2025年10月29日(水) 政調会長記者会見

掲載日:2025.10.29

■冒頭発言

○日米首脳会談について

○「クマ被害対策に関する提言」を政府に申入れ

○ガソリン暫定税率廃止に関する協議について

■質疑

○安保法制について

○「経済情勢」「金融所得課税」について

○クマ被害対策について

○「労働時間規制緩和の検討」首相指示について

■冒頭発言

○日米首脳会談について

【政調会長 本庄さとし】
 それでは会見を始めます。

 まず冒頭は、昨日の日米首脳会談。野田代表からもきのうコメントがありましたが、最初の対面の日米首脳会談としては非常に成果のある会談だったと私は思います。高市総理の全力のおもてなしと、そして、アメリカに対する太っ腹なお土産の提示ということで、トランプ大統領も満足のいく来日となったのだろうなと思います。

 ただ、やはり幾つか課題も見えてきたのかなと思います。

 まずは防衛費の問題。これは5年で43兆円の計画の前倒しということがトランプ大統領にも表明されたわけですが、まだ国内でもこの予算の使い方については議論すらしていないという状況です。5年間で43兆円という枠組みを変えるという話を、アメリカにまず、決まってもいないのにご説明をされている。しかも、その前倒しの内容も詳細がよくわかりませんよね。43兆円の計画を変えずに短縮するという話をされているのか、それとも、内容も変えて前倒しをするということなのかなど、不明点は非常に多いわけで、この点は適切ではなかったと私は思います。

 それから、防衛大臣の会談がきょう行われたと思いますが、詳細はまだはっきりしない部分が多いのですけれども、財務大臣もそうですが、首脳間ではない閣僚間でどういうやり取りがあったのかということもしっかりフォローした上で全体の判断をしていかなければいけないと思います。財務大臣会談では日銀の利上げについての言及や議論があったのかどうかなどですね。非常に関心を持たなければいけない会談だと考えています。

 それから、投資の問題です。全体で80兆円の対米投資をするということが決まっておりますが、その内訳と思われるものについて、きのうファクトシートも出てきて、いろいろなメニュー、分野を足し合わせると、もうどうも60兆円ぐらいまで積み上がっているのではないかということなのですが、これはどういう基準でこういったメニューや金額が出てきているのか。あるいは、出資、融資、それから政府保証で80兆円という説明ですが、ここのいろいろな民間企業が出してくる事業に政府が保証していくということなのか。その基準は何なのか。国民負担は出ないのか、あるいは出たときにどうするのかなど、非常に多くの疑問点があります。

 国を売るようなことがあってはもちろんいけないわけで、政府はそうではないと説明してきましたが、今回の首脳会談や閣僚会談も踏まえた議論を、来週の代表質問、そして予算委員会で、しっかりと詰めていかなければいけないと思います。政府には、よく「外交・安全保障に関わる問題なので答弁を差し控える」という答弁を連発しておりますが、ごく一部の本当の厳秘の部分以外はきちっとやはり答弁していただかないと、これは我々も判断できませんので、しっかりと明確な、そして誠意ある答弁を期待したいと思っています。

 なお、早々に拉致被害者家族の皆様と(トランプ大統領が)面会をされたことは、私は本当によかったと思いますし、日米がこの問題に協力して対応していくんだということが北朝鮮にもしっかりと伝わっただろうと思います。この点も評価できる点の一つだと思っています。

○「クマ被害対策に関する提言」を政府に申入れ

【政調会長 本庄さとし】
 クマ対策なのですが、きのう農林水産副大臣に私達の提言を申入れに行きました。環境省、それから官邸にも申し入れようと思っています。

 どうも政府も関係閣僚会議を開こうとしているんですかね、という話も聞こえてきましたので、ようやく重い腰を上げて政府を挙げて取り組もうという姿勢になったのかなと思いますし、私達はそういう趣旨で官邸にも申入れに行きたいというふうに申し上げております。そういう意図が伝わっているとすれば歓迎したいと思います。

 先日、宮城県の知事が、自衛隊や警察官のOBを地方公務員として雇用した上でこのクマ対策に当たっていただくというようなご提案をされました。我々も非常に、この考え方、やり方、注目しております。自衛隊そのものを出すというのは法律的にもいろいろなハードルもあるのかなと思いますが、OBの方で非常にそういった能力のある方を地方公務員というきちっとした身分で仕事をお願いするというのは一定の合理性があると考えていますし、そこに国として財政的な措置を取る、例えば交付税で面倒を見ていくというようなことは一つの考え方だと思っております。こういった点についても国会で改めて政府には求めていきたいと考えているところであります。

○ガソリン暫定税率廃止に関する協議について

【政調会長 本庄さとし】
 ガソリン減税の話、皆さんご関心だと思いますが、この間の経緯はここでは繰り返しませんが、きょうの夕方ですか、与野党の6党でまた協議会が持たれます。ここで財源の問題や施行期日について自民党からどういった提案があるのか、非常に注目をしておりますが、その内容を踏まえて、また野党間での調整や、我が党としての対応ということも決めていきたいと思います。

 重要なことは、この財源や期日の問題について、やはり自民党がきちっと責任を持って答えを出してくるということで、特にこの期日については、3か月の政治空白が尾を引いてここに至っているわけで、この点についてはやはり真摯な姿勢で臨んでいただきたい。期日を守ることは当然ですが、仮に守れないというようなことであれば、それはやはり自民党のこの間の様々な対応に問題があったということも含めて、しっかりとした見解を党として出していただくことを強く求めたいと思っています。

■質疑

○安保法制について

【東京新聞】
去る25日に立憲の元代表の枝野幸男氏が安保法について講演で言及され、安保法に違憲部分はなく改正の必要もないと発言された。その後の説明では、いわゆる安保法で認めているのは個別的自衛権の範囲で説明がつくとの趣旨だった。これは立憲民主党の現在の立場と軌を一にするものなのか。違う部分がもしあればご解説願いたい。

【政調会長 本庄さとし】
 まず、枝野元代表のそのご発言、私も名指しで名前が挙がっていましたが、党の見解ではもちろんありません。枝野さん個人の見解ですので、その見解について党の政調会長としてコメントするのは控えたいと。そういう立場に私もないと思います。

 我が党の立場は、これはもう参議院選挙の際にもきちっと明記をしておりますとおり、「立憲主義と平和主義に基づき、安保法制の違憲部分を廃止する等」、廃止する「等」ですね、「必要な措置を講じます」です。違憲部分があればそれは当然放置はできませんし、違憲部分がなければ法改正は要らないのかもしれませんが、いずれにしても、そこに余白を残した表現になっています。そして、代表も、10年間、裁判所の判断や実際の運用においても違憲と言われることは起きていないということを、首班指名に至る政党間協議の場でも発言をされています。これが今の現時点での党としての考え方であります。

 なお、個別的自衛権か集団的自衛権かという議論については、かつて安保法制の議論のときにもかなりありまして、個別的自衛権を拡張して解釈をする、つまり、我が国自身が攻撃を受けていないのだけれども密接な他国が攻撃を受けたときに、それを我が国自身に対する攻撃だと、個別的自衛権だという考え方もある一方で、政府が言っているような、(集団的自衛権は)限定的であればそれは9条の許容範囲だという、これは考え方としては二つあるんですね。結論は一緒です、自国への攻撃がないのだけれども自国に攻撃があったと同等の影響がある、したがって武力を行使する。結論は一緒なのですが、その前提については両論あるということで、その点については明確な結論は出ていないと思います。政府は限定的な集団的自衛権だと言っています。

○「経済情勢」「金融所得課税」について

【朝日新聞】
日経平均株価について、5万円台を突破して、きょうも過去最高値を更新している。米国の株式市場の好調や高市政権への期待が理由にあると思うが、一方で、実生活の景気の実感とは乖離しているという見方もある。率直にまず受け止めを伺いたいのと、ガソリン減税の財源案の一つに金融所得課税が上がっていると思うが、ここの点で金融所得課税を強化する妥当性というか、本庄政調会長のご意見を伺いたい。

【政調会長 本庄さとし】
 まず、株(価)はもちろん高いに越したことはないわけですが、上がったり下がったりするものですからね、そもそもが。上がったからどう、下がったからどうと、いちいち政治レベルで感想を述べるようなものでもないとは思います。

 一方で、株価以外の指標である、長期金利とか、あるいは為替とか、そういった部分はやはり決して日本経済にとっていい状況ではない。つまり、金利が上がり、円安が続いているという状況ですよね。だから、総合的にやはり判断していかなければいけないと思います。

 それから、恩恵を受ける人、受けない人。私は受けない人の一人なのですが、株を持っていませんので直接的には何の恩恵もありませんが、ただ、経済がよくなれば間接的な恩恵はあるかもしれませんけれども、まさに自分には関係ないという人はたくさんいて、だからこそ、やはり物価高対策などの政策を早くやらなければいけないということなんですね。ですから、3か月も4か月も政治空白をつくっておきながら、株価が上がっているから経済政策がうまくいっている、新政権万々歳だということではないというふうに私は思います。

 それから、金融課税のあり方については、いろいろな立場、考え方があることは承知していますが、「1億円の壁」問題を始め、格差の大きな原因にやはりなっていることは事実で、それを放置しておいていいというふうには思いません。財源としても、やはり一定そこから、要は金融で所得・利益を得た人に応分の税負担をしていただくということは税の世界で考えても当然のことで、これは金融市場に冷や水を差さないようなやり方で、うまくしっかりとした税制改正についての対応ということもやっていかなければいけないと思っています。

○クマ被害対策について

【北海道新聞】
クマ対策について伺いたい。きのう提言の申入れをしたとのことだが、提言の中には人材育成など幅広い分野が含まれている。今後政府がまとめる経済対策に特に盛り込んでもらいたい政策があれば教えていただきたい。

【政調会長 本庄さとし】
 経済対策なので、やはり予算面ですよね。だから、予算がかかる私達の提案、例えばガバメントハンターにしても、先ほど申し上げた自衛隊とか警察官のOBにしても、そういったところは当然費用面が発生するわけで、そういったところを国がしっかり支えていくということがやはり大事で、その点についてはやはり経済対策・補正予算にしっかりと我々も入れていきたいと思いますし、政府にも入れてもらいたいと思います。

○「労働時間規制緩和の検討」首相指示について

【北海道新聞】
もう一点、別件で、労働時間の規制緩和の問題についてお願いしたい。高市総裁は先日、上野厚労大臣に対して、現在の労働時間規制の緩和の検討を指示した。立憲は23日の厚労部門会議に(過労死された方の)遺族らを招いてヒアリングを行ったが、今後党としてほかに対応などあればお願いしたい。

【政調会長 本庄さとし】
 もちろん議論はこれからですから、結論が出ているわけではありませんが、やはり慎重に考えていかなければいけない問題だと思います。そもそもですね、「労働規制の緩和」と言うと何か悪いものをよくするかのように聞こえますが、要は残業や、あるいは過労死のリスクのあるような働き方も含めてやっていこうということにもなりかねないものなので、そう手放しで議論できる問題ではないと思います。

 そもそも、なぜ「働き方改革」や労働法制の労働基準の強化ということがこの間進められてきたのかということを、まずやはり原点に返らないといけないと思うのですね。過労死の問題もそうだし、あるいは精神障がいなども含めたいろいろな病気もそうだし、それから、働き過ぎによる子育てとの両立が困難であることや、男性が家庭のことが全然できない、やらないというような問題などあって、そういう流れの中で今の労働時間の様々な時間制限などの規制が入ってきたわけですよね。

 それを緩めるとか、それを戻すとなると、その根本の原因だった話というのがまたぶり返してくるわけですよ。では、そうならないようなやり方が本当にあるんですかと。例えば個人の判断、働きたい人が本当に自分の自発的意思だけでそういうことができるのか、あり得るのかですね。あり得るのであれば、既にやっていたと思うんですよ、私ね。でも、やはりそれができない、建前だけだから全体的な規制ということになっていったというような面もあるわけです。

 過去の経緯も含めて、やはりかなり慎重に議論しなければいけないと。思いつきでやるような話ではないと思います。

 (以上)