2025年11月19日(水) 政調会長記者会見
掲載日:2025.11.19
■冒頭発言
○緊急経済対策を政府に提言
○日中関係 日本産水産物の輸入停止表明について
○安保政策の国会質疑めぐる一部報道について
■質疑
○日中関係 日本産水産物の輸入停止表明について
○経済対策について(1)
○防衛力整備に関する議論について(1)
○経済対策について(2)
○防衛力整備に関する議論について(2)
○食料品消費税ゼロ法案について
○経済対策について(3)
○防衛力整備に関する議論について(3)
■冒頭発言
○緊急経済対策を政府に提言
【政調会長 本庄さとし】
まず冒頭は、先ほど官邸に我が党の緊急経済対策の申入れに行きました。木原官房長官にお渡しいたしました。現場におられたメディアもいらっしゃいますが、そうでない方もおられるので、もう一度ご説明したいと思います。
我が党が11月14日に取りまとめました「くらし・いのちを守り、賃上げを加速する緊急経済対策」についてご説明しました。この緊急経済対策は、三つの柱、すなわち「『くらし』を守る」「『いのち』を守る」「『賃上げ』を加速する」、この大きな三つの柱立ての中で、特に即効性のある「物価高・食卓緊急支援金」、医療・介護・福祉施設(に対する支援)、あるいは、そこで働く方々への支援などを中心とするものであります。こういった内容について官房長官にご説明させていただきました。
特に強調したのは、経済対策が非常に遅れているという中で、即効性のある政策、物価高対策が必要だということ。そして、規模の問題ですね。昨日もトリプル安、つまり債券・株・円、全て値下がりと。それから、長期金利の上昇や円安の加速といったことが起きていることを見れば、過度に大きな補正予算や経済対策というのはかえって経済にマイナスだという、そういう認識が大事だということです。私どもは8.9兆円ということで規模を抑えております。財源も、赤字国債は発行しないという、そういう前提で財源確保の内容についても書かせていただいていますが、そういった観点が必要と。つまり、「即効性」と「適正な規模」、この二つが重要だということを官房長官には強調しておきました。
長官からは、物価高対策に対する方向性や思いは共有しているという趣旨のご回答がありました。概ねご理解はいただけているというふうには思います。
この後、政府の中でどう判断されるかというのはこれからですが、私からは、前の森山幹事長のときに、この経済対策について協議をする、その準備を各党しましょうと、こういう話が我が党の安住幹事長に9月の段階でありました。それに基づいて我々しっかり党内で準備をしていますので、ぜひ協議をお願いしたいということを最後に官房長官には申し上げまして、承ったというようなご趣旨のお返事でした。やりましょうということではありませんけれども、そもそも知らなかったようで、そういった話を両幹事長同士でしていたということをですね。少し驚かれていたようですが、ぜひ我々の経済対策についても政府あるいは与党の中でしっかりと検討していただきたいと、こういうふうに思っています。
そういう中で、政府の総合経済対策ですが、21日決定だという報道もあります。そういうスケジュールで進んでいるのだと思いますが、報道によれば、17兆円、あるいは20兆、あるいは自民党からは25兆という、バナナのたたき売りのような巨額の数字が飛び交っています。しかし、そういう中で、先ほども申し上げましたが、きのうも金融市場では、債券・株・円、トリプル安という状況。そして、じりじりと上がってきている長期金利や、あるいは為替・円安ということを見れば、やはり日本の財政に対する信認が非常に落ちていると、マーケットから疑問視されているというふうに考えざるを得ません。そういう中で「昨年を超える」という非常に情緒的な理由で「17兆だ」あるいは「25兆だ」という数字が飛び交っていることに、私は、無責任極まりない議論だと、怒りに近いものを感じています。
そもそもですね、補正予算というのは緊要性、つまり緊急に必要なものということが大前提で、本当にそれが17兆円や20兆円必要なのかと。中身を見た上でよく議論しますが、とても今それだけの巨額の財政出動が、あと3か月の間で必要だとは思えません。そして、骨太方針、これは政府が閣議決定しているものですが、ことしの骨太方針、あるいは去年の骨太方針にも、「歳出構造を平時化を図る」と書いてあるんですね。つまり、コロナのときに膨れ上がった予算の規模を、それ以前の水準に戻すと。こういうふうに2年連続骨太方針で書いているにもかかわらず、去年も巨額の補正予算、ことしも巨額の補正予算ということになれば、この閣議決定した骨太方針というのは一体何なんだと、こういう話になるわけです。そういう政府(の財政運営)に対する信認が(落ち)、まずは市場、マーケットから警鐘を鳴らされている。それが今、様々な数字に反映されているのではないかと、こういうふうに考えています。
ぜひ政府・与党には責任ある補正予算・経済対策を検討していただきたい。「責任ある積極財政」はいいのですが、どこに対する何の責任なのか、全く見えないというのが今の議論の状況ではないかと考えています。中身について議論ができるようになれば、しっかりと政党間であれ国会であれ議論したいと考えています。
○日中関係 日本産水産物の輸入停止表明について
【政調会長 本庄さとし】
それから、日中関係が大変厳しい状況ということで、外務省局長が中国を訪問して議論をしているということであります。そういう中で、大変残念なことに、中国政府が日本産水産物の輸入を停止するという通達を日本政府にしたと、こういう報道が流れています。私は、これが事実であれば非常に遺憾だというふうに思います。
様々な事情・背景があることはわかりますが、しかし、こういう形で外交や経済の面で双方がエスカレートしていくということは決してお互いの利益にはなりません。そして、先日日中間でも確認した、首脳会談でも確認をしたばかりの戦略的互恵関係とも相いれないと思います。クールダウンして冷静に話し合うべきだと私ども申し上げておりますが、一方で、中国側のこういった更にエスカレートしていく対応ということも看過できない状況だと思います。
その上で、日本側には、冷静な議論、大局的な議論、そして中長期的な議論、こういったものをしっかりと取り組んでいただきたい。特に外務省、外交のプロフェッショナルの皆さんには、様々な知見やチャンネルをお持ちだと思いますので、そういったこともしっかり活用して、この極めて厳しい難局を乗り切っていただきたい。そういうふうに考えます。我々は野党ですが、殊更政局にしたり国会で議論の俎上にのせてたたいたりというようなことはもちろんありませんので、当局には全力を尽くしていただきたいし、我々もしっかりと、そのできることはバックアップしていきたいと思っています。
○安保政策の国会質疑めぐる一部報道について
【政調会長 本庄さとし】
最後にですね、安全保障の問題で、さきの高市総理の存立危機事態と台湾有事をめぐる発言があり今回のような事態に陥っていますが、この件について、質問をした岡田克也議員が間違っていたと、あるいは、しつこかったと、こういった言説がSNSだけではなく大手のメディア、テレビでもコメンテーターなども含めて取り上げられているということは、極めて問題があると思っています。
二つありますが、まず第一に、安全保障に関する議論を国会ですべきでないと言わんばかりの論調が一部メディアにありますが、国会でこの法制の議論をせずして一体どこでやるんだということですね。ましてや、政府の運用あるいは解釈が憲法や法律に合致しているかどうか、これは国会以外で聞くところはないんですね。だから、そこで取り上げるなと言われれば、これはもう全て安全保障は政府に一任しろと言っているに等しく、およそ三権分立でもなければシビリアンコントロールとも言えないと私は思います。
その上で、あのときのやり取りは、議事録をまずきちっと見ていただきたいのですが、岡田さんは、総理となった以上は(従来の政府見解を踏み越えた)発言は慎むべきだということで質問をしています。そして、これまでの政府の解釈は、存立危機事態の認定について極めて抑制的・制限的に解釈して答弁してきたと、そのラインを確認したわけですね。高市総理は、その制限された答弁ラインを認めつつ、突如ああいった発言が出てきたということで、聞いていたほうも、私もちょっと驚きました。そういった経緯を見れば、岡田氏が執拗に質問したからああいう答弁をせざるを得なかったということは全く事実に反する見立てであって、一般の方々が自由にSNSに書かれているのはともかくとして、しかるべきメディアまでがそれをまことしやかに書いたり放送したりしているのを見ると、非常に危険な状況だなと言わざるを得ません。ぜひ事実に即した報道、そして論説をお願いしたいと思っています。
■質疑
○日中関係 日本産水産物の輸入停止表明について
【NHK】
日中関係について、先ほど水産物の輸入停止に関して受け止めを述べられたが、水産物が止まることについて、どういった影響が懸念されるか。
【政調会長 本庄さとし】
それはもう言わずもがなで、もちろん水産業を営んでいる皆さんにとっては大きな打撃になり得ると思いますし、つい先だってこれを解除したばかりですよね、輸入停止を。それを、さしたる理由もなく、おそらく今回と関連づけてのことだとは思われますが、しかし、科学的な根拠もなくまた停止を再開するということは、理屈が通らないと私は思っています。
起きている事態と別の問題でこういった対抗措置を取るというのは、中国が様々な国際社会の中でも問題視されている手法ですよね。私は、(そういった手法は)慎んだほうが中国自身にとってもいいと思います。
○経済対策について(1)
【時事通信】
本日、自民党の小林政調会長が、近くまとめる総合経済対策に関して、児童手当を所得制限なしで2万円上乗せするという方針を明らかにした。これに関しては立憲民主党が主張している子ども1人当たり2万円の給付金とも方向性が一致しているものだと思うが、この方針についての受け止めを教えていただきたい。
【政調会長 本庄さとし】
一回こっきりの2万円ですか、それとも、児童手当の金額そのものを2万円上げるという話なのか、ちょっとそこがわからないのですが、自民党には我が党の経済対策をお届けしてあります。公明党の岡本(政調)会長には直接説明もしました。それが反映された結果であれば歓迎したいと思います。
子育て世帯が、子ども達がお腹を減らしているというような状況であってはいけないという思いから、我々も今回子どもには1人当たり2万円給付という提案をしております。ただ、やはり、より根幹にある中低所得者の方への給付、これはおそらく(自民案には)入っていないのだろうと思います。そうすると、子どもはいいのですが、やはり貧しい人、そこへの手当てというのが更に重要だと私は思いますので、その意味では非常に不十分だと思います。
【時事通信】
小林政調会長だが、国民民主党の浜口政調会長とも今日会い、国民民主党が主張している「年収の壁」、所得税の課税最低ラインを178万円に引き上げることについて協議をしていくように要請したという状況だ。協議は実際に自国の間で行われるということだが、改めて所得税の減税、「年収の壁」引上げについての立憲民主党としての考えを教えていただきたい。
【政調会長 本庄さとし】
「年収の壁」引上げそのものは否定しておりません。むしろ、やっていくべきだという立場です。ただ、財源はしっかりと確保していかなければいけないので、「与党が考えることだ。私達は知りません」というわけにはいかないと思います。
ただ、その上で、私達がより重要視している「年収の壁」は130万円です。つまり、社会保険の扶養に入っているパートのような方が、130万を超えると自ら社会保険に入るということになって、おそらく年間で30万円ぐらいの社会保険料が発生し、手取りがその分減ってしまう。これは我々「130万円の崖」というふうに言っています。今までは103万のほうがハードルが低かったのでそこが注目されてきましたが、これが上がっていけばいくほど、そして、130万を超えて178万まで上がっても、この社会保険の130万が残っていれば、結局そこが壁や崖になって就労制限が行われるということが容易に想像できますね。
130万を超える「年収の壁」問題という意味では、この社会保険をめぐる130万のほうがより重要だと思いますので、我々は引き続き130万を最重視してやっていきたいと思います。なお、今回の経済対策にもここについての予算というのは要求しております。
○防衛力整備に関する議論について(1)
【時事通信】
最後に一点。自民党があすから、いわゆる安保関連3文書についての党内議論を開始するということだ。防衛装備品移転の5類型の撤廃等が自民・維新の政策合意の中に入っており、ここが焦点になるかと思われるが、こうした議論が自民党内で活性化していくことについて見解をお願いしたい。
【政調会長 本庄さとし】
いや、自民党の中でどういう議論があろうが、これは我々とは直接関係ありませんので、ご自由にされたらいいと思います。むしろ、これは政府のほうが来年改定に前倒しということですから、その議論をしっかり注視していきたいと思います。
報道でいろいろな話が出ていますが、例えば今おっしゃった防衛装備品の海外移転の5類型の撤廃あるいは見直し、あるいは非核3原則についても見直すのかどうか、こういった話がありますが、「戦後最も複雑で困難な安全保障環境」というマジックワードの下に何でもかんでも変える、何でもかんでも見直していくということであってはいけないと思います。これまで積み上げてきた議論や、あるいは事実というのがありますから、それをしっかり踏まえた安全保障の議論というものをやっていきたい。しっかりと専門性や知識のある人達がじっくりと議論していただきたい。そういうふうに思いますね。
○経済対策について(2)
【日本経済新聞】
先ほどの経済対策についての申入れに関連して伺いたい。官房長官にお伝えした政策協議に関して、これは今、別で進んでいる給付付き税額控除などの自公立での協議とはまた別に、経済対策や補正予算についても協議したいという旨でお伝えされたのかという点と、優先順位として幾つかの項目に分けられて経済対策を提言されていると思うが、実現とか、この協議に際してつけている部分、優先する部分を伺いたい。
【政調会長 本庄さとし】
まず、給付付き税額控除の政党間協議と、きょう申し上げた経済対策・補正予算の協議は別物です。補正予算審議に臨むに当たっての政党間協議であり、補正予算が出てきた後は補正予算の中身についての協議ということになると思います。いずれにしても、いつまでもやる問題ではないので、補正予算が成立すれば、そこで終わる議論だと思います。給付付き税額控除のほうは更に先のある長い話です。
それから、申し入れた経済対策は、そもそもが8.9兆円という非常にコンパクトなものなので、全て最優先のもの。つまり、緊要性のあるもの、補正予算になじむものを中心に書かせていただいていますので、全て優先度は高いのですが、あえて言えば、やはり即効性のある政策ということで、特にこの「物価高・食卓緊急支援金」、トータル2.7兆円の予算を考えています。これが一つ。それから、病院・診療所・介護施設等への経営支援、そして、そこで働く人達の処遇改善、合わせて2.5兆円ほどを考えていますが、これもやはり最重点の政策だと考えています。その上で、先ほども申し上げました、やはり適正規模。そして、財源は赤字国債に頼らない。この点も重要な問題だと考えているところです。
【日本経済新聞】
もう一点。先ほどの質問にもあったが、自民党と公明党との間で、政府の経済対策に子ども1人あたり2万円を児童手当に上乗せするという方針が説明されたが、立憲民主党の給付策の子どもに対して2万円という部分と、方向性というか、2万円が実際給付されるのであれば重なると思う。ここは一部立憲民主党の掲げる政策も入っているというような点で、今後の補正予算に対する賛否や、そういった協議の方向において何か影響するものがあるか伺いたい。
【政調会長 本庄さとし】
児童手当を受け取っている子どもに2万円ということ自体は我々と考え方を一にしていますから、その点は評価できると思います。ただ、補正予算は全体像がありますよね。それから、ほかの政策もあります。したがって、それだけでは当然判断できませんので、全体をよく見て、その上での賛否ということになりますので、今、児童手当2万円上乗せだけでどうかと言われても、なかなかお答えは難しいです。
○防衛力整備に関する議論について(3)
【フリーランス】
冒頭の、高市首相の台湾有事は存立危機事態になり得るという発言の件だが、これをきっかけに今おっしゃったように中国政府との緊張関係が高まっている。一方で、この国会では、補正予算とも関係してくると思うが、防衛予算のGDP比2%の前倒しのことや、敵基地攻撃能力を保有する長射程ミサイルの年内配備、熊本県の健軍駐屯地が候補に挙がっているが、年内にそういった動きがあるということだと思う。今この時点でそういうことをどんどん話を進めてしまうのは緊張関係を更に高めるのではないかという懸念があるが、その中止を求めるといったような対応、それから、大串議員も集中審議を11日の質問のときに求めていたが、高市政権に対して集中審議を求めたり、こういった政策の中止を求めたりといったような取組を今現在考えているかどうかお聞きしたい。
【政調会長 本庄さとし】
防衛費の対GDP比2%を今年度中に補正予算で達成するという前倒しの賛否については、まだ党の中で決めていませんので、今、賛成か反対かということはお答えしませんが、今起きている日中関係とか存立危機事態の問題とは別の問題だと私は思います。
その上で、重要なことは、この年度、つまり、もうあと3か月しかない2025年度に約1兆円の積み増しがなぜ必要なのか。そして、それはこの3か月の間に必要なのか。そういったことについて政府からしっかり説明を聞かないといけないと思います。それから、財源の問題もあります。防衛増税をどうするのかなどなど、わからないことが今余りにも多過ぎるので、そういった説明をまずしっかり政府に求めたいと思いますし、その上での我々としての判断ということになると思います。
【フリーランス】
今も質問したが、いわゆる存立危機事態のことや敵基地攻撃能力、これは明らかに台湾有事を想定したような制度設計になっていると思う。今、特に熊本の健軍基地などでは配備に反対する取組があったり、住民説明会を求めるような取組も、先日熊本に野田代表が行ったときにそういう話もあったが、まさに中国を敵視するような形での反撃能力というか敵基地攻撃能力の長射程ミサイルだと思うが、この議論について一旦止めるということは考えていらっしゃらないか。
【政調会長 本庄さとし】
まず、我が国が整備を進めている反撃能力は、特定の国を想定したものだというふうに私は思いません。政府もそういう説明はしていないと思いますので、今のご質問は、そういう見方があるというご見解に過ぎないと私は思います。それから、今回起きている日中間の問題と関連づけて停止すべきだというふうには私は考えません。
○食料品消費税ゼロ法案について
【朝日新聞】
消費税の野党間協議について、ちょっと前だが、11月頭に安住幹事長が北九州のぶら下がりで、野党間協議を政調間で一回やったが、(一律)5%と食料品と意見が分かれたとおっしゃっていた。今後どういうふうに立憲としては、歩み寄るのか、歩み寄りたいのか伺いたい。あと、今後のもし目指しているスケジュール感などがあれば、あわせて伺いたい。
【政調会長 本庄さとし】
国会に法案を提出しておりますから、これをベースに、一つでも多くの政党からご理解をいただきたいと思って、私もお訪ねしていろいろ意見交換は続けています。食料品限定の減税そのものを賛成という政党はありますが、我々の考えている期間限定とか、あるいは財源をしっかり確保した上でというところについては、一致できてないという政党もあって、なかなか容易ではない状況であることは事実です。今国会中にこの法案を成立させたいと思っておりますが、引き続き努力したいと思います。特に期限は切っておりませんが、この国会中というのが今我々の出している法案については一つの目安だとは思っております。
○経済対策について(3)
【テレビ東京】
円安・債券安・株安というトリプル安が続いている状況の中で、とはいえ今も物価高という状況かと思う。高市政権はそうした中でも財政拡張というところで、報道では20兆円以上財政支出をしていくんだという話がある。やはり絞った財政出動というのが必要なのかと思うが、この状況の中でどういった対策や政策をすべきか、少しお考えを伺いたい。
【政調会長 本庄さとし】
補正予算・経済対策という観点からのご質問であれば、それはやはり短期のもの、即効性のあるものというものが中心で、中長的なものや構造的なものは、本予算なり、より腰を据えた予算でやっていくべきだと思います。
そういう前提で私達の対策は組み立てていますが、やはり所得の少ない人、あるいは少ないとは言えないけれども中所得者ぐらいの方々とか、子育てのお宅というのは、やはりこの物価高が最も影響を受けている人達だと。こういう認識なので、そこは早く現金なりお届けしなければいけないということで、あえて給付金ということを提案しています。
それから、医療ですね。民間の病院は半分赤字、診療所は3割から4割赤字、公立病院に至っては8割以上、9割近くが赤字と。ここのやはり支援も、診療報酬改定を待たずして、待ったなしという状況なので、今回の経済対策に入れています。国が直接支援をするというやり方で、県(への地方交付金)や基金を積んでからやるというのでは遅いと思いますので、その辺も重視して提案をしています。
その他、公立学校の老朽化対策とか、あるいは、国公立大学の運営費が全然上がっていなくて物価高で大変な状況になっているとか、こういったところも急がれると思いますので、経済対策の中に入れています。
そういったものを私達は提案をしているということですね。今おっしゃった円安・物価高などなどを考えると、やはり巨額な過度な財政規模というのはかえってマイナスだと思いますので、なるべくコンパクトにと考えています。
○防衛力整備に関する議論について(3)
【フリーランス】
政調会長は以前、憲法審査会や衆議院の予算委員会で、特に2022年、23年、岸田政権のときの安保関連3文書閣議決定の前後だったと思うが、かなりいろいろ質問されている。やはり集団的自衛権の行使が限定的ではないということで、憲法違反の可能性が高いというふうにもおっしゃっており、専守防衛のことについても、敵基地攻撃能力のことなどについてもいろいろご質問されている。先ほど、今回の高市発言とこの予算の問題はちょっと切り離して考えたいというお話があったが、やはり外から見れば、中国やアジアの周辺諸国から見れば、やはり敵地攻撃能力、それから集団的自衛権によって、日本が緊張関係を高めるのではないかという懸念が今の日中関係を見ているとすごく強く感じるが、それについてきちっと国会の中で集中審議をするとか、何かしっかり取り上げるということは考えていらっしゃるか。外に対するメッセージとしても、やはり中国に対してだけではないが、必要だと思うが、それについて、もし今後の年内の国会対策についてお考えがあればお願いしたい。
【政調会長 本庄さとし】
国会で集中審議を求めるかどうかなどについては、これは国対で基本的には判断していますから、私が今、政調会長としてここでお答えするのは控えたいと思います。今まで大串さんが予算委員会で求めたということは承知していますから、その範囲においてはもちろん求めていくということは申し添えておきます。
それから、防衛力の問題は、日本にとって必要な防衛力はきちっと整備をしなければいけません。それは、どこの国を刺激するからとか、そういったこととは別に粛々とやっていくべき政策だと思います。ただ、一方で、そういったものとは別に、いたずらに緊張関係をあおるような発言とか、そういったものはやはり、特に政治家や政府の関係者は厳に慎むべきだと思います。
(以上)