2025年11月26日(水) 政調会長記者会見

掲載日:2025.11.26

■冒頭発言

○給付付き税額控除 4党協議について

○医療法改正 与野党5党修正案の提出について

○存立危機事態に関する政府答弁について

○非核三原則について

■質疑

○補正予算審議に向けて

○党首討論について

○泊原発について

○防衛力整備 長射程ミサイル配備計画等について(1)

○自動車減税法案の対応について

○防衛力整備 長射程ミサイル配備計画等について(2)

■冒頭発言

○給付付き税額控除 4党協議について

【政調会長 本庄さとし】

おはようございます。きょうは午後に党首討論がありますので、定例の記者会見は午前中とさせていただきました。

まず冒頭、私から何点か申し上げたいと思いますが、一つは、給付付き税額控除の制度設計に係る4党協議会です。4党というのは、立憲民主党、自民党、公明党、そして新たに維新の会が加わった4党です。この協議会をあす13時半から開催いたします。1回目は3党、自民・立憲・公明でしたが、今回は4党となります。

ちょっと時間が空きましたので、中身というよりも今後の進め方などが議論の中心になるかなと思います。今、自民党の小林政調会長とも議題については相談をしております。考えられるのは、例えば日程感、スケジュールですね。それから、この協議会で議論する議論の対象。それから、このメンバーですね。今は4党なのですが、もう少し増やすのかどうか。そして、政府が提案してきている社会保障国民会議が今後設置されるとした場合に、そことの関係などを少し整理するといった議題が考えられると私は思っています。少し時間のかかる制度設計になりますので、しっかりとペースを上げて議論していきたいと考えています。

我々はこれ、税負担の軽減、格差の是正、あるいは就労促進など、ファイナルアンサーと言ってもいい重要な制度だと考えていますので、しっかり成果を出していきたいと思います。これは党派を超えた、国民の皆さんの生活、社会保障のための重要な制度だと考えております。しっかり取り組んでいきたいと思います。

○医療法改正 与野党5党修正案の提出について

【政調会長 本庄さとし】

2点目は、少し各論になりますが、政府提出の医療法(改正案)。これは先日のネクストキャビネット(次の内閣)で私と小西ネクスト厚労大臣に対応一任となっておりましたので、そのご報告です。

この医療法改正の修正、これは既に立憲民主党と国民民主党の2党の案、それから、自民党・公明党・維新の案というものが提出されていますが、与野党の協議が整いましたので、きょうの衆議院厚生労働委員会の採決の際に両案を取り下げるということにいたします。そして、立憲民主党、我々も含めた、与野党5党共同の新たな修正案を提出し、それに我々も賛成をすると。その上で、政府の原案にも賛成というふうに結論を出しました。

我々は閣法に盛り込まれた内容全てが100点だということでは決してありませんが、様々な政策要求をする中で、例えば医師手当事業を行うに当たり医療保険者等が意見を述べる仕組みの構築についての検討といった規定を入れるなど、一定の成果があったということで、今回、与野党5党の修正案の共同提出、そして賛成というふうに結論を出しましたというご報告です。

○存立危機事態に関する政府答弁について

【政調会長 本庄さとし】

最後に、きのう公明党の斉藤代表の質問主意書に対して政府から答弁書が出てきたということでニュースになっていますね。一つは、その存立危機事態に関する総理の答弁。そして、もう一つは、非核三原則に関する見直しがあるのかないのかという、この二つです。

きょう党首討論で斉藤代表が取り上げられるのだろうと思いますが、存立危機事態の答弁については、これまでの政府見解と変わりはないという、そういう結論の答弁になっています。それはそうだろうと思いますし、その範囲内でそのように高市総理がしっかりと国会で答弁されていれば、その後の様々な問題も起こらなかったと思います。質問した岡田(克也)議員も、従来の政府見解と変わらないということの確認をあくまでもしたわけであって、そこを踏み外してしまったのは総理ご自身だったということです。

もう一点重要なのは、そうなると、例えば内閣法制局長官が答弁してきた内容。例えば「武力の行使は、これまでどおり、自衛隊法第八十八条に規定された我が国防衛のための必要最小限度の武力の行使にとどまる」と。これは存立危機事態においてもですよ、「我が国防衛のための必要最小限度の武力の行使にとどまる」、こういう答弁をしていますね。それから、「被害国を含めた他国にまで行って戦うなどといういわゆる海外での武力の行使を認めることになるといったものではございません」、これも法制局長官の答弁ですね。さらには、「存立危機事態に該当するのにかかわらず武力攻撃事態等に」、つまり個別的自衛権です、「該当しないということはまずない」という、こういう答弁もあるんですね。

そこから考えると、この存立危機事態の認定というのは、限りなく我が国自身に対する武力攻撃、つまり個別的自衛権と重なり合うような、そういった限定に限定を重ねた状況しか考えられないというのが従来の政府の見解です。そこから考えたときに、どこで何をできるのかと、そういう可能性の議論となっていきますが、相当制限されているということですね。

そこのラインも変わっていないのかどうか、その点はこの答弁書からはわかりません。そういったことについても、これからしっかり国会でも詰めていく、そういう作業も必要なのかもしれない。今回の答弁を見ていて、そのように感じました。

○非核三原則について

【政調会長 本庄さとし】

それから、もう一つ。この非核三原則なのですが、かつての岡田外務大臣答弁がありますということをよく政府・与党の方々が引き合いに出されるんですね。

それは何かというと、非核三原則、つまり「持たない」「作らない」「持ち込ませない」ですね。その第3番目の「持ち込ませない」というものが、民主党政権時に日米の密約調査をした結果、両国にそごがあるということが明らかになりました。つまり、アメリカ側は、寄港や通過、核を載せた艦船が日本の港を通ったり海峡を通ること、これは持ち込むに当たらないという解釈です。一方で日本側は、これは持ち込みに当たると、なので認めないという、解釈のそごが日米間にあって、それをずっと放置してきたということが日米の外交密約調査の過程で明らかになっています。このそごを埋めて、もしアメリカ側の解釈に立てば、寄港・通過は認められるということになってしまうわけですね。ただ、日本は認めないと、こういうふうに言ってきたわけです。

この点について当時の岡田外務大臣が答えたのが、「日本国民の安全」というものが危機的状況になったときに原理原則をあくまでも守るのか、それともそこに例外をつくるのか、それはそのときの政権が判断すべきことで、今、将来にわたってそういったことを縛るというのはできない」と、このように答えて若干検討の余地を残しているわけです。これを政府や、あるいは小泉大臣なども、毎回岡田さんの名前まで出して引用しているのですが、もしそうなったときは民主党や今の野党にも責任の一端があると言いたいのだろうと思います。

ただ、この答弁を正確に読めば、「国民の安全」が「危機的状況になったとき」というのが大前提なんですね、この見直しの可能性というのは。そうすると、今、三原則をもし見直すという議論があるとすれば、本当に国民の安全が危機的状況なのかどうか、あるいは核抑止や核の傘の運用において具体的にどういった支障や障害があるのか、そういった点が明確になる必要があると思います。

私の見る限り、現時点でそういった状況にはないし、大きな支障もないし、あるいは米側からここを見直さないと核の傘が正常に機能しないという話が来ているとも聞いておりません。などなどを考えれば、現状において非核三原則を見直す、そういう段階には当たらないと思います。これから政府や与党でもしそういった議論が進んでいくのであれば、今私が申し上げたような点について明確にしていただきたいし、必要があれば国会でも議論していきたいと、そういうふうに考えています。

■質疑

○補正予算審議に向けて

【時事通信】

政府の補正予算案について、立憲民主党も経済対策をまとめて出されたが、以前質問したときは立憲民主党の経済対策全ての項目が重要だとおっしゃっていたが、今後与党に修正協議等を求めていく意向があるのか。その場合、どの項目を重視するのか教えていただきたい。

【政調会長 本庄さとし】

修正なのか、補正予算の組替えなのか、選択肢は幾つかあると思いますが、政府の出してきたものをただ丸かバツかというだけではなく、やはり内容面に立ち入った議論というのはさせていただきたいと思っています。

論点は幾つかありますが、大きなところで言えば、やはり規模ですよね。規模の是非もありますが、規模の根拠もありますね。21.3兆円、予算ベースでいうと約17兆円ということになると思いますが、これが、補正予算というのは緊要性が必要ですから、緊急に必要というのが条件ですから、そこに合致しているのか。合致しているとして、今年度あと3か月という中で本当に必要なのか。あるいは、消化できるのか、実施できるのかなどなど、そういった観点からやはり精査が必要だと思っています。

特に(政府の経済対策には)三本柱が立っていますが、生活支援と投資と防衛と三つ柱があるわけですが、生活支援の部分は、各論はともかくとして、全体的には賛同できる部分が多いというふうには思っています。足らざる部分もあります、例えば即効性の観点で十分かどうかとか重点支援地方交付金が多過ぎるので本当にこれを地方が消化できるのかどうかとかありますが、総じて賛同できる部分は多いと思います。

一方で、投資の部分。これは本当に緊要なのか。あるいは、基金に積むだけって意味があるのか。補正予算の必要があるのか。かなり疑わしいものが多いと思います。

三つ目の、防衛。ここは例の1兆円以上の防衛費の前倒しが中心ですが、自衛隊の皆さんの処遇改善はよく理解できますけれども、それ以外の部分について、本当に補正での対応が必要か。1兆円規模が必要なのか。この辺りはしっかりと精査しないといけないと思います。

○党首討論について

【NHK】

きょうの党首討論の受け止めを伺いたい。野田代表からは、日中関係についてと、経済対策について、あと政治改革についてあるが、日中関係と経済対策について、どのような答弁を高市さんに期待したいか伺いたい。

【政調会長 本庄さとし】

受け止めといっても、これからなので受け止めようもないのですが、経緯はともかく、やはりこの膠着状態にある日中関係を日本国総理としてどのように打開していくつもりなのか。そこを具体的にぜひ述べていただきたいと思います。

経済対策については、「責任ある積極財政」はいいのですが、本当に責任が果たせているのかどうかというのが問われていると私は思います。この規模が本当にインフレ下において適切なのかどうか、内容がいいのかどうかなどですね。その点について、やはり野田代表が様々な問いかけを、我が党の案も含めてすると思いますので、そこに対してしっかりとそれこそ責任のある答弁をしていただきたいと思います。

○泊原発について

【北海道新聞】

原子力関連でお願いしたい。北海道の鈴木知事が北海道電力の泊原発3号機の再稼働を容認する考えを示す方向で調整に入ったと報じられている。立憲は、原発の再稼働について、綱領の中で、実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原発の再稼働は認めないとしているが、立憲民主党の党本部として今後の対応や考えがあればお願いしたい。

【政調会長 本庄さとし】

政策集や綱領にはそのように書いていますが、最近の代表の言葉をかりれば、実効性のある避難計画があって、加えて地元の合意があれば、再稼働は認めますと、こういうふうに申し上げています。その基準で判断していくことになると思います。

現状を見ると、一つは、北海道電力さんは2027年の再稼働を目指すという前提だと思います。つまり再来年ですよね。その間に、例えば防潮堤の整備とか、そういったこともやるということなので、そういった避難計画や安全確保の進捗も見定めていく必要があると思っています。

より重要なのは地元合意ですが、4町村、それから北海道が当事者で、五つの自治体が関与していると思いますが、今のところ泊村一つしかその容認の方針は出ていないということなので、まだ地元合意が満たされているとは言えないと思います。したがって、現段階での再稼働を決めるというのは拙速だというふうには考えています。

○防衛力整備 長射程ミサイル配備計画等について

【フリーランス】

昨日、熊本市内で「戦争だけはしちゃならん!熊本大行動」ということで、今、長射程ミサイルの配備計画や、高速滑空弾、弾薬庫の大規模な増設が全国各地で進められようとしているが、それに反対する全国集会が行われ、沖縄などからも参加者があった。既にご存じだと思うが、11月9日に健軍駐屯地の地元にある健軍商店街で1200人規模の住民集会があった。野田代表が15日に熊本を訪問され、ぶら下がり取材で、長射程ミサイルの配備そのものは否定しないが住民説明会は絶対必要であるというご発言をされ、その後、記者会見で私も質問したが、国対委員長のほうに衆議院の安全保障委員会で住民説明会のことについて質問するように指示を出したと。12月上旬には質問されるのではないかと思う。そういう状況の中で、昨日の集会でも、年内に陸上自衛隊健軍駐屯地のミサイル配備計画が進んでいること、弾薬庫の増設とか、沖縄南西諸島でもミサイルの更なる配備とか、住民避難計画とか、非常に事態が緊迫した状況で、やはり住民に対する説明も、ただ単に必要だから説明するというのではなく、根本的にこの問題をどうするのかということが問われていると思う。立憲民主党としての立場も現状を見て再考して国会対策も考える必要があると思うが、このミサイル配備の問題とか、弾薬庫増設の問題とか、どのように取り組んでいきたいか。どのような話合いが立憲民主党の中で行われているのか伺いたい。

【政調会長 本庄さとし】

逆に伺いたいのですが、「根本的に」というのはどういう意味ですか。その計画そのものを、長射程ミサイルを持つこと自体をやめるべきだとか、そういうことですか。

【フリーランス】

もちろん中長期的にはそういうことになると思うが、まずはやはり目の前に差し迫っている、年内になぜ急いで配備しなければいけないのか。もちろん防衛費の2%の前倒しとか、今、全て前倒しで進んでいる状況なので、まず配備計画を一旦止めて住民ときちっとした対話をすべきなのではないかという声が強く感じられたが、その対応についてということです。

【政調会長 本庄さとし】

それは代表が熊本の現地でも述べたとおり、長射程ミサイルの必要性自体は立憲民主党も否定はしておりません。ただ、今の数や、あるいは計画のペースが適正なものかどうかということは、国会を中心にしっかりと議論しなければいけないと思います。政府の説明が十分ではない部分があるということも事実だと思いますね。その上で、地元のご理解、これはやはりしっかり求めていかなければいけないと思いますので、今、十分でないということであれば、政府にはよりしっかりと地元のご理解をいただくための努力をしていただく必要があると思います。

【フリーランス】

各地元で抱えている問題、どういう設備なのかということも含めていろいろばらつきはあると思うが、ただ、非常に急ピッチで進められているという感覚は皆さんどこも持っている。特に沖縄南西諸島などもずっとそれが続いているわけで、今それぞれの現場がどういう状況に置かれているのか、どういう問題を抱えているかということをもう一回、年内配備という以前の問題として取り組むほうがやはり先だと思うが、それが全然されていない状況があると思う。やはり政権に対して今現在の状況についてストップを働きかけるような、そういう取組がないと、先に進んで配備されてしまったら住民説明会も意味がなくなってしまうので、それについて何かお考えがあればお聞きしたい。

【政調会長 本庄さとし】

そういったペースについても、それはやはり政府と地元がしっかりとコミュニケーションすべき問題だし、それから、不透明な部分や不明確な部分は国会で確認すると国対委員長も述べているとおりですので、そういったやり取り、あるいは政府の答弁・回答もしっかり踏まえて、今後の対応は考えていきたいと思います。

【フリーランス】

それは年内に、まずは臨時国会でということか。年内配備だと臨時国会しかタイミング的に間に合わないと思うが。

【政調会長 本庄さとし】

国会でまずきちんと議論するというのが現時点での我が党のスタンスです。

○自動車減税法案の対応について

【時事通信】

昨日、国民民主党が自動車減税の法案を国会に提出した。内容が、環境性能割を廃止すること、それから、自動車重量税・自動車税に上乗せされている暫定税率とか、13年以上乗っているようなクルマにプラスされている税率の上乗せ部分を全部なくすというような法案だが、ガソリン暫定税率に続いて、こういった自動車減税について立憲民主党としては検討していくこともあるのかどうか教えていただきたい。

【政調会長 本庄さとし】

長年、自動車業界などから出ていた要望なんですね。内容的には理解はできます。しかし、一方で財源の問題を始め課題もあるわけですから、まずはその提出された国民民主党さんからしっかりと内容についてお聞かせいただきたい。その上で我々の態度・対応も党内でしっかり議論していきたいと思います。

(以上)


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