございますので。来年、ちょうど骨太の方針あたりの時点でこれが数字として示されるかどうかということについては、黒字だったら黒字でそれは大いに結構なことなのでございますけれども、私のこれからの財政運営の在り方としては、少し長いスパンで見ていきたい、単年度ごとにバランスを確立するということではないということでございます。
○本庄さとし 明確に答えていただきたいですね。取り下げた、取り下げるですか、どっちですか。
○高市総理 単年度のプライマリーバランスという考え方については、変更する、取り下げると考えていただいて結構かと思います。
○本庄さとし 複数年のプライマリーバランスというのがあるのか私は知りませんが、現時点では、じゃ、財政健全化目標撤回ということだと理解します。単なる先送りになりかねない、複数年という理屈でと思いますが。
現時点で総理がおっしゃっているのは、パネル2、配付資料2ですが、これは実は今もある指標ですよね。つまり、プライマリーバランスの黒字化とともに、債務残高の対GDP比を減らしていく。2つの目標を今立てているのを、こちら1本にしていく、こういうお話だと思いますが、GDPというのは経済規模です。債務残高というのは、国や地方が抱えている、いわゆる借金ということであります。
総理がおっしゃっているのは、成長率の範囲内に債務残高の伸びを抑えて、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくということですが、本当にこの単体だけで財政健全化の指標となり得るのかですね。特に、今のようなインフレ下において、おっしゃるような理屈が成り立つのかということです。
インフレ下では、分母であるGDP、経済規模、これはどんどん大きくなっていきますね。物価も上がる、税収も上がっていくわけです。一方で、債務残高というのは、少なくとも今まで積み上がった債務というのは金額が変わりませんから、相対的に分子は小さくなっていくわけです。したがって、インフレ下においては、特段の財政健全化努力をしなくても、この数字はどんどんよくなっていくわけですね。
だから、総理がおっしゃっているこの指標でこれから行くというのは、財政健全化目標を放棄したように私には聞こえますが、総理、いかがでしょうか。
○高市総理 私は、財政の持続可能性というところに重きを置いております。債務残高の対GDP比の引下げ、これを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度を再確認するということを申し上げました。これは、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑えて、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくということで、財政の持続可能性、これを実現して、マーケットからの信認を得ていく、確保していくということです。
いずれにしましても、物価や金利の状況を含めて、様々な指標からちゃんと多角的に評価、検証しながら財政運営は行ってまいります。
○本庄さとし 今ちょろっとおっしゃいましたね、成長率以上に金利が上がったら対応できないんですよ。分子である債務残高がどんどん膨れ上がっていくという状況になりますね。だから、成長率の範囲に収めていればそれでいいんだということにならないわけです。その点、いかがですか。
○高市総理 要は、名目成長率が国債金利を上回っている、この状況をつくっていくために、今回の成長戦略を打ち出していく、実行していくということでございます。
○本庄さとし インフレで国や地方の借金を棒引きにしようとしているように聞こえますよ。国民生活はどうなるんですか。物価高、そして、なけなしの預貯金はどんどん目減りですよ。そういう状況の中でどんどん財政を吹かしていく、こういうことですか、総理。
○高市総理 おっしゃっているようなことを想定してやっているわけではございません。私は、きちんと成長する経済をつくる、手取りを増やす、そして、国民の方々が安心してやはり消費をする、消費をして企業ももうかる、設備投資や人件費に回せる、また消費が増えていく、このような好循環をつくっていこうと。そして、税率を上げずとも税収が増えていく、そんな中で、国民の皆様に還元をしていける、分配をしていける、そういう社会をつくろうとしているわけでございます。
それはもう考え方の相違だと思いますけれども、私はそういう経済をつくっていきたいと思っております。
○本庄さとし これまで、政府として、プライマリーバランスは財政健全化の1里塚だと答弁してきました。決して目標じゃないんですね、第一歩、入口だと。この今までの答弁と、今のこの間の総理の答弁は全く矛盾をしています。ちょっと整理して政府見解を出していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○高市総理 内閣総理大臣が替わりました。内閣のメンバーも新しくなりました。その前に、自民党総裁選挙で様々な議論を闘わせました。その中で、私が自民党総裁に選ばれ、そしてまた、多くの皆様に選んでいただいて内閣総理大臣になりました。経済政策の変更につきましては、内閣が替わったということで、変更したと理解していただいて結構かと思います。
○本庄さとし 答弁になっていませんね。
財政健全化の1里塚だという考え方も含めて、解釈や考え方を変えたということであれば、この委員会にきちっと書面で考え方を出してください。委員長、お取り計らいをお願いします。
○枝野委員長 答えますか、何か。
高市内閣総理大臣。
○高市総理 先ほど来答弁しているかと思うんですが、責任ある積極財政の考え方の下で、戦略的に財政出動を行って強い経済を構築する、経済成長率を高める、中期的には債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度について再確認を行うということです。
だから、つまり、単年度ごとのプライマリーバランス黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すということを検討しているということを申し上げております。
○本庄さとし その新しい考え方というのが出てくれば、しっかりまた議論させていただきたいと思いますが、今伺っている限り、責任ある積極財政なるものは、無責任な放漫財政になりかねないなと言わざるを得ません。
つまり、客観的な指標や物差しや、あるいは、たががかかっているかどうかが問題なんですよ。今総理がおっしゃっているのを聞くと、ちゃんとやりますから、そこに収めていきますから、大丈夫ですと言うんですが、それはあくまでも政府としての努力目標であって、何のたがにもなりません。
そして、積極財政という考え方そのものも、もう世界で見れば周回遅れですよ、これだけのインフレ時代で。そういったことを、何のたがもなく、あるいはたがを緩めて前に進めようとしておられることに、私は非常に危機感を持ちました。そのことを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
経済対策、そして消費税負担軽減の問題です。
パネルの3を御覧ください。これは、現在取りまとめ中の立憲民主党の主な経済政策の一部を挙げたものです。
食料品の消費税のゼロ法案、これは、10月1日から8%の食料品の消費税をゼロに下げるというもので、赤字国債に頼らない形で財源を捻出し、1年ないし2年という期間限定で考えています。その間、短期の、即効性のある政策として、この
物価高・食卓支援金、仮称ですけれども、やはり一定の給付、必要だというふうに考えています。そして、総理も賛同されている給付つき税額控除、これは、少し時間はかかりますが、中低所得者に税金をキャッシュバックできる非常に重要な制度だというふうに考えています。そして、与野党で合意をしたガソリン、軽油の暫定税率の廃止。あるいは、今、非常に医療危機が進んでおりますので、病院や診療所、介護施設等の支援、働く人たちの処遇改善。あるいは、学校、私立の無償化はこれから進みますが、公立、大変な状況だということで、公立の小中学校や高校の老朽化対策。そして、今大きな話題になっている熊被害対策。こういったものを考えております。
具体的にお聞きしていきたいと思いますが、食料品の消費税ゼロについて総理に伺います。
今申しましたとおり、立憲民主党として10月31日に国会に法案を出しています。維新の会さんはこの食料品消費税ゼロに賛成だということは承知をしておりますが、高市総理も、御持論は賛成だというふうに私は理解をしています。しかし、残念なことに、国会での答弁は非常に後ろ向きなものが続いている。
今年5月、高市総理が総理になる前、例えば、自民党税調の勉強会に出席されたときにこうおっしゃっていますよね。今、多くの方が物価高でお困りの中で、退職をされたり、障害、病気で働けない方々にもやはり恩恵を受けていただこうと思うとですね、これは国の品格として食料品の消費税率は0%にすべき。
これは私は分配の1つの考えだと思うんですが、こういう答弁が欲しかったんですけれどもね。
また、インターネットの番組でも、石破総理が消極的だということを取り上げて、賃上げのメリットを受けられない方々にも広くメリットがあるのは食料品の消費税ゼロだと確信していた、かなりがっかりしているなんですね。逆に、今がっかりしている人はたくさんいると思うんですね、高市総理に期待して。
これは僅か半年前なんですよ。何年も前ならともかく、半年前。この間、1体何があったんでしょう、お考えが変わるために。
○高市総理 おっしゃるとおり、今年の5月、自民党の税制調査会、この消費税率に関しての議論、平場で、私のようにインナーでない者が参加できる機会はたった1回でございました。
その場で、私はおっしゃるとおりの発言をいたしました。しかしながら、残念ながら、自民党税制調査会では賛同を得ることはできませんでした。自分が所属する政党で賛同を得られないことをいつまでも突き通すというわけにもまいりません。
しかしながら、消費税率の引下げ、特に食料品に関しては、これは生存に関わるものでもあり、そしてまた、先ほどおっしゃっていただいたように、年金生活であったり、働けない、今働けないという方々についてもメリットがあると考えて、そういう主張をしてまいりました。
ただ、現在も、消費税率、特に食料品に係る消費税率については、自民党と日本維新の会の合意文書の中にも検討が入っておりますので、これを選択肢として排除するものではございません。
他方、今臨時国会におきましては、内閣として、即効性があって有効なものということで、これからお示しする経済対策、補正予算に盛り込むものを厳選したということで、先ほど1部を紹介いたしましたが、そちらを優先させていただくということです。
○本庄さとし 即効性ある短期のものを優先するから食料品の消費税減税ができないというのは、ちょっと論理的につながらないんですよね。短期だから短期でやるのであって。そして、減税の方は短期ではありません、残念ながら。やはり半年以上、1年ぐらいかかると我々も認識しています。ですので、まず給付金をやってから食料品ゼロをやるというのが私たちの考えなんですが、今の総理のお考えだと、短期だけでいいということなんですか。だから、その後、これをやりましょうよ。
なので、ちょっと確認しますね。今おっしゃった連立合意ですけれども、食料品を2年間に限り消費税の対象としないことを視野に、法制化につき検討を行うと書いてあるんですね。法制化につき検討を行うなんですね。
これは、法制化につき検討を行うんですか、行わないんですか。明確に答弁していただきたいと思います。
○高市総理 法制化につき検討を行うというのは合意でございますので、検討を行います。
○本庄さとし どういう体制で、いつ、どのように検討されるお考えですか。そんなに時間はないですよね。
○高市総理 最優先に取り組むことを先ほど申し上げました。それはこの臨時国会で何としても取り組みたいこと、これからも上げさせていただきます。
そして、消費税率の引下げにつきましては、御党でも一定の期間を見ておられると思います。それは、残念ながら、日本の遅れたPOSレジシステムのせいでございます。これも様々確認しましたけれども、ちっちゃな個人商店にある昔からのレジでしたら別に引き下げてもすぐに対応できるとか、それから、1部のチェーンで使われているPOSレジシステムでしたら割と短期で対応できる。ところが、残念ながら、もう8%と10%で固定し切っている、しかも在庫管理などいろいろなものにつながっているもので、1年若しくはそれ以上かかるものもあるというようなことで、一定の期間がかかるということも考慮をいたしました。
○本庄さとし いや、ですから、だから早く議論を始めないといけないんじゃないですか。
我々、業界からも話を聞いていますから、1年というのはちょっとかなり過大だと思いますが、半年は要るだろうということで、残念ですけれども、10月1日にしたんですね。4月1日だったんですが、政治空白が長かったので。
ただ、10月1日なら間に合いますので、我々が出しているこの法案、この臨時会で通していただければ、通せれば、これはプログラム法ですから、その後、減税の作業、財務省が入ってきますから、10月1日だったら間に合いますよ。仮に、10月1日が間に合わない、あともう半年要るんだということであっても、議論を始めるのに何のやぶさかなこともないんじゃないですか、総理。
是非、いろいろな各党の政策協議の枠組みがありますから、自民党さん、維新の会、そしてうちも入れて、食料品の消費税減税について協議しませんか。いかがですか。
○高市総理 まず、自民党と日本維新の会の両党の協議会で議論をしていくことになります。その輪が広がっていくということについて、これを否定するものではございません。
それから、やはり事業者のレジシステムですけれども、ヨーロッパでありますと、もう税率の違う国でも対応できるような優れたシステムがあります。これを機に、割と柔軟に対応できる、しっかりとしたレジシステムを構築していく、そういうチャンスでもあるかと思っております。
少なくとも、自民党、日本維新の会の間では協議会をつくって協議をいたします。
○本庄さとし 順番が逆で、増税を臨機応変にやるとか減税をやるということを決めないと、そういったレジも普及しないと思うんですね。何十年も税率が変わらないから必要ないわけですよね、そういう柔軟対応できるレジは。私は、ちょっと順番が逆、後先逆だと思いますので、その点だけ申し上げます。
時間が限られておりますので、給付つき税額控除について伺いたいと思います。
これは旧民主党以来、もう10年以上訴えてまいりました。なかなか日の目を見なかったことも事実ですが、前石破政権の体制下で、この給付つき税額控除について議論しようというお申出が自民党さんの方からありまして、公明党さんを入れた3党での協議というのが立ち上がりました。
1回目をやりまして、そこで御党の方の体制が変わって、2回目をやるということになっているんですね。2回目は議題も決まっていまして、この給付つき税額控除に係る様々な論点の洗い出し、それからスケジュール感、そして3党における協議の体制、ここまで2回目でやろうと決めて、ずっとお返事をお待ちしているんですね。
と思っていたらですよ、総理、所信表明演説の中で、社会保障国民会議ですか、なるものを立ち上げ、有識者、与野党の議員を入れてやる、その中で給付つき税額控除もやる、こういう話が急に出てきて、正直驚いているんですね。
3党で協議すると言っていた公党間の約束は、もうなしということなんでしょうか。ちょっと明確にしていただきたいと思います。
○高市総理 3党での協議、これは内閣総理大臣としての答弁でございますので、政党間の協議というのは進めていただいていいかと思っております。
その上で、国民会議というものにつきましては、給付と負担の在り方ですとか、給付つき税額控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について、政府・与党だけではなく、野党の皆様も交えて議論をしようということでございます。この社会保障改革に関して国民的な議論を行う必要については御理解いただけるものと考えております。
ですから、この国民会議の趣旨は丁寧に説明をしながら、具体的な在り方、具体的な議論、内容や進め方については各政党の皆様とよく相談してまいりたいと思っておりますし、立ち上がりのスケジュールも、もうこれは早期にやるようにということで指示を既にいたしております。
政党間の協議については、どうかお続けいただいていいかと存じます。
○本庄さとし 極めて失礼ですよね。自民党総裁ですよ。公党間で約束をし、引継ぎも受けているでしょう。党は党で勝手にやってくれ、政府は政府でやりますからと。私はちょっと残念ですね。
まず、3党でやると決めた問題について御党としてどうするのかを返事をし、その上で、新しい体制ややり方について決めていくというのが、当然私は道義だと思いますよ。そこは是非お願いしたいと思います。いかがですか。
○高市総理 この給付つき税額控除に限りますと、既に設けられている、これは自民党、立憲民主党、公明党、この3党による協議体、そこも尊重しながら、それとの関係も含めた国民会議の在り方、これをしっかりと各政党の皆様と相談してまいりたいということでございます。この国民会議というのは、給付つき税額控除についてだけをやるわけじゃないです。税と社会保障の一体改革を扱うものでございます。
そしてまた、政府が立ち上げる会議への与野党の皆様の参加につきましては、例えば、中央省庁再編前に設置されていた社会保障制度審議会、ここでは多くの政党の皆様も含めた国会議員や有識者が議論に参加して、戦後の社会保障制度構築の基盤となるような重要な勧告をまとめていただきました。
先ほどの件につきましては、3党で、それは議論を続けていく、尊重するということでございます。
○本庄さとし 今総理がおっしゃった社会保障何とかというのは結局うまくいかないから、もうなくなっているんです、今。ないんですよね。政府につくるというお考えなのかもしれませんが、そこに与野党の議員が集って、まともなものが出てくると私には思えません。
我々は政府の下請ではありませんから、政府でつくった、そういったところになぜ国会議員が入っていくのか、そこから改めてまた説明していただきたいと思いますね。つくるのなら国会につくるべきだと私は思います。どう思いますか。
○高市総理 でも、これは国民的な議論を行うということで、国民の皆様の代表である国会議員の皆様、それは与野党共に入っていただく、また有識者の方々にも入っていただく、そういった国民会議の提案を申し上げております。それをどこにつくるかというお話でございますけれども、まずは内閣の方でそういうことを検討いたしました。ただ、その設置の在り方も含めて、各党としっかり相談をさせていただきます。
○本庄さとし 政府の組織、機関に国会議員が入ってというのは、私はすごく違和感がありますし、何かそれが当たり前だろう、問題ないだろうという言い方にはもっと違和感があります。
時間がないので、最後、1つ伺って終わりたいと思いますが、医療、介護などの問題ですね。
物価高、人件費高などがあって、医療機関、介護の施設、福祉施設など、大変もう火の車の状態です。最近の数字だけを見ても、例えば公立病院、83%経常収支赤字、8割ですよ、赤字。それから民間では、病院49%、約半分が赤字。それから診療所、町のお医者さん、ここも、ベッドのない無床診療所で34%、あるいは有床、ベッドのある診療所で40%赤字。
赤字の原因は様々あると思いますが、やはりその大宗は人件費のアップ、それから薬の価格の値上がり、その他の様々な価格高騰です。これは支援が喫緊の課題だと思いますので、2点に絞って伺います。
1つは、総理も病院に対する、医療機関に対する支援を明言されているので、それは多といたしますが、病院だけではなくて、今申し上げた診療所、ここもやはりきちっと対応していくべきだと思います。
開業医はもうかっているんだろうという言い方、意見はよくありますが、ただ、病院と診療所というのは、1体で地域の医療を担っているんですね、役割分担して。ですから、病院だけが残って診療所が潰れていくということでは、結局病院にも今後しわ寄せが出てくるわけです。したがって、診療所も対象にすべきだということが1つ。
そしてもう1つは、県や基金にお金を積んでやるという今までのやり方では、私は、年内、年度内、かなり厳しいと思います。国から直接、コロナのときにやったようなやり方で支援をすべきだ。
この2点についてお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○高市総理 まず、診療所も含まれるかということでございますが、この支援の具体的内容につきましては医療機関の経営状況に応じて定められるものでございますので、支援措置の対象範囲が全ての診療所が含まれるということではありませんが、含まれないということではございません。
それから、もう1つでございますけれども、これをどのように出していくかということなんですけれども、これから補正予算で対応をしてまいります。その在り方についてしっかりとお示しをさせていただくということでございます。提出後にしっかりと説明をさせていただきます。
○本庄さとし 終わります。ありがとうございました。