2025年10月22日(水) 政調会長記者会見
掲載日:2025.10.22
■冒頭発言
○高市内閣発足を受けて
■質疑
○財政政策について
○企業・団体献金規制について(1)
○政務三役人事(1) 裏金議員の起用について
○ガソリン暫定税率廃止の協議について(1)
○物価高対策について(1)
○ガソリン暫定税率廃止の協議について(2)
○政務三役人事(2) 外国人政策相の新設等について
○企業・団体献金規制について(2)
○次期衆院総選挙に向けた取組について
○自維「連立合意」の政策項目について
○物価高対策について(2)
○党の立ち位置について
■冒頭発言
○高市内閣発足を受けて
【政調会長 本庄さとし】
皆さん、こんにちは。雨の中、ご参加ありがとうございます。それでは記者会見を始めます。
まず、昨日発足いたしました高市内閣ですが、「決断と前進の内閣」だと高市総理はおっしゃいました。私はそれは結構なことだと思いますが、田中角栄元総理の「決断と実行」を彷彿とさせるキャッチフレーズだと思いますが、しかし重要なことは、参議院はまだ与党少数という状況、そういったことも考えれば、やはり引き続き「熟議と公開」の国会であるべきだと、そういうふうに思います。「熟議と公開」を経た上での「決断と前進」であるべきだと。そのことは強く、新内閣、新総理には申し上げておきたいと思います。
きのう早速指示書が各閣僚に出されております。それをざっと見ていますが、今現時点で私の政調会長としての立場で幾つか気づきの点を申し上げておきたいと思います。
まず、キーフレーズである「責任ある積極財政」。これはよくわからないというか、非常に違和感があります。財政の持続可能性には常に配慮しつつということで、ここで言う責任というのは財政健全化的な意味での責任という意味で使っておられるのかなとは思うのですが、ただ、現状このインフレ下において積極財政というのは、もうこれは世界で見ても周回遅れの議論で、インフレを更に助長するリスク、さらには金利の上昇、さらには国債発行するということになれば円安も加速させるわけで、そういった意味で「責任ある積極財政」という言葉そのものが非常に矛盾に満ちているのではないかと私には思えます。
それから、「働きたい改革」ですかね。厚生労働大臣に対して労働時間規制の緩和の検討を指示したということなのですが、これは自民党の公約「働きたい改革」の延長線だと思いますが、これですね、厚労省のアンケートなどを見ても「もっと働きたい」と考えている人は6%なんですね。そういう中で、高市総理個人がワーク・ライフ・バランスを捨て去るのはご本人の自由かもしれませんが、国民に対してもっと働けというのは、かなり違和感があるなというのが率直な印象です。慎重にやはり検討していただくべき項目ではないかと思っています。
それから、これは重要な点なのですが、皆さん見ましたか、財務大臣への指示書を。財務省が嫌がるようなことは何も入っていません。給付付き税額控除は入っていますが、それは財務省は推進の立場です。ぜひ政党間協議を応援してほしいと思いますが、例えばガソリン減税について財務大臣に指示が出ていません。総務大臣には出ています、財源の確保などについて。これは非常に私は違和感があります。それから、維新の会と連立合意をした際にあった食料品の消費税の減税、これは全く言及がありません。などなど、財務省がやりたくないものは見事にはじかれていると思います。「責任ある積極財政」というようなことも考えると、既に財務省のコントロール下に高市総理は入っているのではないかと、こう言わざるを得ないと思います。
最後に、物価高なんですね。これですね、全体の中、全閣僚に対する指示の中に一例として物価高対策という言葉は出てきます。私が見た限り、その1か所ではないかと思います。各大臣にも物価高対策という言葉では具体的な指示は出ておりません。いかにこの物価高対策について積極的ではないか、やる気がないかということが表れているのではないかと言わざるを得ません。例えば我々が強く主張しています介護・保育の現場の方々の処遇改善、あるいは病院や診療所の赤字問題に対する支援、こういったことについて、私が見る限り、例えば厚生労働大臣に指示が出ているかというと、これは出ていないわけですね。全体を見ると、非常にこの物価高対策に対して認識の甘い内容になっていると言わざるを得ないと思います。
そして、連立合意の中にあったものが相当抜け落ちているところから見て、果たしてこれは維新の会の皆さんは同じ連立与党として内容をご承知なのかどうか。その点も、ぜひ聞いてみたいなと思っています。残念ながら維新の関係者は国会(答弁)には出てきませんから、どこで聞けばいいのかなと思いますが、非常に摩訶不思議な内容になっていると感じています。
より詳細な議論は代表質問や予算委員会の中でしっかりと深掘りをしていきたいと思っています。
■質疑
○財政政策について
【東京新聞】
今、財務省にかなり配慮しているのが高市政権ではないかというご指摘があったが、きのう財務大臣になった片山さつきさんが議員会館の部屋で、別室でのお話だったが、積極財政で行きたいと、ここは頑張りたいということをおっしゃっていた。麻生さん側の財政規律的な考え方と若干違うのかなという感じがしたが、実際片山さんがそう言っても本当にそこまで本気度を持って彼女の言っているサナエノミクスとか積極財政主義に転じるところに大きくかじを切れるのか微妙だが、片山さんがそう言っていることに関してはどう受け止めているか。今もしかして初めて聞いたかもしれないが。
【政調会長 本庄さとし】
初めて聞きましたが、大臣は総理の意を受けて同じ方向を向いておられるのかもしれませんね。ただ、これは実際に政策立案して予算をつけていくのは財務省ですから、果たしてその財務省がきちっと指示を受けていますという状況になっているのかというと、甚だ疑問だと思います。
そもそも「責任ある積極財政」なるものがどういうものなのかということがよくわかりませんよね。経済(再生)と財政健全化の両立ということも指示書の中には出ていますので、財政を傷めない範囲での積極財政ということであれば、それは私は一概に否定はできないと思いますが、ただ、それってどういうことなのと正直思いますよね。その辺りはきちんとやはり説明を受けたいなと思います。
○企業・団体献金規制について(1)
【東京新聞】
もう一点。自維連立の12の政策合意書の中で、企業・団体献金の廃止に関して、協議体をつくっていくという非常に曖昧な書き方になっている。企業・団体献金の廃止は立憲民主もずっと強く訴えていることだが、現在そもそも7000ある支部の受け手規制、48にしろということにもまだ自民党は応じていない状況で、自維が決めたこの政策協定の中の企業・団体献金の廃止の部分を今どう見ているか。それから、そこに対してどう厳しく立憲として向き合っていくつもりかお聞きしたい。
【政調会長 本庄さとし】
遠くのおぼろげなゴールを合意して、合意とも言えないですね、目標に掲げて、目の前のでき得る問題を横に置いた、そういう合意なのだと思います。つまりは、受け手規制、これは全面禁止よりははるかにハードルの低い規制ですよね。それさえもやらないと言っている人たちに、それよりも厳しいものを協議しましょうというのは、甚だやる気がないと言わざるを得ません。私はその提案している維新のほうにも、やる気がないというふうに思います。
我々としては、企業・団体献金の禁止という目標自体を下ろしておりません。ただ、そこに行き着くまでの第一歩として、まずは受け手の規制をやろうと考えています。公明党と国民民主党が考えている案をベースに今国会で成立させたいと考えていますので、当然これは維新の会は少なくとも賛成すると思いますし、ぜひ自民党を説得してもらいたいと。それもできないのでは将来の禁止なんてとてもできませんので、そういった議論をこの臨時国会ではやっていきたいと思います。
○政務三役人事(1) 裏金議員の起用について
【共同通信】
副大臣・政務官人事について伺いたい。高市首相は本日人事に着手されていると思うが、その中で、自民党派閥裏金事件に関係した堀井巌さんや根本幸典さんらの起用があるのではないかと弊社の取材でわかっているが、それについての受け止めをお願いしたい。
【政調会長 本庄さとし】
まずは任命権者である高市総理から、その趣旨、そして裏金との関係について、明確に説明をしていいただきたいと思います。これはもちろん国会でしっかりやっていただかなければいけないと思います。それから、当事者である各副大臣や政務官の皆さんも、残念ですけれども国会での議論はまずそこから入らざるを得ないのではないでしょうか。
私は、そういったことも考えれば、今そういったことに時間を取られかねないような人たちを政府の中に入れるということ自体が、本当にこの3カ月の政治空白を反省しているのかなというふうに思います。非常に遺憾に思います。
○ガソリン暫定税率廃止の協議について(1)
【日本テレビ】
ガソリンの暫定税率について伺いたい。本日、野党国対委員長会談、与野国も行われ、27日の週に成立を得るべくということを目標にということで一致したと聞いている。一方で、今、自公立で税調の協議もされているかと思うが、財源の中身や政策の中身についてはまだあまり煮詰まっていない印象を受けている。27日の週のスケジュールというところも踏まえて、現実的に今後野党でどのように協議を進めていくお考えなのか伺いたい。
【政調会長 本庄さとし】
ここは国対と税調がそれぞれカウンターパート同士で協議をしている最中だと思いますので、あまりコメントしないほうがいいのかなとは思いますが、年内に実施するということは各党で合意をしておりますから、そこから逆算をして、いつ何をしなければいけないのかという問題だと思います。
他の野党も含めて、法案提出者ではない野党も含めて、しっかり理解を得ながら、間に合うスケジュールでやっていただきたいと思いますし、それが我々としてはこの27日の週にと考えていますが、国対と税調でしっかりと理解を得ながら進めていただきたいと思います。
○物価高対策について(1)
【日本テレビ】
高市政権の物価高対策について伺いたい。積極財政でインフレや円安が加速しかねないという意味において、物価高対策にならないというご指摘もあったかと思う。すごくごもっともだなと思うが、この秋の臨時国会で立憲民主党としては高市政権に対してどういった形での物価高対策を具体的な政策として提案していくか伺いたい。
【政調会長 本庄さとし】
まず、指示を出された経済対策の内容、それから、それを受けて出てくるであろう補正予算の規模、ここは注視していきたいと思います。「責任ある積極財政」になっているかどうかは、この補正予算の規模や内容を見ればおのずとわかってくると思います。
去年は14兆円。その1年前、一昨年を上回るというのが大前提の水膨れしたものでしたが、まさか同じようなものが積み上げと称して出てくることはないだろうとは思いますが、そこはよく精査が要ると思います。
我々は規模ありきではありません。これは去年もそうです。更にそれはことしもそうだと思っています。それはやはり、インフレが加速している中でいわゆる大盤振る舞いのばらまき的な財政出動をすれば、むしろ経済にはマイナス、もちろん財政にもマイナスということです。今、目の前で物価高に苦しんでおられる方々に、どういった効果的な政策が必要なのかと。この観点でしっかり絞っていきたいと思います。
短期的な経済的な支援、これは我々は食卓おうえん給付金を夏に提案しましたが、それと同じものか、あるいは、それを少しバージョンアップしたようなものなのか、今議論しておりますが、そういったものも必要だと思いますし、それから、繰り返していますが、医療や介護や保育、ここの支援というのはもう待ったなしだと考えていますので、本予算でやるような本格的なもの、中長期的なものではなく、年度内に短期でやらなければいけない物価高対策をしっかりと打ち出していきたいと思います。
○ガソリン暫定税率廃止の協議について(2)
【朝日新聞】
きょう13時に自民・公明・維新のガソリン協議の初回が、ちょっと冒頭見ていないが、行われていると思う。これまでされていた自民・公明・立憲の枠組みは今後どうなるか。自民・公明・立憲のガソリン協議の枠組みがあったと思うが、それは今後はもう開かれないか。
【政調会長 本庄さとし】
きょうはあれですよね、たぶん自と立と2者でやるのかどうかという話だと思いますが、その後、公明党を入れて3党でやるのかというのは、ちょっと私は聞いていません。わかりませんが、ただ、その以外の提出した党がありますよね、一緒に。国民民主党、共産党、そこを入れた6者はやはりやらないといけないということで、おそらく重徳税調会長はいろいろな交渉を小野寺さんとやっていると思います。
○政務三役人事(2) 外国人政策相の新設等について
【NHK】
冒頭の大臣のことについてだが、ざっくりと顔ぶれについてはどのような感想を持ったとか、もしあれば教えていただきたい。
【政調会長 本庄さとし】
顔ぶれ。顔と名前がまだよくわかりません。それ以上言うと問題になると思うので、それぐらいにしておきます。
【NHK】
新たに外国人の共生に関する担当大臣などを起用したこともあると思うが、そういうところに高市政権の特徴も表れているのではないかと思うが、その辺は。
【政調会長 本庄さとし】
それは我が党が先んじて「次の内閣」で黒岩宇洋さんを外国人政策担当NC大臣にしていますが、それを見て、まねされたのではないかなと思います。司令塔が必要だということでしょう、おそらく。中身はまた別ですが、そういうポジションを置くということ自体は理解はできます。
○企業・団体献金規制について(2)
【西日本新聞】
企業・団体献金の件で伺いたい。自民と規制について合意した日本維新の会は、合意文書を交わした日に、立憲民主党や国民民主党は労働組合から多額の政治献金を受けているなどと述べ、国民民主党や公明党が出している受け入れ規制について反論した形の発言があったが、そういった議論についてはどのように受け止めているかお聞きしたい。
【政調会長 本庄さとし】
まあ、言いがかりですね。
【西日本新聞】
もう少し詳しく。
【政調会長 本庄さとし】
自分たちが企業・団体献金の禁止が一丁目一番地だと言っていたにもかかわらず、それが全く担保のないまま連立政権を組むことになって、議員定数(削減)の話を突然一丁目一番地だと言い出して、それに対して我々が受け皿のほうをじゃあやろうと言っているのを、何とかいちゃもんをつけたいと思って、そういうことを言っているのだと思います。
そもそも事実と反していますよね、「労働組合から巨額の政治献金を受け取っている」。一部議員の中に組合の構成員の人たちの支援を厚く受けている人はいるかもしれませんが、私を含めて大多数の立憲民主党議員はそんな事実はありません。あるのだったら、しっかり出してもらいたいですね、と思います。
○次期衆院総選挙に向けた取組について
【東京新聞】
きのう高市さんが会見の場で早期解散はないと明言したが、きょう永田町をいろいろ取材していると、やはり支持率が高い、初の女性総理ということで、今、ややメディアも含めてお祭りモードで、予算委員会を開く冒頭を含めて解散というのはやはりあり得るのではないかという話を聞いた。本庄政調会長としては、年内解散ということを含め、可能性も含め、どう考えているかお聞きしたい。
【政調会長 本庄さとし】
どういった理由で解散されるのかわかりませんので、そのことの評価は避けますが、解散がいつあってもいいように、党政調としても私個人としても常に準備はしておりますので、それで何か困ることはないし、慌てることもないので、粛々と仕事をやっていきたいと思います。
【東京新聞】
もう一点だが、もし選挙になった場合に、公明党が離脱したことで、今後公明党との選挙も含めた協力態勢というのがあり得るのではないかという気がするが、その点はいかがか。
【政調会長 本庄さとし】
そこは今、私の立場では申し上げられませんが、ただ、政策が一致する政党や候補者とはいろいろなコミュニケーションはできるのではないかと、政調会長の立場からは申し上げておきたいと思います。
○自維「連立合意」の政策項目について
【「FACTA」】
自維の合意書で、12テーマ、約50項目と。維新は参議院選挙で負けたわけで、全国比例では得票率7%ぐらい、投票率は6割ぐらいだから5%未満だと思うが、この合意書というのはある程度民意を反映しているかとか、これは率直に立憲としてはどういう評価になるのか。この50項目について、それぞれ、野党第1党として、丸バツ三角ではないが、どういうふうに見ておられるか。概要でいいが。あるいは、そういう取組をするお考えがあるのかどうか。この合意書の評価、民意を反映しているものなのか、それについて野党第1党としてはどういう見解を持っているか伺いたい。
【政調会長 本庄さとし】
そもそも、これは本当に自民党と維新の会の総意と言えるような連立合意なのかというのが、私は甚だ疑問です。特定の人同士でかなり内容を詰めて、関係部局の人間にもきちっと相談をされず、もちろん党内でも議論もされずそういった内容になっているのではないかと私は思っていますので、したがって、総理として大臣や政府にどういう指示を出すのかなと思って注目をしていました。
結果、ほとんど反映されていませんよね、連立合意の内容は。ということは、真に受けて我々が検討する前に、自民党の中でまずきちっと議論していただくべき内容なのではないかと考えています。
○物価高対策について(2)
【「FACTA」】
きのうの公明の両院議員総会で、自公で選挙に臨んで給付金になっていたわけで、それが自維になったら給付金がなくなる、これはやはり公明党としてはおかしいという主張をしているようだ。たしか立憲も何か給付するという方向だったと思うが、この辺のところの見方はどうご覧になるか。
【政調会長 本庄さとし】
我々の問題意識は、やはり短期で即効性のある経済的な支援というのは物価高対策として不可欠だと考えています。夏の参議院選挙では、それを食卓おうえん給付金という形で提案しました。それと同じものを今回の経済対策で再提案するか、形を変えて提案するかというのは、今、中で検討していますが、短期即効の政策が要るということは変わっていません。
他方で、では自民党はどうかですが、給付金(の公約)を下ろすのはいいのですが、それに代わる短期即効の物価高対策って何なのかというのが一向に見えてこないんですね。これは維新の会もしかりです。そこがやはり重要なポイントで、給付金かどうかというのはその次の議論であって、短期即効の経済的な支援、物価高対策があるのかないのか何なのかと。そこがポイントだと私は思います。
○党の立ち位置について
【「FACTA」】
公明党の中道は、やはり宗教政党というか、わかりやすい。イデオロギーではないというのがよくわかるから、現世利益のような。立憲民主党の中道というのはイデオロギーなのか。立憲の中道主義というのは、中間層とか、同じ中道でもだいぶ違うのか、ある程度似た中道なのか。その辺の整理というのはどんな感じになっているか。
【政調会長 本庄さとし】
我々は綱領がありますから、それが中道だと考えていますが、例えば経済でいえば、中間層の厚みを重視していることや、格差の拡大をよしとはしていない、むしろ是正すべきだと考えていること。あるいは、価値観としては、自由や多様性を重んじていること。そして、公正な社会、共生社会、そういったものをつくっていこうと考えていること。外交でいえば、やはり国際協調を重視していること、平和主義を重んじていることなどなどを我々は中道だと考えていて、そこから極端に保守系だったり左だったりという人たちは中道ではないというふうに分類をしているわけです。だから、我々の考えている中道は、もうリベラルから穏健保守ぐらいまで非常に幅の広い中道だというふうにぜひ考えていただければありがたいなと思っています。
(以上)